子育てをしていく中で、我が子を見ているとふつうと違うかも?と思う事があります。そもそも「ふつう」も人それぞれではあるのですが、いつまでたっても登園時に号泣する、大きな音がしたら過剰に驚いてずっと不安がるなど、うちの子ちょっと敏感すぎるかも?今回は敏感で繊細な子ども、HSCについてみて行きたいと思います。


この記事の目次


敏感な子どもってどんな子どもなの?


敏感な子ども、と聞くとどんなイメージでしょうか。


音に敏感で、小さな生活音でも目が覚めたり、気が散ったりする。
光に敏感で、蛍光灯の光が苦手。
人の気持ちに敏感で、いつも顔色を伺っている。
家と園の違いに敏感で、登園したがらない、毎朝泣き叫ぶ。

他の人が怒られていることを自分が怒られているかのように感じ取ってしまう。


など、普段私たちが気に留めない変化に敏感すぎる、感性が豊かすぎるが故の繊細さを持ち合わせている子どものことです。

 

HSCは「人一倍繊細な子」


一般的に子どもは大人より敏感で繊細です。しかし、その中でもとりわけ敏感な気質を持ち、繊細な子どもたちのことをHSC(hyper sensitive children(ハイパーセンシティブチルドレン))といいます。


これは子どもだけでなく、大人でもこの特性を持っている人もいます。

※大人はHSP(hyper sensitive person)


HSCは人一倍繊細な特性、というだけで発達障害であったり知的障害であったり、と発達支援が必要な子どもたちではありません。また気の持ちようでもなく、刺激を受けやすい脳の特性です。


しかし、親の無理解によって子どもが苦しむケースや、周りの無理解で親子が追い詰められてしまうことがあるため、子どもがHSCかもと感じたら、HSCについて知ったり学んだりする必要があるでしょう。


HSC(HSP)は5人に1人

HSCの特性を持つ子どもは5人に1人ほどと言われています。つまり30人学級であれば、ひとクラスに6人前後はいることに。これは左利きの人数よりも多いため(左利きは10人に1人程度)全体的にみれば少数派ですが、けっして少なくないのではないでしょうか。

 

HSCはこころの病になりやすい傾向も

繊細さがゆえ、こころにうけるダメージも大きい、と考えられています。


HSCをチェックする方法


うちの子、HSCかも?と感じた時に簡単にチェックする方法があります。

 

「Is Your Child Highly Sensitive?」セルフテスト

提唱者であるエレイン・アーロン博士のサイト(日本語訳版あり)で「Is Your Child Highly Sensitive?」というセルフテストを受けることができます。

 

「Is Your Child Highly Sensitive?」


で検索してみてください。


4つの性質「DOES」

また、4つの性質に当てはまるかどうか、でチェックすることも可能です。


思慮深い

(Depth of processing)


刺激を過剰に受けやすい

(being easily Overstimulated)


感情が動かされやすく、特に共感力が高い

(being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular)


ささいな刺激に気づく

(being aware of Subtle Stimuli)

 

 自分では判断できない、という場合は一度専門の方に相談してみてください。

 

HSCは才能!我が子の能力を伸ばすコツ


敏感で繊細な上に少数派ですので生きづらさはあるかもしれません。

しかし、その特性を活かすことで出来ることがたくさんあります。


少数派であるということは、一方で多くの人が成しえないことが成せる特性でもあるのです。


将来向いている仕事

才能を伸ばす先には子供の将来があるはず。

HSPの特性を活かせる仕事は例えばこんな職業が考えられます。


思慮深い

→大学教授・研究職など分析や考察の力を活かせる仕事


共感力の高さ

→整体師やエステシャン、カウンセラーなど、心身の悩みを癒やす・解決する仕事


感性が豊か

→デザイナー・カメラマン・俳優など


人と過ごすのが疲れる、大勢が苦手

→獣医、ペットトレーナー、動植物園の職員、など動植物と触れ合う仕事など、人以外と過ごす仕事


上記以外でも、例えば人と接する医師や教師も共感能力の高さは活かせる分野と言えるでしょう。

感性でいえば、身体表現者、ダンサーやプロスケーターなども特性を活かせる場所かもしれません。


職種うんぬんよりも、ノルマが厳しい企業や体育会系の企業、派閥争いのある企業など、企業体質について合う合わないがありそうです。


自分は自分!自分と他人の境界線を持たせる

幼いうちから少し工夫することで、子どもの特性は大いに活かすことができます。


共感性が高いHSCはアンテナが常にはってあるため、相手の話す情報や感情を読み取りすぎて疲れてくることが多くあります。


共感すること自体は素敵なことですが、共感のし過ぎでHSCの子がつぶれてしまうことはだれも望んでいません。


そのため、「自分」と「他者」の境界線を意識させていきましょう。


境界線を持つ=自分を大切にすることです。


例えば、他の子が怒られているときに自分が怒られているような気持ちになる、なんて時は意識的に「これは鏡の向こうのお話」と自分に関係ないもの、と認識すれば、受ける刺激をシャットアウトできるようになります。


また、物理的にその場を離れるのもOK。共感性が高いからこそ、幼いうちに身につけたい防衛手段です。


お願いごとを聞いてあげる

人の感情に感化されやすい、人の顔色をうかがうHSCの子は、相手を思いやるが故、お願い事をしづらい性格になるかもしれません。お願い下手ですと、生きづらさを感じることも。


ママやパパはできるだけ、お願い事を聞いてあげるといいでしょう。


お願い事を聞くのが難しい時は、ダメ、と遮らずどうしてダメなのかを伝えてあげつつ、またお願いしてね、などとお願いという行為は何も悪くない、ということを伝えてあげてください。


「気づき」の後に「選択」をさせる

人の機微を読み取り、その人がこうしてほしいだろうと先回りして動くこともHSCにはよくあります。


「気が利く子」と流さずに、その子自身はどうしたいのかということを質問してあげてみてください。


自分自身が「こうしてあげたい」と思って行動するのか、「相手がこうしてほしいだろうから動いた」と思って行動するのかでは、全く違います。


「相手はこうしてほしいだろうけど私はしたくない」という選択でも大丈夫。


「相手がこうしてほしいだろうから動いた」と思って行動ばかりしていると、自分の意見がわからなくなり、自己肯定感の低い子供になってしまうかもしれません。


人の感情をキャッチした後に自分で選択し意思決定をするクセをつけておくことで、より自分と他者の境界線も引きやすくなります。


人よりも何倍も疲れやすいことを親子で自覚する

筋肉の疲れは筋肉痛がでます。体の疲れは自覚しやすいですが、心の疲れは自覚し難いもの。


ひとよりも敏感で繊細ということは、他の人と同じような生活をしていても、受ける刺激が多い分、心が疲れやすいのです。


疲れやすいということを自覚して、早めに寝る、1人で過ごす時間を作るなど、心が休まる環境づくりが大切です。


家庭の事情とのバランスも重要


HSCであろうとなかろうと、多くのママやパパが「子どもの才能を伸ばしてあげたい!」、と思っているはず。


しかし、才能を伸ばすのにいいことを、全部が全部出来るかと言えばそうではないでしょう。


「こうするといいよ」という子育てのヒントはたくさんありますが、取り入れられないことを気に病むことはありません。


極端な話、子どものためを思って、才能を伸ばすのにいい食事、運動、レッスン、リラックスできる環境つくりや、リラクゼーション施設の利用などを、高額な借金を作ってまですることではない、ということです。


子どもの才能を伸ばすのに、生活が破綻すれば、その時点で才能を伸ばす取り組みもたちまち困難になります。


まずはパパとママが健康であること。そしてお仕事や家庭がうまく回ることが大事です。その上で子どもの才能を伸ばす取り組みをできる範囲で行ってください。

 

子どもの特性を知って親子に無理のない子育てを


子どもの才能を伸ばすのは、最終的には子ども自身です。とはいえ、親も大きくかかわっていることには違いありません。子供の特性を知ることで、「ふつう」の枠にとどめず、親子にとって無理のない子育てをしていけることが大切です。

 

 参考文献:飛鳥新社「繊細さん」の本