産後『生理痛が重くなっている』気がしませんか?


およそ3割のママが産後に生理痛が重くなったと感じています。


実はこれ「産後のゆらぎ」で起こる月経困難症なんです。


産後の生理痛で育児に支障が出てしまうのは避けたい。

そしてママ自身のQOLが下がるのもつらいですよね。


産後のゆらぎによる月経困難症は産婦人科の治療対象です。

症状や状況に応じて、漢方や低用量ピル、IUS(ミレーナなど)などが処方、処置されます。


産後のゆらぎ以外にも病気が隠れている場合がありますので、『生理痛が重くなった』と感じるママは一度産婦人科で診てもらうようにしてください。


筆者も産後の生理痛に苦しみ、乳児を育てる難しさに直面したひとりのママ。


2児を出産後過多月経と診断され、現在はミレーナを装着しています。


今回は生理が重くなったママ代表として実体験も添えてお伝えしていきます!


この記事の目次


産後に生理痛が重くなるママはおよそ3割


ママびよりの調査によると産後に生理痛が重くなったと感じたママは29.3%とおよそ3割。


10人に3人のママは出産後の生理が重くなった、生理痛がひどくなった、と感じていることがわかりました。


■産後の生理痛は産前と比べて変化しましたか?


変わらない、の中に元より重い人もいるので、ママの中で生理が重い人は3割以上にのぼると考えられます。


参照:「産後の生理痛についての調査」実施時期2022年5月 有効回答数266名(ママびより)


生理が重くなる原因「産後のゆらぎ」「病気の可能性」

生理が重くなる原因には大きく分けて2つ。


病気によっておこるもの(器質的月経困難症)と、それ以外(機能性月経困難症)です。


産後が原因になるケースとしては「産後のゆらぎ」によるものがあげられます。


産後のゆらぎによる月経困難症


産後に生理が重くなるのは出産による影響があります。


妊娠出産による身体への影響は産後1年続くとも言われているからです。


筆者も産後半年ごろに身体のトラブルがあったのですが(尿漏れなど)出産の影響によるもの、と言われることがいくつかありました。


産後のゆらぎ①ホルモンバランスの変化

女性の月経はホルモンによってコントロールされています。


生理が重くなるのは【プロスタグランジン】というホルモンの働きによるもの。


プロスタグランジンは発熱や痛みを起こす物質で、陣痛の際にも分泌されています。


このプロスタグランジンが過剰になると、痛みが強くなるのです。


 
産後は妊娠・出産・母乳育児によってホルモンバランスが乱れやすい時期。

その乱れによってプロスタグランジンが過剰に分泌され、生理が重くなることに繋がります。


参考:「月経痛(生理痛)(2016/03/28)」(女性の健康推進室 ヘルスケアラボ)

参考:「生活習慣病を誘導するプロスタグランジン経路の発見―抗メタボ薬の候補としてアスピリンやEP4拮抗薬の新たな効能に期待―」(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)


産後のゆらぎ②生活の変化

出産後、ママの生活は「赤ちゃん中心」の生活へと変化します。


授乳による睡眠不足や、運動不足、他人とのコミュニケーション不足、食生活の変化など生活の変化によって自律神経が乱れ、生理が重くなることがあります。


生活の変化の場合、生活習慣(睡眠時間や食生活など)の見直しなどで、改善することが可能です。

しかし、産後は赤ちゃん中心の生活になるため、わかっていても改善が難しいかもしれません。


産後のゆらぎ③ストレス

不安なことが多いと痛みが強まることがあります。


乳児の育児は小さな命を守るプレッシャーから不安になりやすい時期。

そのため、産後は普段よりストレスを感じやすい時期のため、生理痛の痛みも強く感じやすくなるのです。


子宮筋腫や子宮内膜症などの病気


産後にかかわらず、生理量が多い、腹痛がひどいなど、生理が重い場合は何らかの病気が隠れている可能性があります。


代表的な病気

・子宮筋腫

・子宮腺筋症

・子宮内膜症


産後の生理の量が多い、腹痛がひどい、下痢、頭痛、腰痛、足腰に力が入りにくい、などといった自覚症状がある場合は産婦人科を受診してみましょう。


産後の生理にまつわる問題と3つの対策


産後の生理が重いことで困るのは「家事育児ができない」こと。


ママひとりであれば、お腹や腰を温めて、ゆっくり寝て休養することもできるかもしれませんが、乳児がいる家庭では難しいですよね。


さらに授乳中であれば、鎮痛剤を飲んでいいものかどうかも悩みどころ。


全てのママの生理痛が重くなるわけではないため、周りの無理解や情報の少なさも、生理痛を抱えるママを悩ませる問題になります。


また、出血をした状態で乳幼児とお風呂に入ることに抵抗があるママも多いでしょう。


生理痛が元々重いママさん、重くなったママさんたちへ3つの対策をご紹介します。


対策①支援者・サポートを増やす

①祖父母に頼る

②夫に頼る

③ベビーシッターを利用する

④一時保育を利用する

⑤ファミサポなど行政の保育支援を利用する

生理がつらい、と感じる人はそのタイミングに育児をバトンタッチできる支援者を確保することが欠かせません。


急な病気と違い、生理はあらかじめ予測がつきやすいので事前に対策が取りやすい体調不良です。


ワンオペ育児になりがちな人ほど、頼ることのできる場所や人を増やしておくことをおすすめします。


対策②産婦人科で処方してもらう

①漢方薬

②低用量ピル

③IUS(ミレーナ)

赤ちゃん中心の生活をしていると、つい自分の体調は後回しにしてしまいがちに。

しかし、重い生理は病気が隠れている可能性があります。

そうでなくとも、生理ごとに自身の身体がつらいのも避けたいものです。


産後のゆらぎによって症状がある場合は治療対象になります。


のちほど詳しく書きますが、産後の不調に効く漢方薬もありますよ。


授乳や今後の妊娠出産計画などを含め、ママの状況・症状によっては低用量ピルやIUSも保険適用で処方してもらうことも可能です。


★低用量ピル・IUS

 避妊薬だが、月経困難症などの治療として処方される場合は保険適用となる。

 ※低用量ピルは2008年・IUSは2014年より保険適用になりました


参考:「《ピル&ミレーナ®︎体験マンガ①》月経トラブルで困っているなら婦人科へ行こう!(2019/7/3)」(medicommi)

参考:「《ピル&ミレーナ®︎体験マンガ④》ピルが産後のつらい症状を和らげる強い味方に!(2019/8/21)」(medicommi)


対策③ベビーフードなど便利グッズを活用

①ベビーフードを常備

②ベビーバスで子どもだけお風呂

③大人も入れるベビーサークル

生理中は家事育児がしにくいことを見据えて、便利グッズを準備しておきましょう。

離乳食はベビーフードを活用してみて。

容器付きのタイプだと、お皿にあけて出す、お皿を洗うといった家事も削減できるので便利ですよ。


お風呂は一緒に入らない、という選択肢もあります。


パパなど赤ちゃんと一緒にお風呂に入ってくれる人がいない場合、ママは着衣のまま、赤ちゃんだけベビープールなどでお風呂に入れるでもOK!

ベビーバスでの入浴も難しい場合は、濡れタオルで身体を拭いてあげるだけでもさっぱりしますよ。


大人も入れるベビーサークルは、筆者が活用していた方法です。

ベビーサークルの中にわが子と一緒に入り、ママはその中で横たわっておきます。


子どもはベビーサークル内でしか活動しませんので、家じゅうを移動して危険な目に合うことから守ることができますよ!


筆者は「過多月経」に!漢方やピル・ミレーナで生理と向き合う


筆者も産後の生理に苦しみました。


26歳で子宮内膜症と診断され、そこから第1子を妊娠する少し前まで低用量ピルを数年間服用していました。


第一子の産後、生理が再開したのですが、どんどん生理痛が重くなり、育児がままならなくなったのです。


産婦人科を受診し、子宮は問題なし。


血液検査の結果、産後のストレスで脳がうまく指令を出せないためホルモンが分泌されていない、という産後のストレスとホルモンバランスの乱れからくるものと判明しました。


(子どもに握りつぶされた跡のある検査結果)


「当帰芍薬散料」という漢方を処方してもらい、妊娠前に服用していた低用量ピルも出してもらいました。


■筆者の第1子産後の生理トラブルマンガ

《妊娠育児あるある漫画⑰》産後の生理にまつわるトラブルについて 後編(medicommi)


第2子の産後は ミレーナを装着


2人目の時は3人目の出産を考えていなかったことと、今までの自分の生理痛や子宮内膜症の既往歴を踏まえ、2人目の卒乳後すぐにミレーナを装着しました。


さらに産後のイライラ対策に「桃核承気湯」も処方してもらいました。


ミレーナを装着して3年経ちます。

装着後の3ヶ月ほどは生理が続きましたが、それ以降は生理がなく快適そのもの。

現在はたまに不正出血がある程度です。


筆者は0歳2歳の2児をワンオペ育児でしたので、ミレーナで生理をとめているおかげで乗り切れたと言っても過言ではない、と感じています。


■筆者の第2子産後の生理トラブルマンガ

《ピル&ミレーナ®︎体験マンガ⑤》産後の月経トラブルを解決する、もうひとつの切り札って?(medicommi)


「痛み」は身体のサイン!生理痛で生活に支障があるなら産婦人科へ


女性の人生は生理が左右すると言っても過言ではない、と筆者は感じています。


10代で起こる初経からはじまり、50代ごろに閉経するまで、妊娠出産期や病気をのぞき生理はおよそ1ヶ月ごとにやってきます。


痛みがなくとも経血が出る感覚だけでも不快なのに、産後の育児の大変な時に生理が重くなるのは本当につらいものです。


産後はホルモンバランスが乱れやすく、生活の変化やストレスなど生理が重くなるきっかけがたくさんあります。


この状態を放置していると、ママのQOLが下がり、育児ノイローゼに繋がる可能性もありますし、何らかの病気が隠れていたり、第2子不妊になったりする可能性もあるのです。


育児が大変な時期だからこそ、生活の変化を受け入れ、支えてくれる人を増やしてワンオペ育児にならないようにすることが大切です。


とはいえ、状況によっては難しいこともあります。


その場合は便利な育児グッズを活用してなんとか乗り切りたいですよね…!

本当、毎月ぎりぎりで乗り越えている全国のお母さま方。お疲れ様です。


そしてなにより、痛みがある状態は「ふつう」ではありません。


生理なんて毎月あるものだから、と軽視せず、まずは産婦人科を受診してみてくださいね。