家や車など高額なものをローンで購入するというのは珍しい話ではありません。一方で、ローン地獄やローン破産なんて恐ろしいケースも耳にします。暮らしを豊かにするためのローンなのに、それで生活が破綻してしまうのは本末転倒ですよね。そこで今回は、家計の安定のために考えておくべき「ローン」のポイント3つをまとめてみました。
この記事の目次
- ポイント1:不動産の営業担当の提案は自分達にとって最適なのかどうか
- ポイント2:自分達にあった月々のローン返済額を考えておこう
- ポイント3:「支払総額での得」を狙うか、「家計の安定」を取るか
- いちばん大事なのは何かをもう一度考える
ポイント1:不動産の営業担当の提案は自分達にとって最適なのかどうか
車でも不動産でもそうですが、営業は売るまでがお仕事であり、売った後のローン返済までは責任を持ってくれません。
「一般論」は万能ではない
営業さんが提案してくるローン返済計画は、基本的に「一般論としては返済可能な計画」であると考えた方が良いでしょう。
この「一般論としては」というところがポイントで、これは実際のライフプランや家計の安定までは考慮していない、つまり「あなたにとって現実的かどうかは考えられていない」ということです。
しかし、営業さんは何とかして商品を売りたいはずですから、甘い営業トークで様々なアピールをしてくると思います。
その中で気をつけたいのが「他の方は皆…」「皆さん…されてますよ」という「みんなやってるので大丈夫」というキーワード。
よそはよそ、うちはうち
他の家と自分の家では家族構成や収入、金銭感覚など様々な事情が異なり、当然同じように支払えるとは限りません。
例え支払い自体は可能だとしても、今後数十年の家計が苦しくなってしまうのでは、とても大丈夫とは言えませんよね。
ローン返済は自分と家族の数十年に渡る生活に不安がつきまとうか否かに関わることです。
他人任せにはせず、自分や家族にあった計画になっているかを自分自身でもしっかりと考えてみましょう。
ポイント2:自分達にあった月々のローン返済額を考えておこう
実際に借入可能な金額としては、ローンの年間返済額が概ね年収の35%~40%となるように、借入年数を調整した総額(金融機関によっても異なります)であることが多いようです。
例えば年収が350万円の人は年額およそ122万円~140万円、月額で10万円~12万円程度となります。
気をつけたい「年収」の意味
年収350万円、月収29万円から出すのであれば、月額10万円~12万円程度なら意外と返していけるのでは?と思われるかも知れません。
しかし、気を付けていただきたいのは、この年収、月収は手取りではなく「総収入」であるという点です。
実際の手取り月額はざっくり計算して23万円程度、ここから毎月10万円超をローン支払いに当てると考えればどうでしょう?これは結構キツイと感じるのではないでしょうか?
目安はあくまで目安
そのため、返済額の目安は総収入のおよそ25%以内と言われることが多く、年収350万円の例で言えば年間およそ87万円、月額では7万円程度以内に収めた方が良いようです。
しかし、長い目でみればお子さんの就学状況や夫婦の就業状況によって家計バランスも変わってきますし、万が一の備えに貯金も必要になってくるでしょう。
上記の数字はあくまでも目安として過信せずに、一度自分達の大まかなライフプランを立ててみて、ローン以外でどれくらいお金が必要になるか、どれくらい余裕があれば安心かということを検討した上で返済額を考えてみてください。
完済までの期間もお忘れなく
また、頭に入れておかなければならないのが「就業可能な年齢のうちに完済できるか」ということ。
収入があるうちは余裕があっても、年金生活になった後も同じ額を払い続けられるかと言えば…不可能ではないにせよ、かなり不安がありますよね。
返済額を検討する上では「将来も含めた家計への負担と完済時期のバランス」、これらが重要になってくるかと思います。
ポイント3:「支払総額での得」を狙うか、「家計の安定」を取るか
ローンの返済を考える上で外せないのが「金利」、つまり借り入れ中に発生している利子です。
全額の支払いを猶予してもらって分割の支払いをしているため、元々借りたお金に加えて利子も支払うことになります。
借入期間を焦って決めるのはNG
借入金には利子が発生しているので、支払総額で考えれば長く借りているより、短く借りていた方が当然少なくて済みます。
借入金を早めに返す方法として、月々の返済額を増やす他、繰り上げ返済を行うという手段があるのですが、これらを行う際に考えておかなければならないことがあります。
借入期間を短くしてしまうと...
確かに、早めに多く返せば最終的に支払う額が少なくなるため「出費を抑える=家計に優しい」とも思えます。
しかし、ローンの支払額を支払い可能な上限金額ギリギリに設定してしまうと、急な出費などに対応が効かない、常に貯蓄がないといった状況から、普段の生活が安定しなくなってしまい、最悪家計が破綻してしまうケースもあるので注意が必要です。
知っておくべき変動金利のリスク
金利には「変動金利」「固定金利」があり、プランによっては、数年間固定金利の後に変動金利となるものもあります。
変動金利は、景気などの状況によって半年に一度適用金利が変更される方法で、固定金利は、借り入れた時の適用金利を完済(あるいは決められた期間)までそのまま固定する方法です。
一般的に双方を比較した際に変動金利の方が金利が低く、シュミレーションでも月ごとの返済額が少なく見えることもあって、変動金利の方が得のように見えます。
変動金利はリスクが高い
しかし、変動金利は完済までの期間に文字通り金利が変動するため、リスクもかなり高いということを知っておく必要があるでしょう。
金利の長期的な変動幅を正確に予測することは専門家であっても難しく、借りた時より更に下がることも考えられますが、逆に急激な上昇も十分に考えられるということです。
そして、後者の場合は状況によって返済額のほとんどを利子に当てなければならなくなり、そもそもの借入金(元金)が減らなくなってしまうということもありえます。
まずは日々の暮らしを安定させることが重要
繰り上げ返済や変動金利を選択すること自体が必ずしも間違っているという訳ではなく、環境や状況によってはむしろ有効に活用できる場合もあるでしょう。
しかし、少しでも支払い総額を減らそうとした結果、途中で家計が破綻してしまうのでは本末転倒です。
「支出総額を減らす」ことも大事ですが、あくまで日々の家計が安定するということを前提の上で、余裕があれば考えるのが良いのではないでしょうか。
いちばん大事なのは何かをもう一度考える
迷った時は、そもそも何故ローンを組んでまでそれを購入する必要があるのかを思い出してみましょう。
それは自分や家族が幸せになるためのはずで、ローン返済で地獄を見る羽目になれば意味がありません。
専門家や他の人がどう思ったとしても、自分達自身が納得して安心できることが何より重要です。
今現在ローン組みを検討している人もそうでない人も、子供の将来や自分達の老後のためにも「余裕のある安定したローン返済」について、よく考えてみることをおすすめします。
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