
「産後すぐ、夫と夜間授乳を交代制にしました。夜9時から深夜3時は私、それ以降は夫に任せる。ただそれだけで、体の回復がまったく違いました」
産後のからだは思った以上に繊細です。その隣に「もう1人」いてくれるかどうかが、体力回復にもメンタルにも大きく影響していました。
今回、授乳ノートをご利用の269名にアンケートに答えていただき、さらに5名の方にインタビューをさせていただきました。「パパ育休って、実際どうだった?」というリアルな声をまとめています。
まずは数字で見てみよう!269名のアンケート結果
60.6%の家庭でパパが育休を取得
アンケートに答えてくれた269名(ママ220名・パパ49名)のうち、パパの育休取得状況はこうなりました。
※カラダノート調べ
取得した家庭は「いつ・どれくらい」取ったのか
いつから取ったかを聞いたところ、産後すぐが73%と圧倒的多数でした。
期間については、このような分布でした。

半数以上は1ヶ月以上取っており、「半年以上」も15%近くいました。誰が取得期間を決めたかについては、「夫婦で決めた」が60%、「パパが決めた」が35%でした。
また、役割分担を事前に決めていたかどうかについては、「いいえ」が61%。がっちり決めずに柔軟に対応していった家庭の方が多いようです。
取得しなかった家庭の理由
育休を取得しなかった92件の家庭が挙げた理由(複数回答)は以下の通りです。

「会社に理解がない」「自営だから使えない」——個人の意識だけでは変えられない、構造的な壁が上位を占めています。「必要性を感じなかった」という回答も18.5%あり、里帰りやサポート体制が整っている家庭では取らないという選択もあります。パパ育休が「すべての家庭に必要か」は、家庭ごとに判断が違う、というのが現実です。
5人のママが語る、育休中の「リアル」
ここからは、インタビューに答えてくれた5名の体験談をご紹介します。ポジティブなことだけでなく、「こうだったら良かった」という本音もそのまま話してもらいました。
陽瀬さんの話:夜間の「交代制」が身体を救った
現在生後9ヶ月の第1子を育児中の陽瀬さん。パパは約2ヶ月、育休を取得しました。
「役割分担は厳密には決めていなかったんですが、夜間授乳だけは交代制にしました。夜9時から深夜3時は私が担当して、3時から朝はパパに変わる。それだけで、だいぶ体がラクになりました」
完全母乳から完全ミルクへ移行したことで、夜間の担当をはっきり分けやすくなったのも良かったと言います。
「1人だったらちょっと無理だった。取ってもらって良かったです。でも正直、2ヶ月では短かったなと。次があれば3ヶ月は取ってほしいですね」
アンケートでも同じような声が届いていました。
「朝担当・夜担当で授乳分担できたのがよかったです。ただ昼過ぎまで夫が起きてこないこともあり、それはちょっとイラッとしました笑」(30代前半・ママ)
交代制は効果的ですが、運用のすり合わせも大事、ということが伝わってきますね。
曜子さんの話:「言われる前に動くパパ」がいた家庭は、孤独感がなかった
現在生後3ヶ月の第1子を育てる曜子さん。パパは3ヶ月半の育休を取得中です。
「里帰りはしませんでした。『2人でリズムを作るために自分たちの家がいい』と思って。元々家事をよくやってくれる人で、私の入院中から退院後の準備を自発的にしてくれていて。退院した時には、もう全部整っていました」
退院後は料理・掃除・洗濯のほぼすべてをパパが担当。曜子さんは体力回復と授乳に専念できたと言います。
「本当に、私は寝てただけ、みたいな感じで(笑)。産後に孤独感を感じたのは入院中の数日間だけでした」
アンケートにも同じような声が届いていました。
「1人じゃ無い、と心強かった。実家に帰らず夫婦で子育てすることで、たくさんのことを共有できた」(30代後半・ママ)
一方で、こんな声もありました。
「逆に夫の面倒も見ないといけなくて大変だった」(30代前半・ママ) 「言わないとやらないし、気は使うし、お金が減ってまで取るものではないです」(20代後半・ママ)
パパ側からも、正直な声が届いていました。
「夜中の育児を担当しましたが、睡眠不足が続き家事や日中の育児との両立も相まって、奥さんの心のケアまで配慮することが難しいシーンがありました。誰しも余裕がなくなることをもっと考えるべきでした」(40代・パパ)
「育休を取ればそれでOK」ではなく、「どう過ごすか」がとても大事だということが、ここからも見えてきます。
ともよさんの話:母乳+ミルク併用で、パパも夜間授乳を担当できる体制に
現在生後6ヶ月の第1子を育てるともよさん。パパは3ヶ月の育休を取得しました。
「周りの先輩ママたちに聞いたら、みんなが『生後3ヶ月までは記憶がないくらい大変』と言っていて。それで夫と話し合って、最低3ヶ月は欲しい、ということにしました」
職場への申告は早めに済ませ、スムーズに取得できたとのこと。育休中はシフト制を組んで睡眠時間を確保しました。母乳とミルクを最初から併用したのも「パパが夜間の授乳を担当できるようにするため」という意図があったと言います。
「最初の1ヶ月に、強制的に休ませてもらったのが一番大きかったです。あそこで回復できたから、その後もやっていけた。夫が寝ろと言って、とにかく寝かせてくれました」
3ヶ月の育休で「十分だったか?」という問いには、「うちの子が早めに夜まとめて寝てくれるようになったので、第1子では十分でした。でも第2子が生まれたら、また3ヶ月しっかり取ってほしい」と話してくれました。
アンケートでも、育休期間の延長で救われたという声がありました。
「育休を取れる期間が3ヶ月だけと思っていたパパは、半年取れることを知って育休中に延長することを決意! 3・4ヶ月が1番しんどかったので、半年いてくれたことにマジ感謝!」(30代後半・ママ)
綾さんの話:「取らなくても大丈夫だった」という判断の背景
2人のお子さんを育てている綾さん。パパは育休を取得していません。
「上の子が24週で生まれて半年以上入院していたので、育休は取りませんでした。今回の下の子は、上の子が療育に通っていて日中はいないので、自分だけで見られると判断して、取らなくていいかなと」
産後1ヶ月は実家でお母様のサポートを受け、その後は日中ほぼワンオペで育てています。下の子がよく寝てくれる子だったことも「大変ではあったけど、乗り越えられた」という気持ちにつながったようです。
こまさんの話:繁忙期で取れなかった。でも…
もうすぐ生後3ヶ月の第1子を育てるこまさん。パパは仕事の繁忙期と重なり、育休が取得できませんでした。
「夫の部下は普通に育休を取っていたみたいで。余裕があれば取れたんだけど、って話はしていました。取ってほしかったとは思っています」
出産直後から産後うつに近い症状が出て、約1ヶ月以上つらい時期が続いたこまさん。その時期、夫が夜間の対応を代わってくれて、少し長めに睡眠を取らせてもらうなどといったサポートがあったと言います。
育休という形は取れなかったけれど、できる範囲でパパが関わってくれた——この話は、「育休を取るかどうか」だけが全てではないことを教えてくれます。
アンケートにも、制度がない中でも工夫した家庭の声がありました。
「育休制度を使えなかったが、仕事を調整して早く帰ってきたり、時短勤務したり、調整して休んでくれている」(ママ)
制度があるかないか、長期か短期か、それ以前に「パパが育児に関わろうとしているか」が、家庭の空気を決めているように感じました。
取得した家庭に共通していた3つのこと
5人の体験談と269件のアンケートを通じて見えてきたことをまとめます。
① 役割より「一緒にいること」を優先した
役割分担を事前に決めていなかった家庭が61%と過半数でしたが、うまくいっている家庭に共通していたのは「役割をきっちり決めるより、目の前のことに2人で向き合えた」という感覚でした。
「一番大変な新生児期を2人で悩みながら育児できて、お互いに勉強になった。良かった・成功した・失敗した・うちの子には合わなかった、ということを都度報告し合えることで精神的負担も軽減された」(30代後半・ママ)
「1ヶ月健診に2人で行って、子どもの成長を2人で感じられた」(30代後半・ママ)
育休は「家事担当を決める期間」というより、「親になる練習を一緒にする期間」なのかもしれません。
② パパが「気づいて動く」姿勢があったかどうか
インタビューで「育休がうまくいった」と感じているママたちに共通していたのは、「言わなくてもパパが動いてくれた」という経験でした。一方、ネガティブなエピソードの多くに共通していたのは「言わないとやらない」という状況です。
「新生児期の大変な時に夜間もお世話を交代で率先してやってくれたのが本当に嬉しかった。私が産後うつになりそうな時は、子どものお世話をしながら私のことも支えてくれて、この人と結婚できて幸せだなって思いました」(30代前半・ママ)
パパ育休中だが、夫は育児するでもなくただのお休みを過ごしてたような感じだった。もっと積極的に育児に関わってほしかった。(30代前半・ママ)
育休を取ること自体はスタートライン。その後どう過ごすかが、育休の「中身」を決めます。
パパからこんな言葉も届いていました。
「赤ちゃんの世話より妻の世話にウエイトを置く方が、育休終了後の家事育児もスムーズかと思いました。いつもできることができない産後の妻の体力低下やしんどさを身近で感じ、改めて感謝の気持ちになりました。記憶に残る体験ができました」(30代後半・パパ)
③ 制度や期間より「関わる気持ち」が大事
取得しなかった家庭でも、できる形でパパが関わることで乗り越えた家庭がありました。逆に、長期取得でもうまくいかなかったケースも少なくありません。
「育休制度を使えなかったが、仕事を調整して早く帰ってきたり、時短勤務したりしてくれている」(ママ)
制度の有無より、「パパが育児に関わろうとしているか」が、家庭の空気を決めているように感じました。
最後に

アンケートのエピソード欄に、こんな一言がありました。
「1人じゃない、と心強かった」
育休の長さより、「隣にいてくれる人がいる」という事実が、産後のママを支えていました。
制度の壁や経済的な不安で取れない事情がある家庭があることも、このアンケートははっきり示しています。すべての家庭に「取れ」とも「取るべき」とも言えません。
ただ、もし取れる環境にあるなら。あるいは、短くても何か関わる形を作れるなら。この記事が、少しでも参考になれば嬉しいです。
授乳・育児の記録は「授乳ノート」で
育休中のパパとも、記録をリアルタイムで共有できます。「さっきミルクあげたっけ?」というすれ違いをなくしながら、夫婦で育児の記録を積み重ねていけます。ぜひ使ってみてください。
本記事は2026年5〜6月に実施したアンケート(n=269)およびインタビュー(5名)をもとに作成しました。インタビューに登場された方は、掲載についての同意を得ています。



