現在の医療現場では「陣痛は痛みありき」「体質だから仕方ない」という考えが一般的です。

しかし、4人のお子さんを持ち、現在は安産クリエイターとして活動するさちこさん(sachiko__anzan)は、こう語ります。

陣痛は自分次第で大きくカットすることはできるし、安産になる人には共通点があります。でも、それは『頑張ること』ではないんです

看護師として医療現場を知り尽くしているさちこさんだからこそ見えた、従来の出産常識への疑問。そして辿り着いた、全く新しい安産へのアプローチとは一体何なのでしょうか。


医療のプロが体験した「思い描いていた出産」との大きなギャップ

さちこさんが安産について本格的に考えるようになったのは、1人目の出産がきっかけでした。

「看護師として医学知識も持っていたし、体のことにも詳しいはずなのに、妊娠期間中がとにかく大変だったんです」

つわりは出産まで続き、思いもよらないトラブルが次々と発生。そして迎えた出産も、周りからは「安産」と言われるような内容だったにも関わらず、心の中では「これは私の思い描いていたマタニティライフ、出産ではない!これでは子孫繁栄は無理でしょ!」という違和感が残ったそうです。

「ドキュメンタリーで見たような、穏やかで幸せな出産を想像していました。でも現実は全然違って...」

この体験が、さちこさんの人生を大きく変えることになります。


「医療者任せ」の医療現場で感じた限界

2人目の妊娠を機に産婦人科で働き始めたさちこさん。そこで目にしたのは、妊婦さんの意識と医療現場のギャップでした。

「『病院だから大丈夫』『健診で「異常なし」といわれたからこのままで大丈夫』という意識が強すぎて、妊婦さん自身が『何かがおかしい。違和感があるんだけどな…』と感じたとしても、『妊婦だから、皆あるから、それが当たり前だよね。』と違和感を受け入れてしまい、改善する方向に向かわない指導に入っても迷惑そうな方すらいらっしゃる。 そして、病院ではマンパワーの限界を感じました。」と、さちこさん。

院長先生と一緒に医療改革を試みましたが、それでも変わらない人たちがいたそうです。

もっと自分と赤ちゃんを自分でみれる人になって欲しい。その全てはお産に活きる。そして、陣痛を大きく変化させることに繋がるんだ。赤ちゃんを愛おしく想いながら、赤ちゃんが出てくるのを感じながら出産もできるんだよ。その全ては、産後のママと赤ちゃんの心と体に影響するんだよ。という事を知って欲しい。」

そんな強い想いから、さちこさんは独立を決意します。


常識を覆す発見「安産になる人の3つの特徴」

独立後、多くの妊婦さんと向き合ってきたさちこさん。安産になりやすい人には、明確な共通点があることに気づいたそうです。

素直で、頑張りすぎず、すぐ行動する人です

特に「頑張りすぎない」という点は、多くの人が驚く特徴かもしれません。

「うちでは基本的に頑張らせないんです。陣痛を楽にしたいって言いながら、陣痛がきたときに力を入れてしまう人は、日常でも頑張りすぎている人が多いから」

実際にさちこさんのレッスンを受けた妊婦さんからは「思っていたより10分の1の力で済むんですね」という声がよく聞かれるそうです。

みなさん、既にお腹の中で赤ちゃんを1人育てているじゃないですか。それってすごいこと。もう十分頑張っているから、それ以上頑張らなくていいんです


「自分と赤ちゃんファースト」が全てを変える

さちこさんが最も大切にしているのは、妊娠中から出産、そして産後の「ママと赤ちゃんの心身の健康」です。

そのためには、「優先順位は自分と赤ちゃんにしてください。他の誰でもなく、まず自分と赤ちゃんを大切にして欲しいんです」とさちこさんは語ります。

一見シンプルなこの言葉ですが、実際に実践できている妊婦さんは、意外と少ないのだとか。

「自分の心と体のケアを、毎日・毎時間できるくらい、赤ちゃんと自分に意識を向けてほしい」

そうさちこさんは願っています。

仕事や家事、周りへの気遣いに追われる日々。でも、妊娠中の今だからこそ「自分ファースト」の考え方が、安産への第一歩になるのです。


そう聞くと、「仕事していたら無理じゃない? 」と思う方もいるかもしれません。でも、決してそんなことはありません。


見方を変えれば、できることはたくさんあるのです。


特に妊娠30週頃までの過ごし方が、その後の体調やお産に大きく影響すると言われています。この時期にできる事も、実はたくさんあります。


もし「うまくできなかった」と感じることがあっても、「その代わりに、こんなことをしてみよう」と発想を柔軟に変えていけば、しっかりと安産に向かっていくことができます。


たとえば、日頃の呼吸を「幸せの呼吸」に切り替えるだけでも、その後の経過は変わってくるとさちこさんは考えています。


ぜひ、自分にあった、自分らしいマタニティライフを楽しみながら過ごしてほしいです。


股関節ケア、それって本当に正解?

Instagramでよく目にする「股関節を柔らかくしましょう」という情報。さちこさんは、この常識にも疑問を投げかけます。

「間違いではないんですが、間違えて捉えている人が多すぎます。股関節だけ柔らかくしても、体は全身で生きているから、全身を整えないと意味がない」

実際、間違った方法で股関節のケアをして体を痛めてしまい、さちこさんのもとに相談にくる妊婦さんも多いそうです。

表面的な情報に惑わされず、本質を理解することの大切さを教えてくれます。


頑張りすぎているあなたへ

最後に、妊娠中の女性に向けてこんなメッセージをいただきました。

出産される方は、次世代のお産、次の時代を作っていく方々だと思います。本当に自分を大切に、赤ちゃんを大切に。優先順位を間違わないで、自分の心地よさや幸せをどんどん追求していってください

もし今、「出産って痛くて大変なもの」だと思っているなら、それは本当にそうでしょうか?

さちこさんの経験と知識から生まれた安産へのアプローチは、従来の常識とは全く違うものでした。でも、その根本にあるのはとてもシンプルなこと。

自分と赤ちゃんを最優先にする

それだけで、あなたの妊娠期間も、お産も、産後も、きっと変わっていくはずです。

頑張りすぎているあなたには、まず少し力を抜いて、自分自身をもっと大切にしてほしい。そんなさちこさんの優しい想いが伝わってくるインタビューでした。


●教えてくれた専門家 さちこさんsachiko__anzan

4人の子を持つ母(中学生、小学生、保育園児)。看護師として医療現場で経験を積み、自身の出産体験をきっかけに安産について探求。令和1年に安産クリエイターとして独立し、現在はInstagramで「陣痛を8割カットする」独自メソッドを発信。従来の常識にとらわれない新しい安産アプローチで講座を開催している。