妊娠すると、「これって食べていいの?」と気になることが増えますね。
アルコールがよくないのは知っている人も多いでしょう。しかし、辛いものはどうでしょうか。
『辛いものって刺激物だから、赤ちゃんにも辛味の成分が行ってしまうとよくないのかな?』
と辛いの大好きママは気になりますよね。
妊娠中に辛いものはOK!です。
辛み成分が胎児に何らかの影響を及ぼすことはないからです。
とはいえ、辛いものをとりすぎるとママの健康被害がありますし、それによって胎児にも影響が出る可能性はあります。
また生ものやウナギなど辛味に合う食材によっては注意しなければならないこともあります。
この記事の目次
妊娠中に辛いものは食べてOK!「適量」を心がけて
妊娠中に辛いもの食べていいかどうか、と悩むプレママさん。
妊娠中に辛いものは食べていいんです!
※ただし過剰摂取はNG。
何故妊娠中に辛いものを食べていいのかというと、コーヒーに含まれているカフェインやお酒のアルコール、昆布など海藻類に含まれているヨウ素など、胎児に何らかの影響を及ぼすような特定成分が含まれていないからです。
上記のカフェインやアルコール、ヨウ素などは過剰摂取によって胎児の健康や発達へのリスクが高いとされていますが、「辛い」という刺激にはそういった成分はありませんし、辛味が胎児に伝わることはありません。
とはいえ、妊娠中にあえて「激辛チャレンジ」や「汗がだらだら出るような辛味料理を食べ続ける」といった過食は控えましょう。
何事も適量が大切です。
辛すぎる&食べ過ぎると起こる3つのリスク
辛味には胎児に影響する特定の成分というものはありません。
しかし、辛いものを食べすぎると体調が悪くなる場合もあるのです。
さらにママの身体の変化によって胎児に影響を及ぼすケースもあります。
腹痛・下痢
辛いものを食べるとのどがヒリヒリしたり、お腹が痛くなったりすることがあります。
これは辛いものを食べることでのどや胃の粘膜に傷がつくから。
旦那が辛いもの好きなのですが、たまに排便ですらヒリヒリした、と言っているほどです。
農林水産省によるとトウガラシに含まれる辛味の主成分「カプサイシン」が原因とのこと。
参考:「個別危害要因への対応(健康に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質) カプサイシンに関する情報」(農林水産省)
胃を痛めてしまうことで胃腸の機能が低下し、下痢になることもあります。
妊娠中はホルモンバランスの変化によっていつも以上に下痢になりやすい時期です。
下痢が直接胎児に影響を及ぼすことはありません。
しかし、頻回に下痢になっていると子宮収縮を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。
腹痛が辛味の成分で傷ついた痛みなのか子宮から発する痛みかわかりにくいこともあります。
発汗による脱水
上記で出た「カプサイシン」には発汗作用があります。
汗を大量にかくことで、脱水症状になりやすくなるでしょう。
妊娠中は妊娠前より体温が高くなる上に胎盤を通じて胎児に栄養送るため、脱水症状が出やすい状態です。
辛いものを食べすぎると、脱水症状を加速させてしまうかもしれません。
急激な体重増加
辛いものには食欲増進の働きがあります。
そのためついつい食べすぎになってしまうかも。
令和3年より、妊娠中の体重増加の目安がゆるやかにはなりましたが、それでも急激な体重増加や目安をはるかに超える増量は注意が必要です。
妊娠中でなくとも、辛いものを食べると上記3つのような体調の変化はおこります。
辛いものに限らずですが食べ過ぎは健康被害の元。
普段であれば、自分が体調を崩すだけで済みますが、妊娠中は胎児の健康にも悪影響を及ぼしかねません。
辛いものは楽しむ程度にとどめておきましょう。
【辛味別】辛味を足す食材に気をつけよう!
辛味の成分が直接胎児に影響を与えるのではなく、辛味によって引き起こされる諸症状に妊娠中は気をつけたい、とお伝えしました。
もうひとつ気をつけてほしいのが、辛味と和える食材です。
その食材が「妊娠中には避けた方がいい」「食べすぎ注意」であれば、注意したいところ。
辛味別の注意点をまとめました。
ツーンとした辛さ
ワサビ・カラシ・ネギ・ニンニク・ダイコンなど
和食に合う薬味。ツーンとした清涼感のある辛味ですね。
日本人なら大好き!という方も多いでしょう。
つわりの時に清涼感のある辛みが救世主になる人も多いはず。
しかし、ワサビに合う食事「刺身」には注意が必要です。
ワサビ×刺身
刺身は生のおさかな。
生ものは食中毒のリスクがあります。
食中毒で下痢を起こすことで脱水症状や子宮収縮が起こり胎児に影響があるかもしれません。
特にマグロの刺身には注意してください。
マグロの中にはメチル水銀という物質を多く含む種類もいるため、妊娠中に食べる量に気をつけなければならない食材です。
メチル水銀は、胎盤を通り抜けます。
高濃度になると胎児の神経障害などを引き起こす可能性がありますので、摂取量に気を付けましょう。
厚生労働省からは
クロマグロやメバチマグロなら1回の食事の刺身(約80g)は 週1回まで
など食事量と合わせて注意喚起がされています。
参考:「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(平成22年6月1日改訂)」(厚生労働省)
参考:「妊産婦のための食生活指針(平成18年2月)」(厚生労働省)
刺身は私も大好きですが、妊娠中は生ものを控えていたので食べず。
しかし栄養としては魚を摂取したかったので、メチル水銀のリスクが少ない魚を選んで煮魚や焼き魚にしたり、マグロもシーチキンなどは週1や隔週で食べていましたよ。
山椒の辛さ
山椒
山椒の辛さはサンショオールによるもの。サンショオールはカプサイシンの仲間。
妊娠中に食べても問題ありませんが、ほどほどに。
山椒×うなぎ
山椒と言えばうなぎ。しかし、うなぎは妊娠初期は注意が必要です。
うなぎに含まれているビタミンA。
妊娠初期にビタミンAの過剰摂取をすると胎児奇形のリスクが高まると言われています。
つわりも始まる頃ですから「山椒のかかったうなぎが食べたい、それしか食べれられない」という人もいらっしゃるかもしれません。
その場合はアナゴのかば焼きに山椒をかけて食べてみてはどうでしょうか?
(アナゴのビタミンA含有量はうなぎの5分の1程度)
他にも鶏肉やサンマのかば焼もチャレンジしてみてください。
参考:「お母さんになるあなたへ(平成23年4月8日更新)」(内閣府 食品安全委員会)
熱くなるしびれるような辛さ
トウガラシ
トウガラシを使った辛味は色々ありますね。
日本なら「七味唐辛子」「一味唐辛子」など粉上のものがぱっと思い浮かぶでしょう。
他にはピザに使う「タバスコ」や、「ハバネロソース」「デスソース」「サルサソース」などにはトウガラシが含まれています。
韓国の料理で有名なキムチの辛味もトウガラシです。
先述の通り、食べ過ぎると腹痛や発汗による脱水の原因になります。
生姜の辛さ
生姜
生姜の辛み成分はショウガオール。すっとした辛さとぽかぽか体が温まる感覚が特徴的。
つわりの時にも口にしやすく、ジンジャーエールが人気です。
さらに身体を温めて、血行を良くしてくれるので冬場の妊婦さんにもおすすめ。
私は妊娠中期~後期は豚肉の生姜焼きをよく食べていました!
スパイシーな辛さ(カレー)
スパイシーなものはいくつかありますが、ここでは辛さの代表として「カレー」で使うスパイスを中心にみていきます。
カレーは食べすぎ注意
カレーは食材やスパイスよりも、カロリーオーバーによる体重の急増が懸念材料です。
一般的なカレーの食材(人参・玉ねぎ・じゃがいも・肉)には妊娠中に控えるべきものはありません。
それよりも、食欲をそそるスパイシーな香りが食欲を増進させます。
この食欲増進の香りの原因は「クミン」というスパイス。
クミンはカレーには欠かせないスパイスで、香りには食欲増進の効果があると言われています。
また程よい辛さも食欲増進に拍車をかけるでしょう。
ちなみにカレーにもよく使用されている「ウコン・ターメリック・ナツメグ」などのスパイスは子宮収縮の作用があるそうですが、適量食べる分には問題ありません。
とある日の献立がカレーでも問題ないということです。
おかわりをしない、あらかじめ蒸し野菜などで腹を満たしておく、ルールを決めて食べた方がよさそうですね。
辛さより大事なのは栄養バランス
妊娠中に辛いものは食べてOK!
辛味の成分で胎児に影響を及ぼすことはないからです。
でも腹痛や脱水症状・急激な体重増加を招くような食べ方はNG!
ママが体調不良になる、ママの体調不良が胎児に影響を及ぼす可能性があるからです。
つまり、辛さの度合いよりも「何をどれだけどう食べるか」の方が重要ということです。
これは妊娠中にかかわらずですが、身体は食事でつくられます。
偏食をしていては体調を崩しがちになるでしょう。
そうならないためにも、妊娠中は特に栄養バランスのとれた食事をとりたいものです。
適度に辛味を取り入れて、バランスのいい食事を心がけましょう。