ステップ離乳食のコンテンツ監修を頂いている小児科医の先生がステップ離乳食内で実施した、鉄欠乏のアンケートについて記事にまとめていただきましたのでご紹介します。


生後6ヶ月を過ぎた頃には徐々に減っていく鉄分。赤血球の材料になり、全身に酸素を運ぶ役割をしているためとても大切です。不足すると、健康面・精神面ともにさまざまな影響を及ぼすため、積極的に取り入れていきたい栄養素です。



以前、離乳期と鉄欠乏について「生後6ヶ月以降で生理的に鉄欠乏になりやすいことを知っていますか?」というアンケートを行いました。

参考:「「鉄欠乏」についてのアンケート(2022/4/7~4/14)」(回答者/アプリ「ステップ離乳食」ユーザー 回答者数/238名)(カラダノート)


「知らなかった」という回答が23%、「聞いたことがある程度」という回答が35%という結果となりました。

その中でも、鉄補完の具体的な方法を知っている保護者さんはわずか22%ほどでした。

実は不足している?赤ちゃんの鉄分事情



赤ちゃんは胎内でママからもらった鉄分を蓄えて生まれてきますが、その蓄え(貯蔵鉄)は約半年の間に使い切られ、それ以降は、母乳、ミルク、離乳食から摂取していくことになります。

しかし、母乳に含まれる鉄分は100ml中にわずか0.4mgであり、それだけでは成長に必要な量を十分に補うことができません。


厚生労働省から出ている食事摂取基準によると、生後6〜11ヶ月の鉄摂取推奨量は「男児5.0mg/日、女児 4.5mg/日 」。

この値を満たすためには、1日12.5Lも母乳を飲まなければいけないことになってしまいます。ほうれん草に換算すると、225g(約2/3束もの量)になります。


日本の離乳食は、食行動の導入と捉えられがちですが、世界的に見ると、離乳食の位置付けは、母乳やミルクで足りない栄養素を食事から摂取していく補完食という考え方が広く取り入れられています。

鉄分、ビタミンD、カロリーなど不足しがちな栄養素を補完していくのが離乳食の役割と考えると、食材選びも変わってきますよね。


ベビーフードも、海外に比べ、日本は種類が少なく、鉄分に注目しているものは、かなり少ないのが現状です。

そのため、生後6ヶ月以降は、離乳食を進めるうえで、鉄分を積極的に摂取することが大事になってきます。


不足すると恐い!鉄分が大切な理由



鉄分が大事な理由は、いくつかあります。


鉄分は造血に不可欠な栄養素であり、鉄欠乏により鉄欠乏性貧血を引き起こします。

大人は鉄欠乏性貧血の状態にあると、疲れやすい、イライラ、倦怠感、めまい、息切れ、肌のかさつきなどの症状がみられます。


一方で、乳幼児は、そのような症状を訴えることができず、大人から見て、貧血による症状なのかどうかを見極めることは難しいですよね。


また、貧血になっているかどうかを確認するために、こまめに血液検査をするわけにもいかないので、鉄欠乏性貧血にならないように予防していくことが大事です。


貧血の有無に関わらず、重度の鉄欠乏の状態にあると、発育・発達遅滞、免疫機能の低下により感染リスクが高まる、運動機能・認知機能の低下をきたす可能性があると言われ、運動機能・認知機能の低下については鉄を補充しても元の状態に戻らない可能性が指摘されています。


早めの対策が重要!鉄分が必要な理由



日本における母乳栄養児は、生後6ヶ月以降で約20〜30%以上が鉄欠乏性貧血の可能性があると報告されています。さらに貧血の前段階である、鉄欠乏においては、もっと多いのではないかと推測されています。


鉄欠乏とわかってから鉄分を補う治療をしても、鉄分の値が上昇してくるまでには、2〜3ヶ月かかるとされていますので、鉄欠乏とわかる前に対策をしたいですね。


つまり、鉄欠乏になりやすいということを前提に、離乳初期からの鉄分摂取対策が必要ということになるのです。


普段の食事から意識しよう!鉄分の摂取対策



鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、吸収率のよいヘム鉄は肉や魚などに含まれています。

赤身の魚や肉、レバーを取り入れ、調理用に使用する牛乳・乳製品の代わりに育児用ミルクを使用するといった工夫が有効です。


離乳初期から使いやすいほうれんそうや小松菜などの野菜や、豆腐や納豆などの大豆食品、卵には吸収率の低い非ヘム鉄が含まれています。

ただし、非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂取すると、鉄分の吸収率が上がりますので、組み合わせを意識して、離乳初期からの鉄分摂取対策がオススメです。



鉄分以外にも、離乳期に大事な栄養素は沢山あります。多彩な食材に挑戦して、お子さんの食への興味もうながしていきましょう。





小児科医の紹介

都内の小児科で勤務しながら、「食育でより良いライフスタイルへ、心と体が喜ぶ提案」をコンセプトにした食育離乳食をプロデュースしている、2児の母。

小児科医ママとして離乳初期から摂取できる鉄添加のベビーフードが作れないものかと模索し、現在開発中です。

インスタグラムでも、成長・発達に大事な栄養素についての投稿や、開発中のベビーフードについて投稿していますので、ぜひご覧ください。


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