離婚・死別などにより、母親(父親)がひとりで子供を育てるひとり親家庭は、年々増加傾向にあると言われています。とりわけ母子家庭の数は多く、ひとり親家庭のうちの85%を母子家庭が占めています。
子どもを一人で育てていくにあたって、最も心配なのはやはり経済面です。
厚生労働省の調査によると、母子世帯の平均年収は約181万円。父子世帯の平均年収360万円の半分であり、多くのシングルマザーが不安定な就業状況におかれていることが伺えます。
そのようなシングルマザーをサポートするために、さまざまな手当・助成制度が設けられています。どのような制度があるのか確認してみましょう。
この記事の目次
ひとり親家庭のための支援(国の制度)
まずは国が設けている制度から見ていきましょう。
児童扶養手当
所得に応じて受給することができる、国が定めた制度です。子どもが18歳になった日以降の最初の3月31日まで受給することができます。
もらえる金額は、子どもの数や所得によって異なってきます。
手当を全額支給できる場合、金額・所得制限などは以下のように設定されています。
子どもの人数 | 児童扶養手当(月額) | 所得制限 |
1人 | 42,330円 | 57万円 |
2人 | 52,330円 | 95万円 |
3人 | 58,330円 | 133万円 |
手当の金額を決定する「所得」は収入とは異なるものです。自分の年収は把握していても、所得はすぐにはわからない…というケースもあるのではないでしょうか?
所得と収入の違いを確認してみましょう。
■収入・・・会社から支給されるお給料の全額
■所得・・・収入から給与所得控除などの各種控除を差し引いたもの
もし源泉徴収票を手元にお持ちなら、「給与所得控除後の金額」という欄を見てください。そこに記載されている金額が所得になります。
すぐに所得がわからない場合、計算式を利用して年収から所得を割り出すことができます。例えば年収が120万・160万・180万だった時、それぞれの年間所得金額はおよそ以下のようになります。
年収 | 所得 |
120万 | 55万 |
160万 | 95万円 |
180万 | 108万円 |
年収が120万だった場合、所得は55万となるため、児童扶養手当の全額を受給できると考えることができます。
ただし児童扶養手当の判断基準となる「所得」は、さまざまな要素を元に割り出されています。上記の所得金額はあくまで参考とし、受給対象であるか、受給額がいくらになるかは必ず地域の自治体で確認しましょう。
交通機関の割引制度
児童扶養手当の受給世帯は、ほかにもいくつかの割引・減免制度を利用することができます。
その中のひとつが「交通機関の割引制度」です。JRの通勤定期乗車券を普通定期運賃の3割引で購入することができます。
また東京都在住者には1世帯1名「都営交通無料乗車券」が発行され、都営地下鉄全線、都バス、都電、日暮里・舎人ライナーを無料で利用することができます。
このほか「下水道の減免制度」「粗大ごみ等処理手数料の減免制度」も設けられています。
ひとり親家庭のための支援(東京都の制度)
国だけでなく、自治体で設けられている制度もあります。ここでは東京都の制度を紹介します。
児童育成手当
子ども1人につき、月額13,500円の手当を受け取ることができる東京都の制度です。子どもが18歳になった日以降の最初の3月31日までが受給することができます。
この手当も受給できるかどうかは所得金額によって決まりますが、児童扶養手当より所得制限が高く設定されているので、より多くのひとり親家庭が受給できるのが特長です。
児童育成手当の所得制限額は以下のように設定されています。
扶養親族数 | 所得制限額 |
1人 | 398万4千円 |
2人 | 436万4千円 |
3人 | 474万4千円 |
年間所得が398万円の場合、年収はおよそ565万円となります。つまり、年収が565万円未満で子どもが1人の場合、受給対象になると考えることができます。
ただし、この手当についても受給対象となるかどうかは必ず地域の自治体で確認してください。
ひとり親家庭等医療費助成制度
医療費を負担してくれる東京都の制度です。世帯に住民税課税者がいる場合は医療費の1割を負担、住民税課税者がいない場合は無料で医療機関を受診することができます。
就学援助制度
学校生活で必要な費用の一部を援助してくれる制度です。
学用品・通学用品費、学校給食費、校外活動費、修学旅行費、林間学校費など学校生活で発生するがあります。
受給条件・援助額は自治体によって異なるため、援助を希望する場合は地域の自治体で詳細を確認しましょう。
どんな支援が受けられるか、必ず確認しましょう
ひとり親家庭が受けられる手当・助成制度や受給額は、住む地域によって異なるものもあります。また、受給額や対象条件が更改されることもあります。どんな支援が受けられるか、しっかり把握しておきましょう。
<参考>
(Photo by:写真AC )