パパとの家事分担に悩むママは多いはず。かくいう筆者も、家事分担に頭を悩ませているママのひとり。多くの夫婦に起こりうる「見えない家事」の悩みにも直面しました。今回はこの見えない家事についてみていきたいと思います。


この記事の目次


見えない家事・名もなき家事とは


その名の通り、名前はないがそこには確かに頭や身体を使う作業が発生している家事のこと。


家事を大きく分けると「掃除」「洗濯」「料理」「買い物」の4つ

これら4つは家事としてよく耳にする家事でしょう。しかしどれもその一言で終了するものではありません。


そこには多くの、名称がない見えない家事が存在するのです。


そしてこの見えない家事こそが、夫婦の家事負担の悩みのポイントにもなっています。


家事育児負担の少ない日本のパパたち・ワンオペで悩むママたち


そもそも、日本は男性の家事育児負担が少ない傾向にあります。


男性の育児と家事の時間は週1時間!

厚生労働省の「夫の家事・育児分担と妻の出産意欲」によると、6歳未満児のいる家庭の男性の育児や家事関連時間は1時間で、女性は7時間27分でした。


一方、アメリカの場合は男性が3時間13分、女性が6時間10分、ノルウェーでは男性が3時間12分、女性が3時間26分、フランスでは男性が2時間半、女性が5時間49分でした。


つまり、世界ではパパがママの半分ほどの時間を家事や育児など家庭に割いているのに対し、日本は7分の1以下と女性の負担が圧倒的に大きいことがわかります。


これは歴史的背景や、働き方などさまざまな理由が考えられるでしょう。


しかし、核家族化が進み、地域とのつながりが希薄な現代では、ワンオペ育児のママへの家事負担が大きく、パパとの家事分担は必要不可欠なのです。

 

旦那がほとんどおらず出産後の家事が負担に

筆者の場合、両家両親が遠方で頼れず、旦那も仕事が忙しい、海外出張があるなどでほぼワンオペ育児です。日曜日にしか会えません。


独身の頃や子供のいない間はそれでも特に大きな問題はなかったのですが、ワンオペだと育児と家事の両立が産後の体調不良もあって思うように進まず、家事がとてつもなく負担になりました。


そうして家事の分担をお願いすることになったのですが、ここで待ち構えていたのが「見えない家事」の壁だったのです。


見えない家事をやっていることを知ってほしい孤独なワンオペ育児

家事分担も過労気味の旦那にお願いするのは心苦しいものもありましたが、こちらも負担が重すぎて立ち往生してしまったため、いくつか旦那にお願いするも、モヤモヤが募る出来事ばかり。


お風呂洗いをお願いしたら、浴槽は洗ってくれるけど、洗い場がぬるぬるなのはそのままだったり、排水溝のたまった髪の毛はとってくれなかったり、お風呂の洗剤が詰め替えられていなかったらお風呂を洗ってくれなかったりと「お風呂洗い」に集約されるはずの作業が全然できていませんでした。


しかし、仕事を頑張っている旦那にいうのもはばかられる、そもそもなかなか会えないので、そのことをいう機会も逃し続けていました。


ついにある日決壊して、涙ながらに旦那に訴えました。


そこで気づいたのは「見えない家事をしてほしい」というのと「見えない家事をしている妻に感謝してほしいし、その気持ちを伝えてほしい」ということでした。


見えない家事や名もなき家事をピックアップ


見えない家事をしてもらう、もしくは感謝してもらうにはどんな作業があるのか、ということを知ってもらう必要があります。ここでは筆者が直面した見えない家事をいくつか紹介します。


ゴミ捨て

見える:ゴミステーションにゴミを捨てる
見えない:ゴミ捨てをしたあとのゴミ箱に、ゴミ袋を設置して元の位置にゴミ箱を戻す


洗濯

見える:洗濯機を回して、干して、取り込む
見えない:靴下の丸まったのを伸ばす、子供のポケットの中をチェック、ゴミフィルターのごみを取り除いて掃除する、使いきるタイミングで詰め替え補充する。周囲の邪魔にならない時間帯に洗濯機を回す、予約する。


片付け

見える:しまう
見えない:無秩序にしまわれたおもちゃをカテゴリーごとに分けて収納する、そしてカテゴリー分けを子供に教えながら一緒に片づける


買い物

見える:晩御飯の食材を購入
見えない:家にある食材と、スーパーの特売商品をチェックしながらバランスのいい献立を考えて購入する


他にもありますが、ぜひ一度、ママが思う見えない家事を思い浮かべてみてください。

 

見えない家事を見えるようにする!「名もなき家事命名!」

思い浮かべたら次は、その見えない家事を分担できるようにしていくことが大切です。


見えない家事の分担に必要なのは「見えない家事を見える化」すること。そのためには見えない家事に名称をつけてみましょう。


名前をつけるなんて難しい、という方はこちらの書籍がおすすめです。


やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。

(出典:Amazon


育児休暇を取得して、家事を経験した著者の梅田悟司さんが『もはや育児労働、仕事のほうが楽!』とまで感じた名もなき家事の多さ。


その名もなき家事をこなしてきた方への尊敬を込めて本書を書かれたのだとか。

その一部を抜粋してご紹介します。



タッパー神経衰弱
タッパーのフタと容器を正しく組み合わせる家事


書籍には詳細の説明やマンガ、所要時間ややれやれ度が記載されていて、読み応え抜群。ママは共感の嵐かもしれませんね。


こちらの本をパパにも読んでもらうことで、見えない家事が見えるようになるでしょうし、命名を活用することもできますよ。


個人的には「レジ・セレクト」と「米粒アタック」がかなりツボでした。



家事はリスト化する!簡単なのは「ホワイトボード」


家事が命名出来たら、次はその家事をリストアップします。ノートなどでもいいですが、おすすめはホワイトボード。


冷蔵庫などにひっつけるタイプのものだと、パパにもしっかり見てもらうことができるでしょう。


リスト化することにはこんなメリットがあります。
・家事の種類を知ってもらう
・家事の多さを知ってもらう
・リストをみながら分担について話し合える
・家事分担の割合も可視化できる


またホワイトボードだと
・不要な家事があればすぐに消せる
・赤いマグネットはママ、青いマグネットはパパなどのルールを決めて、担当家事にマグネットを置くだけで分担が分かりやすい


という利点もあります。


我が家はホワイドボードをエリア分けして、それぞれのエリアに家事の内容を記載しました。それぞれルーチンの家事欄と当日する家事欄があり、当日する家事欄は家事が終われば消すというかたちで運営していました。


今は分担がルーチン化されて、当日する家事欄のみの運用です。


また子供の就学状況が変わったり、仕事の内容が変わったりすれば、それに応じてルーチン家事分担も変化する可能性がありますので、そのときは再びルーチン欄を復活させるかもしれません。


ママの水準に満たなくてもよしとする


見える家事見えない家事にかかわらず、家事分担をするときに私が気をつけているのが「自分の水準に満たなくても不平不満を必要以上に言わない」ということです。


我が家は夜のお皿洗いは旦那の担当。みんなが寝静まったあとに帰ってきて、お皿洗いをしてから就寝。


朝起きると洗った食器が水切りラックの上にあるのですが、同じ食器が重なっていて食器と食器の間に水滴がたまっていたりすることがあります。


出来れば水滴がたまらないように、水切りラックの上に置いてほしいものですが、ここを求めてせっかくしてくれている家事をしてくれなくなるのは困りもの。


重なった食器の水滴をふき取ってから食器棚に戻す、という見えない家事は筆者の作業にはなります。


しかし、それでもやってくれていることで実際に夜のお皿洗いの負担は軽減しているのと、作った人への感謝の気持ちのお皿洗いという側面もあるため、この見えない家事は今のところ不満はありません。


水準は夫婦それぞれで違うので、多少満たなくてもよしとする心持も大切です。


見えない家事含め家事分担には話し合いが必要不可欠!


名もなき家事に名をつける、家事をリストアップするなど、見えない家事について知ってもらう方法はありますが、家事分担で一番大切なのは夫婦の会話です。お互いの考えや思いをすり合わせていくからこそボンタンができるのだと思います。我が家も少しずつアップデートを重ねている最中ですが、やはり話し合いを経ての分担です。


夫婦の時間の使い方は自由ですが、家事分担の話し合いは家族運営における大事なミーティングですので、ぜひ夫婦で取り組んでみてくださいね。



(参考:厚生労働省「夫の家事・育児分担と妻の出産意欲」 )

(Photo by:写真AC