2020年、新型コロナウィルスによって働き方や暮らし方に大きな変化を強いられている人たちが多いことでしょう。もとより昭和・平成・令和と家族の在り方は変化してきています。今回は子育ての変化と、小さな子供を持つパパやママの令和スタイルの家族の在り方についてみていきます。
この記事の目次
- 昭和時代・平成時代の家族スタイル
- 出産後も女性が働く!令和は共働きが主流の社会へ
- 家事・育児・介護などの無償労働が令和スタイルの課題
- 家事育児はこうして乗り切る!ワークライフバランスを保つポイント
- 令和の家族スタイルは多種多様!「自分たちにあったスタイル」を選ぼう
昭和時代・平成時代の家族スタイル
「産めよ増(殖)やせよ」という言葉を聞いたことがありますか?
これは今からおよそ80年前(1941年)の日本の政策のひとつです。
1940年代の出産は「産めよ増やせよ」「団塊世代」
具体的には
・5人以上、子供をもうけましょう
・たくさん子供が産まれた家庭には優遇措置あり
といった内容の政策で、まだ戦争をしていたころの時代です。しかし1945年に終戦し、国家主義から自由主義への変貌を遂げることによってさまざまな変化が訪れました。
それまでの「産めよ増やせよ」の名残か、戦争が終わったからなのか、1945年以降の日本では空前のベビーラッシュが訪れます。
いわゆる「団塊世代」という世代の人たちのことですね。団塊世代とは1947年~1949年生まれの方たちの事を指します。
少子化が進む家族のかたち
1949年に生まれた赤ちゃんは269万6638人。
2019年の出生数86万4000人のおよそ3倍もの赤ちゃんが、その年に誕生していたことになります。
1950年以降、日本の出生率はどんどん出生率が下がっていきます。
これは、戦前の産めよ増やせよなどの国家主義から、戦後の日本国憲法制定によって自由主義的思想が広まったことにより、家族のかたちが変化していったことが考えられるでしょう。
■戦前 ■戦後 |
そして、1991年のバブル崩壊で日本は不景気に。この頃から、さらに少子化への一途をたどり、少しずつ「パパが働き・ママが専業主婦」から「夫婦共働き」のスタイルへと繋がっていくのです。
昭和・平成の家族スタイルの変遷
この100年足らずで日本における主流の「家族」のあり方はどんどん変化しています。
昭和中期(戦前スタイル) 昭和後期(戦後スタイル) 平成(バブル崩壊後) |
家族の数だけ家族のかたちがありますので、一概にこうだとは言えませんが、主流の家族の変化をみる限り、
「夫の両親との同居は大変」→核家族化へ
地域の専業主婦同士で支え合う→不景気で共働きへ
核家族状態での共働きによるママの負担増
という、ママ側の問題を解決するも、情勢によって起きた変化に伴い新たな問題が生じているのではないか、という風に私は感じました。
出産後も女性が働く!令和は共働きが主流の社会へ
家族のかたちが変わっていくのと同時に、女性が仕事に就くことに対しての意識にも変化が表れています。
子供ができても、ずっと職業を続ける方がよいと思う割合
1984年(昭和59年)
女性:20.1% 男性:15.7%
1992年(平成4年)
女性:26.3% 男性:19.8%
2002年(平成14年)
女性:38.0% 男性:37.2%
2012年(平成24年)
女性:48.3% 男性:46.6%
2019年(令和元年)
女性:63.7% 男性:58.0%
「出産しても仕事をする」のがスタンダードな社会へ変化
「出産しても仕事」という意識を持つ人たちは、男女ともに昭和末から平成初期にはおよそ2割程度しか居ませんでしたが、令和になると6割程度と多数派へ変移してきているのです。
パパやママが生まれたころは、少数派だった考え方も時代とともに主流へと変化しているのですから、家族の在り方が変わっていくのも当然と言えるでしょう。
家事・育児・介護などの無償労働が令和スタイルの課題
それでは、令和における家族の在り方はどうなっていくのでしょうか。
世界に目を向けてみると夫婦共働きはそう珍しくありません。しかし、日本は家事や育児介護などといった無償労働を女性が担うことが多い国なのです。
家事育児などをパパの5.5倍も担う日本のママたち
OECD(経済協力開発機構)が2020年にまとめた生活時間の国際比較データによると、無償労働は、どの国も男性より女性の方が長いものの、日本は男女比がもっとも大きいという結果でした。
実に日本の女性は実に男性の5.5倍もの無償労働に携わっています。その次が韓国の女性で、男性の4.4倍、そしてイタリアの女性は男性の2.3倍と続きます。
その他の諸外国の無償労働における男女比は、
女性:男性 =2:1 以下
であることが多く、日本の
女性:男性 =5.5:1
男女比をみると「日本の女性、頑張りすぎじゃない?」と思ってしまいます。夫婦共働きが主流の時代では、ママが担う無償労働をいかにパパが担うかが課題といえるでしょう。
でも待って!パパの有償労働時間肩の問題も
しかし「家事育児を夫婦で分担する」のが令和スタイルである、というには早計かもしれません。
というのも、男性の有償労働時間を見た時に、日本の男性はどの国よりも長く働いているからです。
前出のデータによると、日本の男性の有償労働時間は「452分」とおよそ7時間半。これは、諸外国平均の317分(5時間17分)を2時間以上上回っています。
つまり、日本は
「男性は長時間働けど報酬は不景気でさほど得られず、共働きでなければ家族運営がきびしい。女性は家事育児の負担が大きいまま、仕事も担うためより大きな負担がかかる。」
という、閉塞感の強い家庭が増えている状況ではないでしょうか。
男性の長時間労働の是正が必要
夫婦で共働き・共家事・ツーオペ育児をするには、男性の長時間労働をいかに減らしていくかが、令和スタイルへとアップデートするためのポイントのひとつ。
しかし、団塊世代の昭和的な思想が残る企業では、この長時間労働の是正が困難である可能性が高いと考えられます。パパたちは家事育児をしたいと思っていても、会社の環境によってはなかなかできず苦しめられているのかもしれませんね。
家事育児はこうして乗り切る!ワークライフバランスを保つポイント
男性の長時間労働の是正も大切ですが、育児は待ってくれません。長時間労働是正以外のポイントを見ていきましょう。
ママたちがしてきた無償労働をどう分担するかがカギ
専業主婦が主流だった昭和スタイルのママたちが担ってきた「無償労働」。令和の時代はこの無償労働をどう分担していくかが課題です。
社会の多様化に伴い、方法はさまざまですが
・両親と同居する(無償労働をパパ・ママ・じぃじ・ばぁばで分担)
・ツーオペ育児(夫婦で分担する)
・家事代行などのサービスを利用
大きくわけて上記の3つが考えられます。
ママやパパたちが育ったスタイルに引きずらない
また、意識の変化も大切です。
子育てをするしないにかかわらず、不寛容な社会へと変貌を遂げているため「間違わないように」というプレッシャーが大きいかもしれません。
特に妊娠中や乳幼児を育てている時期はその責任が強く感じられることが多く、ワンオペ育児ともなるとプレッシャーだけで壊れてしまいそうになるママも多いはず。
そのためまずは、自分が育ったスタイルに引きずられないことが大切です。
例えば、専業主婦の母親のもとに育ったママやパパは「家庭のことは女性がするべき」という思い込みを持ちがちになります。
そうなると、必要以上に自分を責めるママや、必要以上に妻を責めてしまうパパになってしまい、家庭がギスギスする結果に。
時代が違えば、子育ての仕方も違う。日々アップデートされていますので、「私は(俺は)令和の時代で育児をしている」ことを念頭においてください。
まわりの声は「欲しい情報だけを手に入れる」
昭和スタイルなどを引きずった祖父母や祖父母世代の人から、心無い言動を受けることもあるかもしれません。そんなときは「この人たち令和にアップデートできていない」と思って受け流しましょう。
年配者としての敬意は大切ですが、全ての言葉を真に受ける必要はありません。
そもそも昔より今の方が「ラク」になっていないとおかしいわけです。日々、進化しているのですから。
育児にスマホだって使っていい。
テレビが普及した時代に「子供にテレビばっかり見させて!頭が悪くなるよ!」と言われていた人たちが「子供にスマホばっかり見させて!頭が悪くなるよ!」と言っているだけです。
もちろん、スマホを使わない育児でもいい。
同じ時代に子育てをしていても、多様化が進んでいますので、家庭によってそれぞれなのです。
自分の欲しい情報を手に入れるだけでいい。ただし、自分にとって不要な情報を否定するのは大人げないですし、誹謗中傷なんてのはもっての外。
不安な時や、自分を優位にしたい時、人は相手を誹謗中傷することで自分を保とうとすることがあります。もし、こんな状態になったらあなたがとっても疲れているサイン。どうかゆっくり休むことを最優先にして下さい。
大事なのは、ママやパパ・子供のためを思ってすることなら、犯罪でもない限り取捨選択して活用することに間違いはないということです。
サービスは人の需要から生まれますので、ベビーフードも、ロボット掃除機も、産後のマッサージも、オンラインレッスンも、なんでも使えるものはうまく取り入れる。
それが令和の子育てをうまく乗り切る一番のポイントのように思います。
令和の家族スタイルは多種多様!「自分たちにあったスタイル」を選ぼう
これからママやパパになる人たちや今小さな子供を育てている人たちのご両親は、戦後の昭和生まれ。ワークライフバランスも今とは大きく異なります。そのため、自分が育ってきた環境の通りの子育てでは通用しません。
自分のご両親の話は昭和・平成スタイルとしての参考例にとどめ、同じ世代のパパやママの体験談を参考にしつつ、ご自身と奥さんのふたりで自分たちならではの家族スタイルを確立する…令和は「みんなちがってみんないい」のダイバーシティな育児を楽しめるといいですね。
(Photo by:写真AC)
参考文献:内閣府「令和2年版男女共同参画白書」