
「子どもがお薬を飲んでくれない…」「土日に熱が出たけど病院に行くべき?」そんな悩みを抱えるママ・パパたちに朗報です。
今回は3人のお子さんを育てながら、Instagramで子ども向けの医療情報を発信している薬剤師の「おびママ」さん(obimama_ikuji )に、子育て世代の医療の悩みについてお話を伺いました。
自身の幼い頃の経験がきっかけで薬剤師の道へ!
おびママさんが薬剤師を目指したきっかけは、子ども時代の思いがけない経験でした。
「私自身が子どものころに、本来なら子どもに飲ませるべきではない種類の薬を処方されてしまって。それが原因で歯に黒いラインが入ってしまったんです。成長期に抗生物質の副作用で歯に着色が残ってしまいました」
この経験と3回の入退院体験から、「人のためになることをしたい」という思いで薬剤師の道へ進みました。
SNS発信のきっかけは「誰もやってない」から!

おびママさんがInstagramで情報発信を始めたのは約1年4ヶ月前。現在は1万4,000人以上のフォロワーに支持されています。
「子ども向けに薬剤師が薬の飲ませ方や病気のことを発信しているジャンルの方が誰もいなくて。でも需要があると思っていたので、先駆者として役立つ情報を届けたかったんです」
最初は全く反応がなく挫折しそうになりましたが、ある投稿が「バズり」、そこから急速にフォロワーが増加。さらに3人目のお子さんの出産日に1万人達成という喜ばしい出来事もありました。
ママたちの「困った!」にお答えします

「どの市販薬を選べばいいの?」
「市販薬は何をどう選んだらいいのか分からないという質問がとても多いんです。ドラッグストアでは登録販売者さんが対応することも多く、病院の薬との飲み合わせや同じ系統が欲しいと言われた時に必ずしも十分な知識を持ち合わせているとは限らないのです」
「うちの子、薬を飲んでくれないんです…」
「粉薬で飲めなければ『シロップに変えてほしい』と相談してみましょう。それでもダメなら座薬があるものは座薬にしてもらうという選択肢も。熱冷ましなどは座薬も用意されているんですよ」
多くのパパ・ママは処方された通りにしか対応できないと思いがちですが、「先生に相談することは全然悪いことじゃないんです」とおびママさん。無理に飲ませようと親子で戦うよりも、別の形態の薬に変更してもらう方が親子ともに楽になれるんですね。
「病院に行くべき?」迷ったときのチェックポイント
「お熱が出たときは、お子さんがぐったりしていたり、高熱だったり、いつもの元気がない状況があれば、まずは病院へ!救急でもいいから連れて行った方がお子さんも楽になりますよ」
鼻水や咳については「嗚咽するほど咳が出るとか、鼻水が出過ぎて辛そうでなければ、基本的には週明けまで様子見ても大丈夫なことが多いです」とのアドバイス。不安な場合は市販薬で2〜3日だけ様子を見るという方法も。
ただし、おびママさんが強調するのは「市販薬はあくまでも2〜3日の、病院受診までの繋ぎとして考えてください。それで完全に治療するという考えはあまり持ってほしくないんです」とのこと。
子どもの「年齢」による対応の違いは?
おびママさんによれば、基本的には小学校に上がるまでは特に注意が必要だそうです。
「小学生になると自分で具合の悪さを伝えられるようになります。小学校上がるまではしっかり見てあげて、上がってからは鼻水や咳程度なら様子を見てもいいかもしれません」
特に「熱性痙攣」は小学校入学前頃までに収まることが多く、小学生になるとその心配も減るとのこと。
ママの笑顔が最高の薬!上手な飲ませ方のコツ

「熱でぐったりしているときは、座薬を使うのも一つの方法。熱が下がってお子さんも楽になれますよ。お尻に入れるのが嫌がっても、高熱のときはそんなこと言ってられないですからね(笑)」
薬の飲ませ方で一番大切なのは、実はママやパパの表情なんだとか。
「うちの子たちは、飲めたらみんなで大げさに褒めまくってます。子ども一人一人性格が違うので、飲ませ方も違いますが、お母さんが笑顔で、飲めたらすごく褒めてあげることが何よりも効果的。それが一番子どもが喜ぶ方法なんですよ」
子育て中のママたちへ おびママさんからのエール

「土日や夜間に子どもが発熱や風邪で困ったときは周りに頼ってください。」
小児救急電話相談(#8000)を活用するのがおすすめだそう。夜中でも看護師さんやお医者さんが対応してくれるので心強いですね。
また、薬剤師は処方箋がなくても気軽に相談に乗れるんです。『処方箋がないと入っちゃいけない薬局なんてない』ので、ぜひ声をかけてみてください」
おびママさんから最後に素敵なメッセージをいただきました。
「子育ては一つのゴールじゃないので、いろんな情報を吸収しながら自分の子育ての仕方を見つけて、楽しみながらぜひやってもらえればと思っています」という言葉に、多くのママ・パパが勇気づけられることでしょう。
お子さんの病気やお薬のことで迷われたときには、ためらわず専門家に相談する勇気を持っていただけたらと思います。
●教えてくれた専門家
- おびママさん(obimama_ikuji)
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こどもの健康をサポートする現役薬剤師。本来子どもが飲むべきではない薬の副作用で歯に着色してしまったという自身の経験から、現在はInstagramで子どもの病気や薬について発信中。今後は勉強会を開催する予定で、直近では保湿に関する勉強会を企画されています。