子育てがつらい、大好きな人と結婚して子どもが生まれてうれしい、幸せなはずなのにつらい気持ちが多い…。育児中に多くのママたちが感じる「つらさ」。コロナ禍によってそのつらさも増幅しているかもしれまん。そのつらさ、実はママのSOSかもしれません。今回は子育て世代の女性が感じるつらさの原因と対策について考えてみます。


この記事の目次


何故「つらい」と感じるのか


好きな人と結婚して、子供を望んで、我が家に赤ちゃんがやってくれた。


それは多くの人が手にしているありふれた「しあわせ」のかたちとして捉えられています。


しかし、その生活は決して幸せなことばかりではありません。


また人によっては体調や思想、家庭環境や住環境など状況も変わってきます。そのため「赤ちゃんがかわいい」「子育てが楽しい」という声の一方で「赤ちゃんがかわいいと思えない」「子育てがつらい」という声が出てくるのです。


では、多くの人が「つらい」と感じる理由はどこにあるのでしょうか


  • 産後の肥立ちが悪い
  • ワンオペ育児
  • 新型コロナウィルスの脅威
  • 睡眠不足
  • 運動不足
  • 腱鞘炎・腰痛・肩こりなど
  • 生理やホルモンバランスの変化などによる体調不良
  • ひとりの時間がない
  • 家事が思うようにできない
  • 仕事が思うようにできない
  • 夫婦関係の悪化
  • セックスレス

など…。


他にもさまざまな理由があるかと思いますが、上記はママが悩む&つらく感じるポイントではないでしょうか。


つらいのは「欲求」が満たされないから

上記でつらくなる要因の例をあげましたが、どうしてつらくなるのかというとこれらは「欲求」が満たされない状態だから。


例えば産後に限らず


睡眠不足→睡眠欲が満たされていない


この状態が続けば判断力が鈍ったり、疲れが取れなかったりととてもストレスですしつらいですよね。


特に産後は出産のダメージで女性の身体はボロボロです。

そんな状態なのに寝不足で夜間授乳…。


睡眠だけでなく、他にもさまざまな欲求不満がつもりつもる、またその状態から脱せれないことが続くと、しあわせと感じることが減り、つらさが増します。


欲求には段階がある!しあわせと欲求とつらさの関係


欲求には段階がある、と1943年にアメリカの心理学者であるマズローが「欲求5段階説」を説いています。


これは、「低いものから順に欲求が現れ、その欲求が満たされると次の欲求に転じていく」という考えで、欲求が満たされ、より高次元な欲求も満たされることで、人はより健康的になり、幸せを感じられると提唱しています。


欲求の低い順からみていきましょう。


生理的欲求

睡眠・食事・性欲・排泄 など
生きるのに最低限必要な欲求


安全欲求

健康・安定した雇用・身の安全の確保(住環境)・貯金 など
生理的欲求を安定的に維持するための欲求


社会的欲求

友情・家族・社会 など
繋がりを持つことで集団などどこかに所属する安心感・満足感を得るための欲求


承認欲求

自尊心・社会的地位・達成 など
所属集団で自分の存在を認めてもらいたい、尊重されたいという欲求


自己実現欲求

自己向上・創造性・自発性 など
自分の能力を最大限に発揮して「自分らしく生きたい」という欲求


社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求は内面的な欲求、精神的欲求です。


承認欲求よりも低い段階にある欲求は欠乏欲求と言い、満たされないと欲しい、と感じる欲求の事を指します。


多くのママたちが「承認欲求」「自己実現」の欲求を満たしてきた


平成の時代に生きてきた令和ママ達の多くが、学校で学び、社会にでて仕事をしてきたことかと思います。

 

昭和モデルやそれ以前の女性たちの多くがなしえなかったであろう承認欲求や、更なる活躍を自己実現を平成の時代に生きたママたちはより多く達成してきたのかもしれません。


先の欲求5段階説から照らし合わせてみると当然のことで、よりしあわせになるべく人類が追い求めた結果です。


こうして時代とともにライフクオリティを向上させてきた一方で、産前産後や子育てに関する部分はどうしても承認欲求は得られない部分が多くなる時期です。


コロナ禍もあって、令和の子育ては社会的欲求や安全欲求、生理的欲求が満たされにくい社会なのではないでしょうか。


つまり、今のママたちのつらさは、昔のママたちが感じていたつらさと同じもの以外に、出産前までに満たされていた欲求が、出産後に満たされなくなる、この落差がより子育てをつらく感じさせているのかもしれません。

 

子育てがつらくならないコツ「ライフクオリティを下げない環境をつくるべし」


この落差がつらさを感じさせるのであれば、産後も今までと同じ程度に満たされるようにすること、ライフクオリティを下げない工夫が必要なのではないでしょうか。


そのためには欲求に合わせて対策を考えましょう。


自分の欲求不満ポイントを明確にする

まず大切なのがママがママ自身を知ることです。


子育て期はついつい自分のことを後回しにしたりおろそかにしてしまいがちですが、自分を大切にしないとどんどんボロボロになってしまい、しあわせな気持ちがなくなってしまいます。


ママ自身がどういう欲求があって、どうしたいのかを明確化しましょう。


生理的欲求を満たすためには「大人の手」が必要

産後や子育て期で生理的欲求で脅かされるのはやはり「睡眠」です。


この睡眠はどうしても「子どもをみてくれる大人」の存在が必要になってきます。


パパはもちろん、実の両親や義両親、親せきなどの手を借りましょう。難しい場合は、一時保育やベビーシッターなどプロの手を借りることも大切です。


他にも子供のお泊り預かり「ショートステイ」やファミリーサポートなどの育児支援を行っている行政もありますので、まずはお住まいの自治体がどのような支援をしているか、調べてみてください。


安全欲求を満たすためには産前の準備・産後に合わせた環境改善

出産後、赤ちゃんをお迎えする準備ばかりで、自分が快適に過ごせるおうち作りになっていなかったとすると、健康が脅かされてしまうかもしれません。

産前に産後をシミュレーションしておくことで、欲求不満になりうる部分はある程度回避できるでしょう。


しかし、実際に育児がはじまってみてからわかることもたくさんあります。わかってからでも構いません。住みやすい快適な環境をつくることを意識してみてください。


社会的欲求を満たすために職場復帰・ママ友・サークル

昔は「井戸端会議」などで主婦の話が盛り上がっていましたが、家族の多様化に伴い、なかなかそんな地域交流はできないもの。


特にコロナ禍によって、この社会的欲求が満たされにくい状況になっています。


産後や小さな子供を育てている間は孤独になりやすい状況です。出来る範囲で集団に所属するようにすることで、欲求不満がある程度抑制できるかもしれません。


他にもSNSで同じ状況のママたちと交流するのもいいかもしれませんね。集団に所属し、その中で認めてもらうことで承認欲求も満たされることもあります。


人によって欲求のレベルは異なりますが、まずは欲求の低い順から満たしてあげるように意識することも大切です。


つらくならないための3つの「ない」


子育てがつらくなったら3つの「ない」を実行してみてください。


昭和モデルの話は聞か「ない」!

子育てがつらいと感じることは決して今のママたちだけに限ったことではありません。昔のママたちもつらいと感じることもあったでしょう。


「こう乗り越えてきた」は役に立つものもありますが、時代にあってない考え方も。「みんな通ってきた道よくあること」は、つらいが続いてきているからこそ、変えていかなければならないポイントです。


特に「欲しがりません、勝つまでは」という標語のようにお国のために自己犠牲を強いられてきた世代やその世代の親を持つ、ママやパパたちの親世代は、今の子育てに「羨ましい」という気持ちがあるかもしれません。


しかしもし、あなたに娘がいたとして、娘が結婚して子供が生まれたら、娘も同じ苦労をしてほしいと思いますか?もし息子の将来の奥さんに同じ苦労をしてほしいと思いますか?


多くの人は「同じ苦労をさせたくない」という親心があるはずです。


(我が子にも同じ苦労をさせたい、と感じる人はかなりお疲れで正常な判断すらできない状態かもしれません。心のSOSかと思いますので、心休まる環境をいち早く整えてください)


昔の育児は参考程度にとどめて聞き流すくらいの気持ちが大切です。


鵜呑みにするタイプの方は「耳に入れない」意識をして下さい。


昭和モデルの家庭で育ったママであれば、自分の持つ家庭のイメージも昭和モデルが「ふつう」と思いがちになるかもしれません。

その場合は、多様性を受け入れ合う社会へ変貌を遂げている中で育児をしていることを認識し、『自分が思い描いていたものとは違う』を受け入れることが大切でしょう。

 

SNSを見「ない」!

ほかのユーザーと交流することで社会的欲求や承認欲求を満たせる場所でもあるSNS。


しかし、人が置かれている状況は様々です。睡眠不足や体調不良の時は、「SNSのしがらみ」が負担に感じることもあります。


SNSがしんどい、ほかのリア充な投稿をみると自分を責めてしまう、なんて時は「安全欲求」や「生理的欲求」が満たされていない可能性が大!!


まずはSNSをみるのをやめることから始めましょう。
そして安全欲求や生理的欲求を満たすことを優先してみてください。


完璧を目指さ「ない」!

家事、育児、仕事、自分の身なりを整える、親族づきあい、友達付き合い…完璧にしようとすると、出来ないことがとてもつらくなります。


そんなときは手を抜きましょう。


ご飯は家事代行でもいい、宅食でもいい、パパがつくってもいい、お惣菜を買ってきてもいい、レトルトでもいい。栄養バランスが取れてなくてもいい、作るだけでえらいんです。


産後の体型が戻らない、確かに悩みです。でも今じゃなくても大丈夫。やせよう、と思った時が一番ベストです。ふくよかでも楽しく生きることはできます。

 

ライフスタイルの変化に合わせて環境を整える&ママの意識改革を


つらくなると、その原因を子どものせいにしてしまうかもしれません。


多くのママは「そんなことするわけない」と思っていたはず。しかしつらいことが重なると、やはり「子どもと一緒にいたくない」という気持ちにもなってしまうもの。これは欲求不満で心がすり減ってしまっている状態だと思います。


ライフスタイルに合わせて環境を整え、ママの意識もつらくならない方へと働きかけてみてください。


とはいえ、環境も意識も変えるのはなかなか難しいです。どうしても我慢ができない、我慢の限界を迎えた、欲求不満が続き欲求が出てこなくなった、という時は児童相談所や保健師、産婦人科や心療内科など専門家に相談してみてください。


ママのつらさが少しでも減ることが大切です。欲しがって求めることはワガママじゃない。自己実現に必要なことです。ママだから自己実現を求めてはいけない、なんていうことは絶対ありませんよ!子育てしやすい環境で子育てをしていきたいですね。


(photo by photoAC)