「ママを扶養に入れるか、入れないか」。
パパもお勤めしていると、一度は聞いたことがあるかなと思います。でも実際に「扶養」のことを説明できるパパはどのくらいいらっしゃるでしょうか・・?
そこで今回は、「扶養ってそもそもなに?」ということから「扶養に入れるメリット・デメリット」をご紹介!子育てママがお仕事を再開されるときの参考になればと思います。
扶養に入れると、世帯収入の税金対策になるかも!?ぜひチェックしてみてくださいね。
この記事の目次
- いまさら聞けない「扶養」ってどういう意味?
- 「控除」って何?
- 「130万・103万・150万の壁」って何?
- 扶養のメリット・デメリット
- 実際に身近であった例
- 扶養に入る手続きの方法
- 働き方はさまざま。家族でしっかり相談しよう
いまさら聞けない「扶養」ってどういう意味?
よく「扶養に入れる、入れない」という話がありますが、そもそも扶養には大きく分けて2種類あります。それは「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」です。これらを順に説明していきます。
1.社会保険上の扶養について
これは、「被保険者の社会保険に入るかどうか」ということ。
わかりやすく言うと、「パパの会社の社会保険に、ママが入るかどうか」ということになります。一般的に「扶養に入れる」と言われると、このことを指すことが多いです。
パパの扶養にママが入ると、パパの会社からママの保険証が発行されて、ママの社会保険料はパパとパパの会社が負担することになります。
2.税法上の扶養について
これは、「年末調整のときにママが配偶者控除を受けられるかどうか」ということ。
これもわかりやすく言うと、「ママの所得に課税される税金(所得税)が安くなるかどうか」ということになります。
よく『「控除」と聞くと、「払った税金が返ってくる」と思っている』方が多いのですが、実を言うと全く違います!!詳しくは次のセクションで説明していきます。
「控除」って何?
「控除」とは「課税される税金が安くなる」ことです。「控除」と聞くと「払った税金が戻ってくる」と勘違いされる方が多くいますが、それは違います。
払った税金がもどってくるのは、年末調整の結果「税金を払いすぎているということがわかった場合のみ」です。
また、ママを扶養にいれるにあたって「控除」が受けられるのは、「税法上の扶養」の場合でこのことを「配偶者控除」といいます。次のセクションで説明していきます。
「配偶者控除」とは?
配偶者控除とは、「ママの所得税・住民税の税額が一部安くなること」を言います。
ポイントは「ママの」税額が安くなる、ということ。パパの税金控除にはつながらないですが、ママの税金控除によって家計全体の税制対策になりますので、この部分はしっかりおさえておくようにしましょう。
「130万・103万・150万の壁」って何?
扶養という言葉を聞くと必ず出てくるのがこの「130万・103万・150万」という金額。ここでは、それぞれの金額の意味について説明していきます。
<130万の壁について>
こちらは、「社会保険上の扶養」にママを入れる場合、ママの年収制限金額になります。
つまり、ママがパパの扶養に入って働くときには、年収を130万円以内になるように働いてね、っていうことです。これを1ヶ月あたりの月額にすると、おおよそ10万8,000円になります。
仮に時給1,000円で8時間勤務の仕事をママがする場合、
10万8,000円 ÷ (時給1,000円×8時間)=13.5日
となるので、月の半分弱は勤務ができることになります。
もちろん時給が高い仕事であれば、自然と勤務日数は減っていきますので、このあたりはママの時間の使い方によって調整してもよいかもしれません。
<103万・150万の壁について>
こちらは、「税法上の扶養」にママを入れる場合、ママの年収制限金額です。この年収の範囲内であれば、ママが「配偶者控除」を受けることができます。
2018年1月より、法改正によって配偶者控除の年収上限が103万円から150万円に引き上げられました。
以前のルールをご存知の方には「103万の壁」と認識している方もいらっしゃると思いますが、現在は「150万円の壁」に変わっていますので、ご注意ください。
この150万円を月あたりに換算すると、12万5,000円となります。
仮に時給1,000円で8時間勤務の仕事をママさんがする場合は、
12万5,000円 ÷ (時給1,000円×8時間)= 約16日
となります。
扶養のメリット・デメリット
さて、ここまで扶養のこと、年収制限の「壁」の話をお伝えしてきました。ここでは、実際にママを扶養に入れるメリット・デメリットを整理していこうと思います。
<ママを扶養に入れるメリット>
主に以下2点が挙げられます。
1.ママはパートなどの時短のお仕事なので、ご自身のペースで仕事ができる。
2.配偶者控除が受けられるので、家計の税制対策にもなる。
先述の通り、月あたりのママの収入は10万円から12万円の間になるため、パート社員として勤務することとなります。
年収は制限されてしまいますが、育休明けからの仕事復帰となればいきなりフルタイムで働くことに抵抗を感じるママさんもいらっしゃるかなと思うので、ご自身のペースで仕事をすることが可能です。
収入的にはちょっとしたお小遣いにもなるので、ママが買いたいものを買えるようになるかもしれませんね!
また、配偶者控除を受けられることで、負担する税金額も減らせます。ある程度税金が抑えられれば、家計にも大きな負担なく収入が担保できますよ!
<ママを扶養に入れるデメリット>
主に、以下3点が挙げられます。
1.ママが「がっつり稼ぎたい」というニーズには応えられない。
2.ママは自分の年収をきちんと把握しておく必要がある。
3.パパの年収額によっては、税法上の扶養にママが入っていても配偶者控除を受けられないことがある
ママのなかには、「せっかく働くならフルタイムで、もらえるならボーナスも・・」と考える方もいらっしゃると思います。
そうなると、現実的に130万円や150万円の年収は簡単に超えてしまいますので、パパの扶養に入りながらの勤務はできません。
結果的にママの年収に対して所得税なども課税され、もちろん控除という考え方もなくなってしまいます。ですので、ママの年収管理は非常に大事です。
さらに、実は2018年の法改正で、ママを税法上の扶養に入れるときの年収上限が103万円から150万円に引き上げられた結果、パパの年収が1,220万円を超えると、配偶者控除を一切受けられなくなりました。
このくらいパパが稼いでいたら、そもそもママが働かなくてよいという声も聞こえてきそうですが(笑)、ママが働いてしまうと、働いた額に対してまるまる税金を払わないといけないことになります。
実際に身近であった例
これは、とあるママがパパの社会保険上の扶養に入って仕事をしていたときのことです。
ママは昔から「アパレル関係で仕事をしてみたい」と思っていて、育休明けで切りよく1月からショップ店員のアルバイトをすることになりました。
仕事にも慣れてきて、11月ごろからショップも年末商戦で大忙し。ママもお店から信頼されるスタッフに成長して、残業もするようになってきました。
ママは働くことが楽しくて、残業も快く引き受けていました。
そして、年末調整にてご自身の年収を計算してみると・・・。なんと130万円をこえてしまっていました・・。年末商戦の残業代が思いの外かさんでしまっていたのです。
その結果、さかのぼって社会保険に加入することになってしまい、泣く泣くご自身で社会保険料を払うことになってしまいました。
こういうこともよく起こりうるので、ママの年収管理はパパもしっかり把握しておく必要があるでしょう。
扶養に入る手続きの方法
こちらは、パパの会社に問い合わせをするのが一番の近道!問い合わせると、会社から書類が用意されて、ママの年収など必要事項を記入することとなります。
ここでの注意点は、「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」の追加は、書類が全く異なること!会社に問い合わせるときには、どの扶養に入れるのかを明確に伝えるようにしましょうね。
働き方はさまざま。家族でしっかり相談しよう
以上、扶養に関して説明してきましたがご理解いただけましたでしょうか?
ママが育休後働きたいと思っているなかで、どのように働きたいか、またどのように働いたら家族全体にとってメリットがあるのか、ということは、ママとパパの間でしっかりすり合わせた上で決めていく必要があります。
働き方はさまざまですが、お子さんのことが二の次にならないように計画を立てていくのがよさそうです。
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