3歳頃になると会話での意思疎通できるようになり、4歳5歳になっていくにつれ、文字の読み書きができるようになってきます。この年頃の子供たちにとって絵本は言葉を学ぶ大切なツール。今回は3歳~5歳子供たちにぴったりの絵本の選び方とおすすめの絵本をご紹介します。


この記事の目次


絵本に親しむことで読解力&想像力が身につく


幼稚園に入園できる3歳の頃から小学校に上がる前の未就学児たちにとって絵本はいろんなことを学べるもの。そのため、この時期の子たちには絵本の読み聞かせや読書が大切と考えられています。絵本を通じてどのようなことを学ぶのでしょうか。


言葉のバリエーションを増やす

1歳半ごろから「ぶーぶー」や「ばいばい」「まんま」などの言葉を話せるようになり、3歳になると会話による意思疎通が出来るくらい言葉がたくさん出てくるようになりますよね。


その数はおよそ1000語程度4歳で1500語、5歳で2000語程度と言われています。


日常の声掛けや会話、テレビ以外にも語彙力を増やすには、絵本を通じて文章に親しむのもひとつの手です。


自分で本が読めるようになる

絵本を見ながら読み聞かせるうちに子供はいろんな言葉を覚えていきます。同時に、識字能力へともつながっていきます。


なぜならテレビやYouTubeとは違い、絵本は読み聞かせの声と書いてある文字が結びつきやすいため、「言葉を話す」からステップアップし「文字を読む」へつながっていきます。


母国語を習得する順番は「①聞く」「②話す」「③読む」「④書く」です。


話せるようになってきた3歳から、小学校に上がる頃にはひらがなが書けるようなっているイメージがありませんか?でもこれ、全く言葉に触れていないと読み書きはおろか話すことすらままならなくなるんです。


絵本を通じて識字力を養うことで本が読めるようになり、書くことに繋がりますので、3歳から5歳の間にたくさん絵本に慣れ親しんでおくことが大切です。


小学校での国語の読解力へと繋がっていく

しっかりとひらがなやカタカナ、数字・アルファベットを3~5歳のうちに識字できるようにしておくことで、小学校へ入学後の授業への抵抗がなくなります。ここでつまづくと「授業=勉強」に苦手意識を持ってしまうかもしれません。


特に国語は、言葉を学ぶ時間ですので、文章の読み書きだけでなく読解力が求められます。絵本を通じてものがたりを理解することで、読解力が身についてくるでしょう。


もちろん、国語だけでなくどの教科も教科書があります。きちんと読んで理解するためには語彙力・想像力・識字力が欠かせません。算数も理科も社会もまずは読解力です。


想像力を養う

本は、自分がしたことのない経験や体験が感じられる、疑似体験ができるもの。これは子供も大人も関係なく本を通じて出来ることであり、読書が知識量を増やすと言われる所以でしょう。この知識が増えることによって想像力も養われていきます。


何故なら、「赤色のリボンを耳につけたうさぎ」という言葉を読んでイメージ出来る人は「赤色」や「リボン」、「耳」「うさぎ」が何を指すか知っているためです。


子供の固定概念にとらわれない発想と読書によって、想像力はどんどんと養われます。


読解力や想像力が学力を向上させる

読解力や想像力は、国語や図工などの芸術だけで必要とされる能力ではありません。例えば算数問題。計算するにあたり、問題を理解するための読解力や展開図を頭でイメージする想像力が必要になってきます。


算数だけでなく、他の理科や社会(生活)の教科でもこの2つの力は欠かせません。学力をつけていくためにも、幼児のうちにしっかりと読解力や想像力を身につけていきましょう。


【3歳】絵本選びのポイントは「日常生活」


ここからは発達段階に合わせて読み聞かせ絵本を選ぶときのポイントを紹介します。


保育園の3歳クラスや幼稚園の年少組の子供たちの絵本で押さえておきたいのは、「日常生活」「繰り返し」「ものがたり」の3つです。


3歳になると自分でお着替えをしたり、歯みがきや手洗いなど身支度がひとりでできる習慣が身につく頃です。お友達とのかかわり方も赤ちゃんの時とは変わってきます。そのため、日常生活にかかわる絵本や繰り返しがある絵本がおすすめ。


また、言葉の羅列やリズム感がある、という赤ちゃんが喜ぶ絵本ではなく、ものがたりの要素が含まれているものを選ぶことで、文章を理解する力を少しずつ身につけていきましょう。


3歳におすすめ!定番の絵本3選

3歳に読み聞かせたい定番絵本を紹介します。


めがねうさぎシリーズ

(出典:Amazon


40年以上愛され続けているせなけいこさんが描く「めがねうさぎ」。

せなけいこさんといえば「ねないこだれだ」や「いやだいやだ」など赤ちゃん向けの絵本も手掛けていらっしゃるので、慣れ親しんでいる、という方も多いかもしれません。

うさことおばけのやり取りが面白く、筆者も幼児の頃に夢中になって読んでいたものです。


めがねうさぎ

 


ノンタンシリーズ

(出典:Amazon


おねしょや順番を守るなど日常にかかわることを、ノンタンやその仲間たちを通じて楽しく学ぶことができる絵本です。ノンタンの愛らしい姿も親しみやすさがありますし、繰り返しやリズム感がある文章のためまだものがたりを楽しみきれない子供にもおすすめ。


筆者も幼児の時に読み聞かせを暗記するくらい、大好きな絵本でした。いまでも順番を守る大切さはこのノンタンで教わったと感じるほどです。


ノンタンぶらんこのせて

 

だるまちゃんシリーズ

(出典:Amazon


1967年にシリーズ第一弾「だるまちゃんとてんぐちゃん」が発売されてから50年以上親しまれている絵本です。もしかするとじぃじやばぁばも子供の頃に読んだ、という人がいらっしゃるかもしれません。


だるまちゃんはあそびが大好き。幼児期の子供の同じ目線で楽しむだるまちゃんに夢中になること間違いなしです。


だるまちゃんとてんぐちゃん

 

【4歳】「ロングセラー」「好み」が絵本選びのポイント


4歳クラスや年中組になると、字が読める子が多くなります。また好みもはっきりしてくるでしょう。子供の興味のある分野から知識を広げてあげると、意欲的に絵本を読もうとしてくれるはず。そして子供の好みの絵本を選ぶときは「長く愛されている」作品から読み始めるのがおすすめです。


長い間親しまれている作品は、それだけ子供の心をつかんで離さない魅力的な作品であるという証。パパやママが子供の頃に読んだ絵本なんてのもいいですね。


またひらがなが読める子供には「自分で読める」絵本を選ぶのも◎。赤ちゃんの時に読み聞かせていた絵本なら、懐かしい気持ちで絵本の読書ができるかも。


4歳におすすめ!定番の絵本4選

4歳に読み聞かせたい定番絵本を紹介します。


はじめてのおつかい

(出典:Amazon


お買い物が大好き!な子供には是非読み聞かせたい絵本です。主人公の女の子の心の動きに共感ができるでしょう。小学校に上がる前にひとりでのお使いにチャレンジしたい年中~年長さんにおすすめです。


ただし、おつかいは昔と違い防犯面も気になりますので挑戦するなら、ショッピングモール内の一店舗に限る(親の目が比較的いきわたりやすい)などの工夫が必要かもしれません。


 

どんなにきみがすきだかあててごらん

(出典:Amazon


50ヵ国以上の言葉に翻訳されており、世界中で愛され続けている絵本です。好きの気持ちに気づいた時にそれをどうやって相手に伝えたらいいのか、ということを教えてくれる絵本です。



しずくのぼうけん

(出典:Amazon


自然科学に興味を持つ子供におすすめしたいのがこの1冊です。水が凍るのは何で?という疑問を持つ子供に水分の行く末をひと「しずく」のものがたりを通じて伝えていきます。



14ひきシリーズ

(出典:Amazon


14ひきシリーズは動植物好きの子供におすすめです。イラストの細かさと季節に沿ったシリーズ展開が魅力。ものがたりは家族の話ですので、親しみやすい内容です。兄弟構成にも興味を持つ子供も多い時期ですので「お兄ちゃんがほしい」「妹がほしい」なんていう感想が出てくるかもしれませんね。


14ひきのシリーズ 12冊セット(全12巻)

 

【5歳】絵本選びで大切なのは「メッセージ性」


年長組、5歳頃になってくると、感情を伝えるための方法を考えるようになってきます。生きることや死ぬことについても少しずつ分かってくる時期でもあります。


そのため、ものがたりの絵本でもメッセージ性があるものや、登場人物の感情が動くのがわかる絵本や、登場人物の気持ちを読者側が考えられる絵本がいいでしょう。


ものがたりや絵に込められたメッセージを読み解くことで、読書がより一層楽しいものと実感することで、読み聞かせだけでなく自ら読む力・考える力もしっかり身についていきます。


5歳におすすめ!定番の絵本5選

5歳に読み聞かせたい定番絵本を紹介します。ここではパパやママも考えさせられる、感情が動かされる絵本をピックアップしました。


きょうはなんのひ?

(出典:Amazon


子供の親への想いに心があたたまる絵本です。子供は親へ感謝を伝える一工夫の方法があることを知る機会になるはずです。初めて読むときは謎解きのような楽しさも感じられますので、まだ手に取ったことのないパパやママにも是非読んでもらいたい一冊です。



てぶくろをかいに

(出典:Amazon


小学校3年生の教科書にも載っていたことがある作品のため、知っているパパやママも多いはず。日本童話の名作のひとつです。人間にトラウマのある母ぎつねの人間に対する思いや子ぎつねに対する思い、そして子ぎつねのドキドキとワクワク、そして人間の気持ち、母ぎつねの気持ちの変化など心情が伝わってきます。


 

にじいろのさかな

(出典:Amazon


にじいろのキレイなうろこのさかな「にじうお」は自分の美しさを大切にすることで孤独に。その孤独から抜け出すためににじうおは相談して、行動します。「幸せ」について考えさせられる絵本です。世界中で愛されている絵本でシリーズ化されています。特殊な印刷できらきら光るイラストそのものも魅力のひとつ。


 

おおきな木

(出典:Amazon


おおきな木は大人になっても読みたい絵本のひとつです。木と少年(どんどん年老います)とのかかわり方を通じて「愛」とは何かを考えさせられるでしょう。読み聞かせるパパやママたちの方が考えさせられるかもしれませんね。小学生になってからも読み聞かせたい作品です。


 

葉っぱのフレディ

(出典:Amazon


葉っぱを通じて「死」について考える本です。植物や昆虫など身近な小さな命とのふれあいや、ペットや家族などの死に直面した時など「死」を子供に伝えるのはとてもむずかしいもの。この絵本は四季の移ろいで一生を終える葉っぱの目線で「生死」について考えされられます。


テーマが少しとっつきにくいかもしれませんが、生を受けた瞬間から「死」に向かっていきますので幼児期でなくとも小学生のうちには一度触れておきたい作品です。


 

パパやママが好きなジャンルだと読み聞かせる側も楽しい


読み聞かせは子供の興味のあるジャンルの絵本だけではなく幅広い分野の絵本を選ぶことで、子供の能力向上にもつながります。


そこで子供がまだ興味を持っていないジャンルの絵本を手に取るときに、パパやママ自身が好きな絵本を選ぶのもおすすめです。


何故なら、読み手が楽しいと、聞き手も嬉しいし楽しくなるからです。

読み聞かせは、何回も繰り返し読むのが大変…という気持ちになることもあります。

そんな時は、親自身が興味のあるジャンルの絵本だと、読むのが楽しくなって大変さが軽減されるかもしれません。


「子供の学力向上につながるから」ではなくパパもママも「絵本が楽しいから」というスタンスで、子供と一緒に絵本に親しめるといいですね。


3~5歳でふれておきたい定番絵本は「昔話」


さまざまなジャンルの絵本を読んでいくにあたって、幼児の頃におさえておきたいのは「昔話」です。


例えば、「ガラスの靴を落としたのは?」と聞かれて答えられない人はほとんどいないでしょう。

それが多くの人たちが、幼少期に「シンデレラ」という作品に触れる機会があったからです。


三太郎のCMも「桃太郎」や「浦島太郎」「金太郎」、「かぐや姫」や「はなさかじいさん」といった昔話を知っているからこそ、親しみやすいCMになっているのではないでしょうか。


こう考えるとポピュラーな昔話は一般教養と言っても過言ではありません。


「急がば回れ」「千里の道も一歩より」といった教訓的な要素が含まれている作品が多いのも昔話ならでは。


小さいうちから身につけておいて損はない教養です。


日本の昔話をはじめ、イソップ童話やグリム童話など世界の昔話にも幼児が親しみやすい作品が多くあります。


また、絵柄や内容も年齢に合わせたものが多く刊行されていますので、好みの絵柄のもので選んでみてください。


子供の成長に合わせて目的は変化する!だけどまずは絵本に親しむ気持ちを


赤ちゃんの時の読み聞かせはママの声を聞くと安心する、といった子供の精神安定や、色彩感覚、リズムなどを楽しむ要素がありましたが、3~5歳では、小学校入学に向けての「言葉のお勉強」という意味合いでの絵本への向き合い方になってくるでしょう。しかし、絵本が強制になってしまうと子供は楽しむことができず、言葉に苦手意識が出てしまうかもしれません。


言葉を覚えることも大切ですが、まだまだ絵本は遊びの道具のひとつで大丈夫なはずですので、子供もパパもママもまずは絵本に親しむ気持ちで絵本と接していきたいですね。

 

(Photo by:写真AC