待ちに待った我が子が生まれ、育児をしていく中で「子育てのしづらさ」を感じることはありませんか?そのしづらさの原因はもしかすると無意識な思い込み、アンコンシャス・バイアスかもしれません。


この記事の目次


無意識な思い込み…アンコンシャス・バイアスとは


アンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)とは、unconscious=無意識的と、bias=偏見という意味で、自分で気づかないうちに物事を偏った見かたをしている「無意識な思い込み」のことです。


例えば「理系だから」「文系だから」といふうにステレオタイプ的に決めつけを無意識にしてしまうことなどはアンコンシャス・バイアスと言えるでしょう。


他にも、「今まではこうだった、だからこのやり方がいい」や、「クラスのみんながもっているゲーム機だから私もした方がいい」というものも、無意識な思い込みかもしれません。


アンコンシャス・バイアスはみんな持っている

こういった無意識な思い込みは一見すると、悪いこととして捉えてしまうこともありますが、今まで自分自身が見聞きしたもの(経験)に照らし合わせて、理解するのはごく当然のこと。


みんな誰しもがアンコンシャス・バイアスを持っているのです。


問題なのはアンコンシャス・バイアスによって、一方的に決めつけたり、押し付けたりしてしまうこと。そしてそれは他者を傷つけたり、揉めたりする原因になるだけでなく、自分自身を苦しめることにもなります。


ママたちの育児におけるアンコンシャス・バイアス


今回私たちの調査株式会社カラダノート「ママを取り巻くアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の調査」リリースでは、子育て世代のママたちにおいては、このようなアンコンシャス・バイアスが多いことがわかりました。


3位「ミルクよりも母乳の方がよい育児」

ママのうちおよそ4人に1人は、「ミルクよりも母乳の方が良い育児」という思い込みがあるようでした。しかし、世界的にみれば、完全ミルクでの育児がスタンダードな国もあり、日本も過去には「母乳よりもミルク育児がよい」とされていた時代もあったのです。


2位「ママじゃないと泣き止まないなど、子供のぐずりはママが対応すべき」

およそ3人に1人が「子供のぐずり対応はママ」と無意識に感じているようです。


1位「ママは、家事や育児をするのは当たり前だ」

半数以上のママが「家事育児はママがするもの、パパが少し家事や育児を負担するだけで世間から褒められる」という風に思っていることが調査の結果からみえてきました。


ママのアンコンシャス・バイアス=「世間の声」?


これらのアンコンシャス・バイアスはママが無意識に思っていると同時に、見えない「世間の声」としても認識されているのかもしれません。


情報化社会による見えないプレッシャー(偏見)に悩むママたち

ネットによる匿名者による中傷、同じ状況の人たちへの心無い一言。スマホで調べものしたり、なんとなくニュースを流し読みしたりするママが、それらを「世間の声」として認識することがあります。


「電車で赤ちゃんが泣いていた、赤ちゃん連れで乗らないで」

「こどものことなんて片時も目を離さない、私はそうしてきた」


これらの声は、直接ママにかけられた声ではありません。(もちろん、なかには直接声をかけられることもあります)


しかし、これらの声を知ると軽視できないママが多いのではないでしょうか。


傷つけたくない・傷つきたくない・育児への自信のなさが無意識の偏見をつくる

『こう思われているかもしれない』と相手を思いやることで、人を不快にさせたくない、傷つけたくないがために『赤ちゃん連れで電車に乗らないようにしよう』と思うこともあるでしょう。


また『こういうことを直接言われたくない』と、自己防衛のために『赤ちゃん連れで電車に乗らないようにしよう』と思うこともあるでしょう。


これらが無意識でそう思い込まれる背景には「育児への自信のなさ」があります。


育児はとても楽しいものである一方、責任が伴うもの。特に乳幼児の頃は、はじめてのことばかりな上に、子供との意思疎通をはかることも難しいため、「これでいいのか」という気持ちが大なり小なりあのです。


その「世間の声」自分を苦しめていませんか?

不快に思われたくない、傷つきたくない心理や子供をきちんと育てたい、子供を守りたいがために、他人の声、「世間の声」を受けて肩身の狭い思いをしないように生活する一方で、その「世間の声」が自分を苦しめることもあります。


2人に1人のママが感じている「ママは、家事や育児をするのは当たり前だ」というアンコンシャス・バイアスは、「世間の声」なのでしょうか。


義両親はそう思っているはず、実の両親でさえも…。旦那もそう思っているだろう…というママの思い込みである場合もあります。


その場合はまさに「世間の声」の蓑をかぶった、ママ自身の無意識な思い込みと言えるでしょう。


まずは自分で「思い込み」に気づくことが大切


まずは育児におけるアンコンシャス・バイアスに気づくことが大切です。

無意識ですので、気づかずに自分を苦しめている場合があります。


例えば、「ママじゃないと泣き止まないなど、子供のぐずりはママが対応すべき」というのは果たして本当にそうなのでしょうか。


今の子育て世代の親世代は、男女雇用機会均等法が施工された1982年の頃には成人していた方も多く、寿退社・専業主婦で子育てはママが担う、何かあれば近所のママ友を頼るという子育てをしてきた人たちが多いかもしれません。


そういった人たちの「経験」から考えると確かに、子供のぐずりはママが対応するもの、というイメージを持ちやすいのもわかります。


しかし、今の時代にはその考えはそぐわないのです。こういった無意識な思い込みを持つ他者によって時に苦しめられることもあるかもしれません。


しかし、自分がそう思い込むがゆえに子育てがしづらくなっていう場合もあります。


夜泣き担当は仕事で疲れたパパでもいい

毎日毎日、夜泣きにママだけで対応していたら疲れるのは当然。

育休中であろうと、関係ありません。隣の奥さんができていようとも関係ありません。


子供の夜泣きの頻度も、ママ自身の体力も違うのですから。


実際、私は毎日終電で帰ってきて朝6時に出社する夫に、朝4時に夜泣きする息子を託したこともあります。


夫は大変です。でも父親です。

夫は毎日ひとりで寝ていて、こちらは子供二人と寝ていて気が休まりません。

たまにくらい夜泣き対応してくれ!と託しました。


託した後、しばらくわーわー声が聞こえていました。

それはかわいそうでも何でもありません。


夫にとっては父親として、慣れない夜泣き対応にあれやこれやと自分で考えて対応するだけのこと。


息子にとっては、母ならこうしてくれるけど、他の人ならそうとは限らない、ということを学ぶきっかけです。


この考えにアンコンシャス・バイアスを持って攻撃してくる人もいるかもしれません。

しかし、同時に救われる人がいることも知っています。


まずはママ自身が「○○すべき」と思っていることは本当に、今この瞬間にとってすべきことでしょうか。

この思い込みについて考えることが悩みや子育てのしづらさから抜け出す一助になるのです。


育児におけるアンコンシャス・バイアスへのメッセージ


ママたちにおけるアンコンシャス・バイアスは他にもいくつかあげられました。


ここでは、そのアンコンシャス・バイアスで苦しむママへ、心が軽くなるメッセージをおくりたいと思います。


母親が(子どもを父親等に任せ)一人で外出することが悪いことのように感じる。

29歳  0歳児のママ

何も悪いことではありません!どうぞひとりで外出してください。 離れる時間も愛情を育みます。そしてパパとの愛情を育む時間も大切です。


ママは乳児連れであちこちに出かけてはいけない。

45歳  0歳児のママ

乳児といっしょに行けるところならどこへでも。 国際結婚の帰省で、生後3ヶ月にしてフライト12時間という人がいます。 準備と行く場所・時期などは選ぶ必要はありますが、どんどん出かけましょう。


仕事のために保育園に預けるのは子供が可哀想(仕事は収入面以外の理由で、ママのやりがいや昇格のため)

29歳 0歳児のママ

仕事も生きがいのひとつ!育児だけなんてもったいない。 今の時代はたくさん選択肢があります。 やりがいや昇給のために仕事をしてもいいんです。 そもそも保育園は「保育」のプロです。 プロなら安心です。ママだって自分の人生ですから、よくばりに生きましょうよ。


仕事をしているパパの方が大変で偉い。

33歳  0歳児のママ

仕事をしているパパは大変ですよね。えらいですよね。 でも、比べる必要はないですし、比べられるものでもありません。 仕事をするパパも大変、家事育児をするママも大変。


 自分自身の思い込みに気づいて大変ながらも楽しい育児ライフを!


もし今育児がしんどいなら、まずは自分が「育児はこうあるべき」と考えているものがどの経験に基づいているのか紐解きつつ、「こうあるべきとは限らない」部分を発見できるようにしてみて下さい。

気づいた時点で無意識ではなくなるので、その気づきに基づいて行動を起こしてみることが、育児の悩みを減らすコツかもしれませんね。


(Photo by:写真AC

調査概要:ママを取り巻くアンコンシャスバイアス
調査期間:2020年3月6日〜2020年3月9日
調査対象:「ママびより」メルマガ登録者、ママびよりシリーズアプリの利用者
回答人数:276人
調査方法:インターネット調査