逆子とは胎児の頭の向きが子宮口とは逆のママの胸側に向いていること。
妊婦健診のエコーで「逆子ですね」と言われると、「出産に影響するかも」と不安になることでしょう。
筆者も妊娠7ヶ月の頃に「逆子」と言われた時は不安になりました。
その日から逆子体操を始めたことは忘れられません。
逆子が出産に影響するのは妊娠9ヶ月ごろと言われています。
そのため、妊娠9ヶ月までは逆子をなおしたい…!と思うママも多いはず。
逆子体操をはじめ、逆子のなおし方を5つご紹介するとともに、逆子の種類や帝王切開になる理由、発達への影響など、逆子にまつわるあれこれをまとめました。
この記事の目次
- 逆子が分娩に影響するのは妊娠9ヶ月ごろから
- 【体験談】妊娠7ヶ月目で逆子になった我が子!不安が募る
- 【逆子のなおし方1】逆子体操
- 【逆子のなおし方2】産道側から声をかける
- 【逆子のなおし方3】マタニティスイミング
- 【逆子のなおし方4】鍼灸・ツボ・マッサージ
- 【逆子のなおし方5】骨盤位外来で外回転術をうける
- 逆子の種類&帝王切開になる理由
- 逆子は脳の発達に影響はしない
- 逆子は妊娠後期でも自然になおることもある
- 逆子でも気にしすぎない!リラックスして過ごすマタニティライフを
逆子が分娩に影響するのは妊娠9ヶ月ごろから
逆子が分娩に影響するのは妊娠9ヶ月ごろからです。
妊娠初期~妊娠中期の頃は胎児もまだまだ小さく、子宮の中をくるくる動き回っています。
そのため、妊婦健診時にたまたま逆子の状態であることはよくあることだからです。
妊娠中期までは逆子については特に気にする時期ではないでしょう。
妊娠8ヶ月で逆子だった時
妊娠後期に入ってからの逆子だと、分娩に影響があるのでは…?と心配になってくるかもしれません。
妊娠8ヶ月、妊娠28週目ぐらいであれば後期に入ったところです。
まだ子宮内に余裕があり動き回りやすい時期です。
どんどんお腹が大きくなり、ママも少し動くだけで疲れやすい時期のため、もう回転しないのではないか…思う方も多いでしょう。
31週目ごろに逆子であっても、まだ頭位に戻る可能性は十分あります。
妊娠9ヶ月で逆子だった時
臨月を迎える前の月です。
ここから出産に向けて頭位になる胎児が多くなります。
妊娠32週目ごろがもっとも羊水量が多いので、逆子の場合は、半数以上が頭位にもどると考えられています。
しかし、33週目以降から時間が経つにつれ、頭位に戻る可能性がどんどん減少。
胎児が大きくなり動くスペースが少なくなってくることや、臍帯の位置が悪く頭を下にすることができない状態が考えられるからです。
そのため、産院によっては、計画帝王切開の話を本格的に進めていく時期でしょう。
臨月(妊娠10ヶ月)で逆子だった時
逆子がなおる可能性はかなり低くなります。
またこの頃になると胎児の機能の発達も十分ですので、計画帝王切開の話が具体的に進められることがほとんどです。
【体験談】妊娠7ヶ月目で逆子になった我が子!不安が募る
下の子を妊娠中、7ヶ月目に逆子になった我が子。
その妊婦健診の帰り道は『まだ大丈夫』とは頭ではわかりつつも『このまま、逆子だったらどうしよう…』と不安になりました。
悩んでも仕方のないこととはわかっていましたし、帝王切開でも元気に産まれてこればそれが一番です。
しかし、妊娠中はホルモンバランスの影響でマタニティブルーも相まって逆子と聞いただけで、心にずーんと重く響きました。
1ヶ月後、妊娠8ヶ月に入ってからのエコー検査で逆子がなおり、頭位になっていることを聞くまで、心の中にずっとそのずーんとしたものが胸の中にあったのを覚えています。
『逆子だったら…』と悩むママの多くが同じような心情なはず。
ましては初産の時であれば、何もかもがはじめてで不安も大きいものでしょう。
周りの励ましが受け止められないくらい落ち込んだ時は
「生まれたら忙しくて忘れるよ」、「元気に生まれたら一番よ」
という先輩ママの言葉も受け止めることが難しいこともあるかもしれません。
旦那さんに相談したくても出来ない、相談しても不安の深刻さが伝わらない、ということもあるかもしれません。
そんなときは、体調が許すなら気晴らしにお散歩や普段いかないおしゃれなカフェなどに行ってみてはいかがでしょうか。
深呼吸をしてからお腹をなでて、胎児と心の中で会話してみるのもいいかもしれません。
不安な時は気持ちもネガティブになりがちです。
ただ、無理に解決しよう、とすればするほど不安が増すこともあります。
逆子は必ずしもママの原因ではありません。
励ましの言葉も耳に入らないほどなら、ひとりで気分転換も大切です。
それでも気持ちがしんどい時は、妊婦検診でなくても産婦人科で相談するのも手ですよ。
あとは、気軽にできる逆子のなおし方にトライするのも前向きになれるかもしれませんね。
【逆子のなおし方1】逆子体操
リラックスした状態で、膝をつき、腰を高く上げ、胸を床につけた四つん這いのような姿勢を取ります。
もしくは仰向きに寝て、お尻の下にクッションなどを挟みおしりの位置を高くするブリッジ法もあります。
どちらも逆子の状態の胎児の頭が下向きになるような姿勢ですね。
【逆子のなおし方2】産道側から声をかける
産道側から、パパやその他の家族などママがリラックスできる相手に「こっちから出てくるんだよ」「こっちむいて」など胎児に話しかけてもらいます。
声のする方向に向くことで逆子がなおるかもしれません。
【逆子のなおし方3】マタニティスイミング
マタニティスイミングで逆子なおしもあるようです。水中ででんぐり返りするというもの。マタニティスイミングに通っていらっしゃる方は一度スクールに相談してみるのもいいかもしれませんね。
【逆子のなおし方4】鍼灸・ツボ・マッサージ
逆子に効く鍼灸やツボ、マッサージもあるようです。そうでなくとも妊娠中はマイナートラブルがつきものですので、リフレッシュをかねてマッサージを受けるのもいいかもしれません。
なお、マッサージを受ける際はかならず妊婦である旨を伝え、妊娠時期も伝えるようにしましょう。
【逆子のなおし方5】骨盤位外来で外回転術をうける
逆子に悩むママたちの多くが最終手段として、「外回転術」を考えているようです。張り止めを使用し、エコーで胎児の向きを確認しながら、ママのおなかの外から手技を使って回転させるというもの。
しかし、骨盤位外来を受診したとしても、逆子が治る可能性は100%ではありません。国立成育医療研究センターの施行事例によると、成功率は以下のようです。
当センターでの成績ですが、2012年1月から2016年12月の間に496例外回転術を施行し378例(76.2%)が頭位に矯正できました。内訳としては、初産婦さんでは333人中237人成功(71.2%)、経産婦さんでは163人中143人成功(86.5%)となっています。また、他院から紹介になっている患者様もいらっしゃるため全例の把握はできていませんが、外回転で頭位に矯正された後分娩が終了されている174名の内訳としては、初産婦さん208人中161名(77.4%)、経産婦さんで117人中106人(90.6%)がその後経膣分娩に至っています。
どのなおし方も絶対なおる、というものではありません。
逆子のなおし方にトライするときは、『これでなおってくれたらラッキーだな。』くらいの気軽な気持ちで取り組むのがいいのではないでしょうか。
何もしないで考えているより、行動を起こしている方が心理的な負担も軽くなります。
逆子の種類&帝王切開になる理由
出産が近づくと、通常胎児は頭を子宮口側に向けて、頭から産道を通るような位置に落ち着きます。
これを「頭位」といいます。
何故頭を下にするかというと、胎児の頭が1番大きいパーツなので、先に通して分娩をスムーズにするためと考えられています。
逆子とは胎児の頭の向きが子宮口とは逆のママの胸側に向いていること。
子宮口にお尻を向ける「殿位」、膝を向ける「膝位」、足を向ける「足位」があります。
単殿位
お尻がママの骨盤に、足先はママの胸の方に伸びている状態のこと。
複殿位
膝を曲げ、足先とお尻が骨盤向きになっているスタイル。
膝位
膝を立てたようなスタイル。
足位
起立をしているように足を骨盤に向けてのばしている状態のこと。
他にも片足を曲げ、もう片足を伸ばした不全スタイルも存在します。
逆子は長時間出産でリスク大!帝王切開で母子の安全を
逆子の出産は経膣分娩では長時間になりリスクが高いので、帝王切開になるのがほとんどです。
逆子の経膣分娩が長時間になるのは、一番大きい頭を最後にすると頭が産道にひっかかってしまい、スムーズなお産が困難になるから。
胎児に栄養や酸素をおくる臍帯は赤ちゃんのおへそにつながっています。
へその部分が先に出てきて、頭部が残るとへその緒が圧迫され十分な栄養や酸素の供給が望めない上に、呼吸をする鼻や口はまだ子宮内なので肺呼吸もままならなくなります。
出産が長引くことで胎児が力尽きてしまったり、重篤な障害が起こったりする可能性が高くなるのです。
そのため、逆子の場合は計画帝王切開での出産になるケースがほとんどなのです。
逆子は脳の発達に影響はしない
『通常の状態をとれない逆子は発達に影響が出るのでは?』と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、逆子の状態が続くことで脳の発達や障害が起こる、ということはないようです。
新型出生前診断検査を行っているNIPT平石クリニックの平石 貴久院長も、逆子で異常の確率が上がるわけではないと記載されています。
参考文献:「逆子の基礎知識|障害との関係性、主な原因や出産時の想定リスクは?(2020.7.22)」(NIPT平石クリニック)
逆子は妊娠後期でも自然になおることもある
妊娠週数がすすむにつれ、逆子がなおる可能性が低くなりますが、決してゼロではありません。
私が妊娠中に読んだ体験談の中には、計画帝王切開でいざ手術当日に逆子が治った、というケースもありました。
帝王切開であろうと、経膣分娩であろうと出産が大変なことにはかわりありません。
どちらの分娩になっても、リラックスして臨めるのがいいですね。
逆子でも気にしすぎない!リラックスして過ごすマタニティライフを
子宮内の環境や胎児の大きさなどの関係で、逆子が分娩に影響する可能性が高くなるのは妊娠9ヶ月ごろからです。
逆子をなおしたい、と思う人はぜひ逆子のなおし方をトライしてみてください。
妊娠中は些細なことが気になります。
胎児に影響しないかな、と気をもむママも多いでしょう。
しかし、気にしすぎて、気疲れしてしまってはママの心と体が心配です。
逆子は分娩時のリスクや帝王切開になる可能性がありますが、ママや胎児も健康を脅かす状態ではありません。
どうか気にしすぎずリラックスして過ごしてくださいね。
(illustration by:イワモトマイコ)
(Photo by:写真AC)