妊娠中はお腹の赤ちゃんへの影響を考えて、食べ物にもいつも以上に気を遣う時期。アルコールやカフェインのように控えるべき飲食物や、栄養バランスを考えるのと同時にママの体重管理も必要です。


今回は妊娠中の食事について、みていきたいと思います。


この記事の目次

妊娠中の食材「OK」or「NG」リスト

まずは妊娠中に避けたい成分が含まれている食材について、みていきたいと思います。


アルコール(NG)


妊娠中、アルコールを摂取した女性から生まれた赤ちゃんに胎児性アルコール・スペクトラム障害と称される、発育不全、中枢神経の障害等を伴う異常がみられる場合があります。


そのため、妊娠中のアルコールの摂取は、胎児に悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。


また、胎児だけでなく妊婦さん本人のうつを悪化させることもあるようです。


気をつけたい食材・食事

ビール・ワイン・日本酒などお酒全般、洋酒などが入っているスイーツなど


カフェイン(制限付きでOK)


カフェインには気持ちを落ち着かせる効果があるそうですが、妊娠中に飲み過ぎると胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、鉄分やカルシウムなどの栄養素の吸収を阻害するそうです。


パンの食事ならコーヒーや紅茶、和食なら緑茶、中国料理の食事には烏龍茶、と意外とカフェインが含まれている飲み物は身近にあります。


コーヒーなら1~2杯、紅茶なら3~4杯と少量なら心配いらないようですが、仕事中についつい何倍も飲んでしまう、という方は別の飲み物に切り替えた方がよさそうです。


カフェイン上限目安量:150~200mg/日


気をつけたい食材・食事

コーヒー・日本茶・紅茶・栄養ドリンクなど


コーヒーやお茶は「デカフェ」のものを

普段飲み慣れている味がいい!という方は、カフェインレスやノンカフェインのデカフェのものを選びましょう。


メチル水銀(NG)


水銀を食べよう、と思って食事で水銀を摂る人はいません。しかし、魚介類の体内には、自然界の食物連鎖を通じて微量のメチル水銀が蓄積されているようです。


健康への影響が懸念されるレベルではないそうですが、一部の魚介類はメチル水銀濃度が比較的高いものもあります。


そのため下記に記載した魚を、毎日多量に食べることは避けた方がよさそうです。


気をつけたい食材・食事

キンメダイ・メカジキ・クロマグロ(本まぐろ)・メバチ・マカジキ・ミナミマグロなど


特に注意が必要ではない食材・食事

キハダ・ツナ缶・サケ・アジ・サバ・イワシ・サンマ・タイ・ブリなど


リステリア菌(NG)


リステリア菌は、自然界に広く分布している細菌。食中毒の原因菌の一つです。低温に強いため、冷蔵庫内でも増殖することも。


妊娠中にママが感染し、胎盤を通じて胎児も感染した場合には、早産や流・死産、髄膜炎や精神・運動障害の原因になることがあるそうです。


リステリア菌は、加熱調理(70℃程度)で死滅しますので、加熱された食事を摂るようにすると予防になります。


気をつけたい食材・食事

生ハム、肉や魚のパテ、スモークサーモン、加熱殺菌していない生乳で作ったナチュラルチーズなど


刺身など生魚(できればNG)


生魚に含まれている成分というよりは、食中毒への懸念です。特に梅雨時期や夏場などは食中毒が流行りやすい時期。


生魚に限ったことではありませんが、生ものには十分に気をつけるようにしましょう。


また、生魚にはアニサキスという寄生虫がいることも


アニサキスによる食中毒の腹痛緩和に正露丸がよい、という情報も最近聞きますが、妊娠中には食中毒にならないのが一番です。


生魚は控えて、加熱した魚料理を食べる方がいいかもしれませんね。


わさび・タバスコ・豆板醤などの香辛料(OK)


刺激が強い香辛料。食事のスパイスとして、好まれる方も多いでしょう。これらは通常の量であれば特に問題はないようです。


とはいえ、取りすぎはよくありません。何事も適度が大切ですね。


妊娠中に摂りたい栄養素は葉酸・カルシウム・鉄分

妊娠中は赤ちゃんの分も、と思う方も多いかもしれません。「赤ちゃんの分」は量ではなく、質です。


ここでは赤ちゃんの為はもちろん、ママ自身の身体のためにも妊娠中に積極的に摂りたい栄養素を紹介します。


葉酸


葉酸は細胞分裂に不可欠な成分で、「妊婦のためのビタミン」とも言われるそうです。


妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高くなる可能性があります。


そのため、特に妊娠初期の女性は、通常の食事からの摂取だけでなく、サプリメントや栄養補助食品から、葉酸を摂ることを厚生労働省は推奨しています。


カルシウム


カルシウムは赤ちゃんの骨や歯の基礎になる栄養素です。人の体内では作ることができませんので、意識的に摂るように心がけましょう。


乳製品や魚、海藻などに多く含まれています。


鉄分


鉄分は血液を通じて、酸素を運ぶのに必要不可欠。妊娠中期から後期にかけて貧血になる妊婦さんもいらっしゃることから、食事を通じて鉄分も積極的に摂っていきたい栄養素です。


鉄分というとレバーをイメージする人も多いかもしれません。


しかし、レバーに含まれるビタミンAの過剰摂取は赤ちゃんへ影響を及ぼす可能性があるため、レバーを食事に取り入れるのには注意が必要です。


野菜であれば、小松菜やほうれん草に多く含まれていますので、小鉢などで食事に一品加えるのもいいですね。


妊娠中の食事はバランスよく


上記3つの栄養素は妊娠中に積極的に取り入れたい栄養素ではありますが、偏った食事はNG。


妊娠中は太りすぎも出産へのリスクがありますが、痩せすぎも赤ちゃんにキチンと栄養を届けられない可能性があります。


そのため、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、食事を通してバランスよく栄養を摂ることが大切です。


栄養満点!妊娠中にオススメスープレシピ3選

栄養バランスのとれた食事をしたいけれど、作るのは大変…。そんな時はスープがオススメ。


具材をたくさん入れられるので、栄養満点な上、水分をしっかりとりたい妊娠期にもピッタリですよ。


パパっと簡単に作れる!出汁でおいしいスープ


お湯を注ぐだけの簡単レシピ!本当に簡単なので、あっという間に作れてしまいます。和食の食事に、汁物をさっと一品増やせますね。


材料 (1人分)

・とろろ昆布大さじ1
・和風だし1ccの少々さじ1
・すりごま1ccの少々さじ1
・冷凍ほうれん草または小松菜大さじ1

・鰹節ひとつかみ
・海苔、ネギ、醤油などお好みで


作り方

1.冷凍ほうれん草をラップで包み30秒ほどレンジで温める。

 ※レンジがない人は30秒ほど熱湯で湯がきましょう。

2.お椀に材料を全て入れる。

3.お湯を注いでできあがり!お好みで海苔、ネギ、醤油などを足して下さい。



参考・画像引用レシピ:妊娠授乳期にも!出汁で美味しい簡単スープ

https://cookpad.com/recipe/4991194


寒い日にスープでほっこりしたいミルクポタージュ


寒い日の食事は、温まるスープでしっかり栄養と水分を摂りたいですね。小松菜を使うと貧血対策にもなります。


材料 (4人分)

・小松菜2株もしくはほうれん草2株
・しめじ50g
・玉ねぎ1個
・じゃがいも2個
・鶏むね肉100g
・水600ml
・コンソメキューブ 2個
・牛乳100mlもしくは豆乳100ml


作り方

1.小松菜を2~3㎜にカットし、しめじは小房に分ける。玉ねぎは半分にカットし、半分は薄くスライス、もう半分はすりおろす。鶏肉は一口大にカットする。

2.鍋に水、コンソメ、1でカットした材料(玉ねぎのすりおろし以外)を入れて煮る。
3.煮ている合間にじゃがいもすりおろし、玉ねぎのすりおろしと一緒に鍋に加える。

4.具が柔らかくなり、とろみがついたら牛乳を加え、沸騰直前に火を止めて完成。


参考・画像引用レシピ:妊婦さんにも◎小松菜のミルクポタージュ

https://cookpad.com/recipe/4589307


幼児食の子供も食べられる野菜たっぷりトマトスープ


我が家でよく作るスープです。


ミックスベジタブルを使うため、1歳半になった娘もバクバク食べられましたよ。ちなみに我が家では、コープみらいで手に入る材料を使っています。


材料 (2~3人分)

・冷凍トマト1個

・彩り10種のミックスベジタブル80g

・料理用カットベーコン30g

・ミックスビーンズドライパック55g

・ユウキ食品 化学調味料無添加の貝柱だし大さじ2

・塩、しょうゆ、ケチャップ少々


作り方

1.水500ml(分量外)を鍋で沸騰させます。

2.ミックスベジタブル、ベーコン、ミックスビーンズを鍋に入れ、貝柱だしを入れます。

3.具材に火が通ったら、火を止めて、あらかじめ冷凍しておいたトマトをお鍋にすりおろして入れます。

4.味見をしながら、塩やしょうゆ、貝柱だしで味を調整します。小ぶりなトマトなどトマトが足りない場合はケチャップをプラス。

5.大人の分にはお好みで黒コショウ(分量外)をふって、完成。



あと、日本のスープと言えば、みそ汁。


みそ汁は具材のバラエティも豊富ですし、和食には欠かせない一品です。


いろんなスープを楽しんでくださいね。


管理栄養士さん直伝!いつもの料理にプラスするだけ!貧血予防レシピ


スープを作るのもしんどい、夏場で火の元にできるだけ近寄りたくない、ということもあるかもしれません。


また、妊娠中は貧血になりやすく悩む妊婦さんも多いもの。


ここでは2児のママでもある管理栄養士さん直伝の、簡単に鉄分補給ができる料理を紹介します。


管理栄養士さんオススメ!牛肉サラダ

妊娠中の貧血は、つわりなどによる栄養不足や、血液中の貯蔵鉄でまかないきれず、血が薄くなること、赤ちゃんの成長のほうに鉄分やタンパク質が使われてしまうことなどが原因となります。


今回は、そんな貧血予防のため、鉄分を多く含む牛肉を使ったサラダをご紹介します。


いつものサラダに牛もも肉の焼肉をのせて。脂身の少ない赤身のものを使用するのがポイントです。脂が多いものは鉄分が少ないうえ、エネルギー量も多いので注意してください。また、妊娠中は生焼けのお肉はNG。しっかり火を通してください。


消化を良くするりんごのすりおろしを肉の下味に加えたり、りんごのドレッシングにしたりすると、効率良くタンパク質を消化することができます。肉質もやわらかくなるので食べやすくなりますよ。


鉄分はもともと体内では吸収されにくい成分なので、サラダにトマトを加えたり、ドレッシングには酢やレモンを使ったり、酸味のあるものと組み合わせると体内への鉄分の吸収が良くなります。


重たくなりがちの焼き肉もサラダで食べると、さっぱりいただけます。食欲のないときでも無理なく、野菜もタンパク質も摂ることができます。効率よく鉄分補給をして貧血を予防しましょう。

サラダに焼き肉をプラスするだけの簡単レシピです。


焼肉だけですと、胃もたれするような食事でも、サラダですと、さっぱりしているので夏バテ中やつわりの時も食べやすいかもしれません。


是非とも、食事に取り入れてみてくださいね。


【ママの実体験】妊娠中の体重管理にオススメの食事方法4選


妊婦さんの実体験に勝る情報はない?!


ここでは食事によって目標内で体重増加中のリアルプレママさん、目標体重で出産したママさんがオススメする妊娠中の食事方法を紹介します。


1.食事の回数を3回から5回へ

「分食がいいと思う。おなかが大きくて、一気にたくさん食べられないので10時14時にヨーグルトとクッキー2枚とかバナナ1/3とヨーグルトとか一日5食にしました。」

(長野県 舞さん 妊娠中 体重推奨目標内で順調に増加)


胎児の成長と共に子宮が大きくなると、胃が圧迫されて、いつもより少食になることも。とはいえ、だらだらと食べ続けるのは胃の負担になると言われているので、避けたいところです。


そのため、規則正しく間食を増やすのがベター。また間食もスナック菓子ではなく、フルーツなど栄養が摂れるものがいいですね。


2.カロリーの低いものや便秘解消・鉄分摂取にいい食事をする

「妊娠中に初めて貧血になったので、ほうれん草など鉄分を多く含む物を意識して摂取していました。」

(石川県 ゆかりさん 妊娠中 体重推奨目標内で順調に増加)

「小松菜は鉄分も豊富で、カロリーも低い為お浸しや、ごま和え、味噌汁等で毎日摂取していた。」

(青森県 エイトママちゃん 妊娠中 体重推奨目標内で順調に増加)

「こんにゃく、とうふ、おから、きのこ類などヘルシーでかさましできる食材」

(広島県 みーさん お子さん1人 目標数値に足りない体重のまま、出産)


食事のメニューへの工夫もいくつか寄せられました。多かったのが、「野菜」「こんにゃく」「豆腐」の3つを使った食事です。


妊娠中は人によっては便秘になりやすくなるケースも。こういった場合は、食事で食物繊維を摂ることも大切かもしれませんね。


3.間食を工夫する

「ローソンのロカボシリーズです!これは絶対オススメ!他の食べ物を買うよりも糖質・カロリー共に抑えられるのでとてもお世話になりました。」

(北海道 てんかさん 妊娠中 体重推奨目標に届かないかもしれない)

「甘いものが食べたい時お菓子の代わりにフルーツを食べる。」

(神奈川県 みいさん 妊娠中 体重推奨目標内で順調に増加)

「小腹がすいたら手作り野菜チップス。」

(滋賀県 どれみさん お子さん:1人 目標数値内の体重増加で出産)

「口寂しい時は飴や0キロカロリーのクラッカー、春雨ヌードルを食べてます。」

(神奈川県 ともさん 妊娠中 体重推奨目標内で順調に増加)


普段ならちょっとカロリーオーバーしても、運動などで取り戻せる体重も、妊娠中は難しいもの。


食事は栄養のことを考えると、減らしたり偏ったりは出来ないので間食で工夫する声が多数ありました。


仕事をしている方だと、仕事中の間食にフルーツというのは難しいかもしれませんが、市販のものでもカロリーオフやゼロキロカロリーのものを選ぶのがよさそうです。


4.食事と一緒にノンカフェイン飲料を楽しむ

「ミネラルも摂れるので麦茶がおすすめです!」

(秋田県 しっぽさん 妊娠中 体重推奨目標内で順調に増加)

「植物性ラブレ鉄…9kcal, オヤツ代わり兼貧血対策」

(東京都 くりともさん お子さん:1人 目標数値内の体重増加で出産)


妊娠中は、羊水や赤ちゃんに送る血液の分、いつもより水分を多く欲します。


しかし、お酒はもちろん飲めませんが、カフェインが入っているコーヒーや紅茶、お茶も好きなだけ飲むわけにはいきません。


食事の際に飲むお茶にカフェインが入っていて、水しか飲めないのがつらい、と妊娠してから気づいた人もいるかもしれません。


意外と、食事には「水」より「お茶」や「コーヒー」が合うものですよね。


そんな時はノンカフェインドリンクを取り入れてみてください。


私もカフェインレスのコーヒーを購入し、カフェイン量を気にすることなく飲んでいます!


妊娠中のママのためにもバランスのよい食事を摂ろう

『赤ちゃんのためにバランスのよい食事を摂ろう!』とがんばるママも多いでしょう。もちろんそれも素敵なことです。しかし、同時に妊娠しているママの身体もとっても大切。


バランスのよい食事を摂ることで、貧血や妊娠糖尿病、妊娠高血圧症などママの負担になる症状になるのを軽減できる場合もあります。


上記の症状が現れたら、自己判断せず、食事療法も含め必ず医師の診断を受けるようにしてくださいね。


【調査概要】

期間: 2018年6月12日~6月22日

方法: カラダノ―トママ部調査

対象: 妊娠・育児中のママ部ユーザー(N=309)


(Photo by:写真AC
(参考サイト:内閣府 食品安全委員会
(参考サイト:厚生労働省

(参考文献:HUMAN+ Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の本 第三版)