「語りかけ育児」はイギリスの言語聴覚士サリーウォード氏によって提唱された育児方法。


産まれてからの4年間で適切な言語的な刺激「語りかけ育児」を行うことで言語発達をスピードアップさせ、学習知能を高める方法です。


方法は「静かな環境で1日30分、話しかけること」


語りかけ育児は赤ちゃんの学習知能を高めるだけでなく


・ママのストレス解消

・ママの脳の活性化

・親子のコミュニケーション時間の確保


と、ママにとっても嬉しいメリットあり!

共働きで忙しいママも注目の人気上昇中の育児方法にせまります。


この記事の目次


1日30分の語りかけが学習知能を高める


1日30分。


産まれた時からママが話しかけることで学習知能を高める効果があります。


赤ちゃんがママの言葉をしっかりと聞く機会を持つことで、脳の聴覚野を発達させることができるからです。


言葉は「聞く」→「話す」→「書く」の順で習得しますので、小さなうちから語り掛けることが大事なのです。


「語りかけ育児」を提唱している言語聴覚士のサリーウォード氏によると、語りかけ育児をしない家庭のおよそ85%に3歳の時点での言葉の発達遅れが残ったとのこと。


聞くことが大事な時期に語りかけをすることに良い影響がある、という研究結果へと繋がっていったのです。

参考:「0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児(2001/6/26)」著者:サリーウォード 出版社:小学館

 

カンタン!1日30分語りかけ育児のやり方


語りかけの方法はとっても簡単!


①静かな部屋で行う。
②30分間、赤ちゃんに話しかけたり、発達や興味に合わせて遊んであげる。

この2つだけ。

一日30分なら忙しいママもこれなら時間がとれそうですね。

参考:「0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児(2001/6/26)」著者:サリーウォード 出版社:小学館


0~1歳の語りかけ育児のコツ


サリーウォード氏はの提唱によると赤ちゃんへの語りかけ(ベビートークプログラム)を時期にあった語りかけのコツがあるとのこと。

0~1歳の乳児期についてまとめました。


新生児~生後3ヶ月

1日30分。赤ちゃんに話しかけます。


「おはよう」

「だいすきだよ」


など短くてシンプルな声掛けをしてください。


声掛けは続けて言わず、一言おきに深呼吸をするくらいゆっくりと話しかけましょう。


この時期は声掛けの文章の種類は増やさず、同じフレーズを繰り返してたくさん使用します。


生後半年~生後9ヶ月

この頃の赤ちゃんは繰り返し行動をゲームのように楽しみます。


同じ行動をするとママが同じ言葉を発することで、意味を理解するようになります。


例えば赤ちゃんが車のおもちゃをおすときに「ブーブー」と擬音語をママが言う、などです。

ただし、「ブーブーだよ、ブーブと言ってみて」と真似をするように促さないこと。


1歳~1歳半

音のなるおもちゃなど言葉や音を「聴く」ことを楽しむ時期。


親の語りかけは2語文や3語文などの短文を意識して語り掛けましょう。

参考:「0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児(2001/6/26)」著者:サリーウォード 出版社:小学館


語りかけ育児で注意したいポイント3つ


①言い間違えを修正しない
②要求しない
③前向きな語りかけをする

①言い間違えを修正しない

言い間違えを修正しようとすると、新しく覚えた言葉を「間違えるかもしれない」という不安から発せなくなってしまうからです。


②要求しない

「ママと同じように言ってみて」と繰り返すことを要求するのはNG。

発達段階的に同じ発音が困難な時期に無理をすると負担になってしまうかもしれません。


③前向きな語りかけをする

前向きな語りかけは自己肯定感を養います。

パパやママたちもそうですが「前向きな声かけ」は元気がもらえますよね。

自分を肯定的に受け止めて前向きに進むことができるのです。

参考:「0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児(2001/6/26)」著者:サリーウォード 出版社:小学館


孤育てでママが声を出すことの3つメリット


語りかけ育児は実はママにも嬉しいメリットがあるんです。

ママが声を出すことには以下の効果があります。


①声を出すことでストレスが発散される
②ストレスを吐き出す
③脳が活性化される

①声を出すことでストレスが発散される

声を出すとストレスが発散できるのは、「唾液」にあります。

実は唾液が出るとストレスが減る、という研究結果があるんです。


話すことで口まわりの筋肉が動き、唾液が分泌されストレスが増えると増加するホルモン「コルチゾール」が減少し、緊張や抑うつなども改善されると言われています。

参考:「カラオケで気分スッキリには、科学的根拠があった(2016/11/26)」(ヘルスUP日経Gooday 30+)


②ストレスを吐き出す

ストレスを感じていると、身体はしんどくなります。

それをずっと抱えていればいるほどどんどん身体は重怠くなってくるでしょう。

そういう時は声に出してストレスを吐き出してすっきりしちゃいましょう!


これは「カタルシス効果」と言います。


カタルシス効果とは不安や不平不満などを声に出す(解放)ことによって、イライラがおさまりリラックスできること。


誰かとの会話だけでなく、独り言でもカタルシス効果は得られます。

語りかけの言葉としては使いにくいかもしれませんがお昼寝時間にそっと呟いてみて。


そして「お母さんって独り言多いなぁ」と思ったことがある方。

あなたのお母さんはカタルシス効果によってリラックスしようとしていたのかもしれませんよ。


③脳が活性化される

声を出すことは脳の活性化に繋がります。

脳にはさまざまな領域があります。


頭で考えているときは思考領域のみが動いている状況。

声に出すことによって言語領域が動き、自分の口から出た声を聞くことで聴覚領域も動きます。


考えているだけより声に出す方がはるかに脳が活性化されるのです。



さらに声を出すことで孤独感を和らげる効果もあると言われています。

子育ては「孤育て」と言われるくらい、孤立しやすい現代の子育て。


大人とのコミュニケーション不足による孤独感は、赤ちゃんに話しかけたり、赤ちゃんの行動にリアクションをとることで自分の不安も和らぎますよ。


効果的な話し方「相手には”わたし”」「自分には”あなた”」


語りかけの言葉選びに迷う、少しずつ言葉を覚えてきた子どもとどう話したらいいだろう。

そんな時に覚えていてほしいのが


「子どもに話しかける時は「わたし」を主語にして話しかける」

「自分に向かって独り言を言うときは「あなた」を主語に話しかけるようにつぶやく」


ということです。


子どもと話すときは「わたし言葉」を使う

わたし言葉とは主語が「私」から始まる言葉のこと。


アメリカの心理学者であるトマス・ゴードン博士が「PET(親業訓練)」のひとつとして提唱してます。


親の言葉は「早くしなさい」「○○してはダメ」といったように「あなた」が主語になることが多く、否定や非難、命令が多くなり子どもの意見を尊重しない言葉になりやすいのです。


「ゆっくりしていると私が遅刻をして困ってしまう」

「部屋が汚くてがっかりしちゃう」


など、わたし言葉をかけると子どもは「自分が行った行為を親がどう感じているかがわかる」だけ。


命令も非難もされておらず、行動は子どもの判断にゆだねられるため、子どもの意思を尊重していることに繋がりやすいのです。

参考:「親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方 (1998/10/1)」著者:トマス・ゴードン 出版社:大和書房 


赤ちゃんのうちはまだそういったやり取りはできませんが、成長するにつれ増えてきます。


まだ言語的なコミュニケーションが取れないうちから親自身の成長のため、「わたし言葉」を使い始めてみましょう。


自分の独り言には「あなた言葉」を使う

2014年にアメリカのミシガン大学で行われた独り言に関する研究によると、「自分に対して「わたし」に話しかけた独り言」より「「あなた」に話しかけた独り言」の方がストレスや不安が減ったという結果が出ています。


「あなた」と自分自身に2人称で話しかけることで自分を客観視でき、自分のイライラや不安といった感情から距離をとることが出来るのです。


自分に向けての独り言はぜひ「あなた言葉」を使ってみてください。

参考:「独り言はストレス解消に効く?効果的な独り言のポイントは|臨床心理士が解説(2021/12/28)


1日30分!語りかけ育児でママも子どもも前向きに!


はじめての育児は不慣れでママも疲れることが多いですよね。


子どもの健やかな成長を願うとともにママ自身のストレスや不安も軽減したい。


そのふたつを叶えるのが「語りかけ育児」ではないでしょうか。


親子のコミュニケーションを1日30分。


欠かさずおこなえば、子どもが小学校に入学するころには

65700分~76650分(1095時間~1277時間・45~53日間)も親子の時間をとっていることになります。


子育ては小さな積み重ねの連続。

小さすぎて、焦ってしまったり落ち込んでしまったりすることもありますが、確実に積みあがっていくものでもあります。


この30分は子どもの成長の時間でありながら親子のコミュニケーション、愛情を育む時間であり、親としての成長の学びの時間でもあるのです。


そうして積みあがたものは自信に代わり、子どもも親も前向きになっていけるはず。


いつからでもできる語りかけ育児。

ぜひあなたの子育てにも取り入れてみてくださいね。