「痛いのは嫌だから、出産は無痛分娩ができる病院にしよう」
そんな風に、あなたも思っていませんか?

インスタグラムで妊娠中から始める子育て法について情報を発信しているこほら助産師さん(kohola_josanshi)。彼女は助産師として「無痛分娩に出会って人生が変わった」と話します。でも実は、無痛分娩を勧めたいわけじゃないんです。むしろ「痛くないから」という理由で無痛分娩を選ぶ妊婦さんたちを見て、「ちょっと待って!」と思ったのが情報の発信を始めたきっかけでした。

今回は、医療の現場で実際に見てきた経験から、無痛分娩と自然分娩の"ホントのところ"を伝えている現役助産師・こほらさんのお話をご紹介します。


「医療職で唯一『おめでとう』と言える仕事」が助産師を選んだ理由

こほらさんが助産師になったきっかけは、高校生の時のこと。産科クリニックを訪れた時に聞いた一言でした。

「医療の世界で唯一『おめでとう』と言える仕事なんだよ」

この言葉に心を奪われ、将来の道を決めました。大学で看護師・助産師の資格を取得し、総合病院、クリニックで勤務。今では年間で1000人以上の赤ちゃんが生まれる産婦人科病院で活躍中です。

それだけでなく、保健師や養護教諭の資格も持っています。「病院から家に帰ったママたちが地域でどんなサポートを受けているのか知りたい」という考えから、インスタグラム発信を始める直前にもう一度勉強して保健師の資格も取ったんだとか。妊婦さんとその家族をもっと幅広くサポートしたい!という熱い思いが伝わってきますね。


妊婦さんが無痛分娩を選ぶ理由に膨らむ不安

こほらさんがインスタグラムでの発信を始めたのは2024年4月。きっかけは、働いていたクリニックでの経験でした。

そのクリニックでは出産の8割が無痛分娩。でも、多くの妊婦さんが「痛くないから」という理由で選んでいることに危機感を覚えたのです。

「無痛分娩って『痛くない』『楽できる』『病院に行けば産めるでしょ』...というような理由で選ぶ方が多かったんです。でも実際に入院してみると、『薬が効かない!』『やっぱり痛い!』『お産が進まない!』って『聞いてないよ~』『知らなかった~』と言う方も多くて...」

命に関わる大切なことだけに、こほらさんの心配は膨らむばかり。「赤ちゃんを迎える準備の大切さを伝えたい」という思いが強くなったそうです。


知っておきたい!無痛分娩のデメリット

改めて、無痛分娩にはどんなリスクやデメリットがあるのか、こほらさんが教えてくれました。

1. お産の進みがゆっくりになる


痛みを取るための薬で陣痛が弱くなって、お産の進行が遅くなることも。点滴や飲み薬などを使ってお産を進める必要が出てくることもあります。

2. 体に負担がかかることも


麻酔薬の副作用で、熱が出たり血圧が下がったりすることがあります。

3. 背中に管を入れる際に硬膜を傷つけることも


一時的に頭痛などの症状が出ることもありますが、永続的な後遺症はほとんどないそうです。

もちろん、無痛分娩にもいいところはあります。ママがリラックスできることで間接的に赤ちゃんにもいい影響があるとのこと。でも、「痛みが嫌だから」という理由だけで選ぶのではなく、リスクもしっかり理解した上で選ぶことが大切なんですね。


みんなは自然と無痛どっちを選んでるの?

こほらさんのフォロワーさんたちは、無痛分娩を希望する人と自然分娩を希望する人が約半々。でも、実際の現場では無痛分娩を希望する方が6割、自然分娩が4割くらいだそうです。

自然分娩を選ぶ理由:


●無痛分娩のリスクや副作用が心配

●自然な陣痛を一度経験してみたい

●通っている病院で無痛分娩をやっていない


    一方、無痛分娩の選択理由は「痛みが怖い」「痛みを避けたい」というシンプルなものが多いんだそう。

「無痛分娩の真実」が大反響!インスタでの発信

「無痛分娩の真実」というタイトルの投稿は、こほらさんのインスタグラムの中でも特に反響が大きかったもの。クリニックを辞めるタイミングで感じていた「こんなにリスクがあるのに、みんな何も知らないまま選んでる...」という強い危機感から生まれました。

「無痛分娩はしっかり考えたうえで選んでほしい。」という思いが、インスタグラムを始めた一番の理由だったそうです。

投稿の作成には1〜2日かけることもあり、作成にも熱が入ります。ネタは実際の現場での体験や、患者さんとのおしゃべりから得ることが多いそうです。現場で培ってきた知識を、私たちママに届けてくれています。


お産の強い味方!陣痛の記録に役立つ「陣痛きたかも」

現役助産師として、陣痛中の妊婦さんの状況も詳しく教えてくれました。

「陣痛きたかも」を利用している妊婦さんをみかけることも多く、アプリについてもお話いただきました。



陣痛アプリ「陣痛きたかも」については、「ボタンが大きくて押しやすい!」と高評価。

大きな病院では、助産師さんが常に付き添えない場合もあるため、アプリで記録してくれていると「間隔が短くなってきたから診察してみよう」などの判断がしやすいとお褒めの言葉をいただきました!(ありがとうございます!)


こほら助産師さんからは、立ち合いのご家族へのアドバイスもいただきました。

「特にパパや家族がいる場合は、痛みで大変なママの代わりに家族がボタンを押してくれると助かります。陣痛の間隔が変わった時など、目安として見るのはいいことだと思いますよ」


こほらさんからあなたへ、安心して出産を迎えるために


「今はネットで何でも調べられる時代。気になることがあれば検索すれば大体の情報は手に入りますよね。でも、その情報が自分と赤ちゃん、家族にとって本当に合っているかは別問題。自己判断が危険な場合もあるんです」

こほらさんは、専門家に相談することの大切さを強調します。病院の先生や助産師さん、あるいは信頼できる情報源を活用して、安心・安全な妊娠生活と出産を送ってほしいと願っています。

Instagramでの発信はこれからも続けていきたい活動

「フォロワーさんも少しずつ増えてきているので、正しい情報を届けながら、みなさんが『この情報を知ってよかった!』『体が楽になった!』『安産に近づいた!』と思ってもらえるような投稿や情報提供をしていきたいです」

こほらさんは、今後も現場での経験を活かした情報発信を続けていく予定です。


「自分と赤ちゃんにとってのベストな選択」を!

無痛分娩か自然分娩か、その選択はそれぞれのママの状況や希望によって違います。大切なのは、「痛くないから」という単純な理由だけでなく、自分と赤ちゃんにとって何がベストなのかをしっかり考え、情報を得た上で決断すること。


こほら助産師さんのインスタグラム発信は、そんな大切な決断をサポートしてくれる貴重な情報源になっています。出産を控えたプレママはもちろん、パパや家族の方々も、ぜひ参考にしてみてくださいね♪



●教えてくれた専門家

  • こほら助産師さんkohola_josanshi
  • 総合病院とクリニックでの経験を持つ現役助産師。看護師、保健師、養護教諭の資格も持っています。現在は産婦人科病院で働きながら、インスタグラムで妊娠・出産に関する正確な情報を発信中。「無痛分娩に出会って人生が変わった」ことをきっかけに、2024年4月から情報発信をスタート。