2020年1月から世間をにぎわす「新型コロナウィルス」。日本では2020年4月に緊急事態宣言が発令されました。これをうけてママびよりでは妊娠中・子育て中のママに緊急アンケートを実施。なんと1日で315人の妊婦や子育てママたちからの声が届き、不安の強さを改めて感じました。今回は助産師さんにもお力添えいただき、妊婦が今気をつけていたいことについてみていきます。
この記事の目次
- 妊婦や胎児にどれくらい影響があるかわからず不安な妊婦たち
- 妊婦の多くが「妊婦健診に行くのが不安」
- 助産師とWeb対談を通じて妊娠中や出産後の悩み相談会を実施
- 新型コロナウィルス感染予防対策で妊婦が心がけることは?
- 両親学級が中止になって不安…
- 立ち会い出産・産後の入院時面会ができない、寂しい・不安
- 妊婦が新型コロナウィルスにかかると帝王切開になる?
- 運動不足・体力低下が気になる
- 医療従事者の家族がいるのですが…
- 新型コロナウィルスの妊婦や胎児・新生児への影響
- 助産師さんからのメッセージ
妊婦や胎児にどれくらい影響があるかわからず不安な妊婦たち
今回のアンケートで新型コロナウィルスの母子への影響について、不安に感じるママは92%と、全国の妊婦のほとんどが新型コロナウィルスに対して不安な状態であることがわかりました。
妊娠中は平時でも何かと不安なことも多いので、コロナ禍に見舞われている中での妊娠生活の不安の大きさは計り知れません。
妊婦の多くが「妊婦健診に行くのが不安」
また、アンケート時に緊急事態宣言の対象地域※東京・神奈川・千葉・埼玉、大阪、兵庫、福岡の7都府県にお住まいの方は妊婦健診に行くのが不安と感じている方が82%という結果に。
外出自粛の中、妊婦健診は「必要」であり、時には「急」を要するものであるため、欠かさず出向かなくてはならないものの、外出することへの負担や不安は大きいものといえるでしょう。
助産師とWeb対談を通じて妊娠中や出産後の悩み相談会を実施
この状況を踏まえカラダノートママびよりでは、事前のアンケートの質問を元に、助産師の髙杉絵里さんをお招きして、YouTubeやInstagramのライブ配信にてオンラインサロンにて「妊娠中や出産後のお悩み相談会」を実施しました。
その時の動画がこちら。
つづいて相談会での内容をピックアップしてお届けします。
新型コロナウィルス感染予防対策で妊婦が心がけることは?
アンケートでは
・外出をひかえる
・手洗いうがい
・室内の喚起
・外出時はマスク着用
・妊婦健診以外は出歩かない
・R1を飲む
・宅配に切り替える
といった感染予防対策をしているとの声が上がりましたが、そもそもこの対策で問題ないのでしょうか。
助産師さんのこたえ
妊婦の方は免疫機能が通常より低下しています。そのため新型コロナウィルスの影響だけではなく、風邪をひきやすい、食中毒になりやすいなど妊娠中は全般的に感染症にかかりやすい時期です。
みなさんが実践されている通り、手洗いうがいがまずは一番大切な予防です。
外から帰ってきたらまずは手洗いうがいをしましょう。
家にこもっているとストレスもたまりがちになりますがスーパーなどは人が多いため、新型コロナ以外の感染症リスクも上がります。そのため、宅配サービスがおすすめです。
これは新型コロナ感染予防としてだけでなく、産後の予行練習としてもサービスを利用しておくのがいいかもしれません。産後も小さな子供を抱えてお買い物に行くのはむずかしいものです。
宅配サービスによってはマタニティや子育て割引があります。産後に備える意味でもこの機会にいろいろ試してみられてはどうかなと思います。
ネットスーパーの一例
両親学級が中止になって不安…
「両親学級が新型コロナウィルスのため、中止になり不安です。最低限知っておくことがあれば教えてください。」
助産師さんのこたえ
お産の全体の流れは知っていてほしいですね。
分娩時に自分が今どこの状態でどこまで進んでいるか、ということがわからない、この先に何が起こるかがわからないと不安になると思います。
ネットでの両親教室やお産の流れのドキュメンタリーなどが配信されているので、家で過ごす時間が長いこの時期だからこそ、夫婦やご家族で一緒にみて、お産について話す機会にしてもらえればいいと思います。
立ち会い出産・産後の入院時面会ができない、寂しい・不安
「立ち会い出産がなくても父性が芽生えるのでしょうか」
「立ち会い出産がなくなってしまい、不安心細いです」
「パパと家族と一緒にお産を楽しみにしていた分、不安です」
新型コロナウィルスによって立ち会い出産や入院時の面会がNGとなった事について不安や寂しいプレママの声が多く寄せられました。
助産師さんのこたえ
私自身は里帰り出産だったので、出産前後は主人と離れて暮らしていました。
『産気づいたら駆けつけてもらって立ち会い出産をするぞ』と楽しみにしていましたので、立ち会い出産を楽しみにしていらっしゃった妊婦さんたちのお気持ちはわかります。
しかし、お産は突然のもの。
私はスピード出産だったため、家族の誰に立ち会ってもらうこともなく、ひとりでの出産でした。
助産師だから安心。ということはなく、私も出産の時は多くの妊婦さんと同じひとりの妊婦で、不安で「ちゃんと産めるかな」という心配がありました。
しかし、助産師さんや医師の先生、看護師さんなど病院のスタッフさんが付き添ってくれて、お産の進み具合を教えてくれたり、状況に合わせて声をかけてもらうことで安心していいお産ができました。
みなさんも心配かと思いますが、出産の時は信頼できるスタッフさんが付き添ってくれますので安心してください。
生まれる瞬間からパパも立ち会って父性を、と思うママもいらっしゃると思います。
しかし、立ち会った、立ち会わなかったで父性が身につく早さが違うかと言えばそうではないのです。
ママはお腹の中で胎児が過ごしている期間で少しずつ「ママ」になりますが、パパは産まれてから「パパ」になるため、どうしてもその期間のギャップがあるため、ママがやきもきすることもあると思います。
妊婦が新型コロナウィルスにかかると帝王切開になる?
「新型コロナウィルスにかかると、かならず帝王切開になると聞いたのですが本当ですか?」
助産師さんのこたえ
病院によって対応が異なります。病院の方針に従ってください。
新型コロナウィルスにかかった妊婦のお産の介助をする助産師にうつるを予防するための帝王切開、というウワサもあるそうですが、自然分娩でも帝王切開でも助産師や医師、看護師などスタッフがお産に立ち会うことには変わりないので、その意味で新型コロナウィルスに感染した妊婦は帝王切開になる、ということはないでしょう。
もっとも大事なのは、赤ちゃんを無事に出産出来ることです。その観点での判断になるため、今後の情報によっては色々と変更があるかもしれませんが、まずは病院の方針に従ってください。
今考えられる理由としては、新型コロナウィルスに感染することでママが重症な場合、ママへの処置が必要である場合や、肺炎になることでママの呼吸が浅くなり、赤ちゃんへの酸素運搬が充分に行われないといった懸念から早急に取り出さなけらばならない、という流れでの帝王切開になるのかな、と考えます。
そのため、ケースバイケースになってくると思います。
運動不足・体力低下が気になる
「新型コロナウィルスによって外出を控えなければならず、運動不足が気になります。」
助産師さんのこたえ
冬の時期の妊婦さんも同じような傾向があるかと思うのですが、臨月の頃に関していえば、階段の昇り降りやスクワット、階段がないタイプのお宅であれば踏み台や集めの雑誌を重ねてなどで昇降運動
が家庭でもできるかと思います。
お産の時のストレッチにもなるので、おすすめはマタニティヨガ。
ネットでマタニティヨガなどが配信されていますのでそちらを参考になさってください。
あとはウオーキング。
ウオーキングをする時間は早朝など人の少ない時間を選ぶようにしましょう。
外に出れない時こそ大掃除もいいかもしれません。いい運動になりますよ。
医療従事者の家族がいるのですが…
「夫が医療従事者であるなど家族が医療関係の仕事に就き、病院を行き来している状況です。感染予防で気をつけておいたほうが良いことを教えてください。」
助産師さんのこたえ
ご主人や一緒に住む家族が医療従事者の場合、生活空間を共にしているため、完璧に隔離することは難しいでしょう。
まずは家族のみなさんにも帰ったらすぐ手洗いうがいを徹底してもらうこと。
そして私がしていたことですが、病院から帰ってきたら真っ先にシャワーを浴びることです。
部屋の中にウィルスを持ち込まないことが大切です。
洗い流してしまうのが一番効果的なので、医療従事者のご家族にはそれを実践してもらえると安心かと思います。
シャワーを浴びる時は市販のシャンプーボディーソープで大丈夫です。
新型コロナウィルスの妊婦や胎児・新生児への影響
そして多くの妊婦さんが気になっていたのが新型コロナウィルスの妊婦や胎児、新生児への影響でした。
助産師さんのこたえ
妊娠後期に新型コロナウィルスに感染しても、妊娠していない時にかかる場合と重症度には差がないと、今のところは考えられています。
胎児への感染リスクについては、現時点ではうつらないと言われています。
産まれたあとも母乳を介して新型コロナウィルスに感染することもないと言われています。
ただしこれらことは世界中の妊婦さんの症例を集めて分かっていることで、まだ症例の数が少なく、新型コロナウィルスの影響がどこまであるかはっきりわかっていないのが現状です。
病院によってはお産の方法や、授乳の方法に変更があるかもしれませんが、日本産婦人科学会も病院の方針に従ってくださいと言っています。
先述の通り、基本は病院の方針に従ってください。
助産師さんからのメッセージ
今妊娠されている方はとっても不安な毎日を過ごされているかと思います。かけがえのない命を授かっている妊娠中はしあわせなことも沢山あるけれど、体験したことのない体や心の変化に戸惑ったり心配になったりつらくなることもあります。私も何度もつらいなぁと泣いた時もありました。
新型コロナウィルスでつらい中ですが、こんな時だからこそ、そばで心配してくれているご家族や友人、そして私たち助産師や医療スタッフがいることを忘れないでください。
何よりもおなかの中の赤ちゃんが一番の味方でいつも一緒に頑張ってくれています。なので、つらい時はおなかに手を当ててたくさん話しかけてあげるといいと思います。私も妊娠中はこうやって元気をもらっていたのでママたちもそれで元気になれればいいなと思います。一緒に頑張りましょう!
助産師 髙杉絵里さん プロフィール
「趣味は助産師!」と公言するほど助産師の仕事を愛する開業助産師。1児のママ。
大学卒業後、総合周産期母子医療センターにて産科やNICUに勤務。
結婚の後、東京を中心に地域での助産師活動を開始。
現在は世田谷区の行政、病院で勤務しながら、「もっと育児が楽しくなるように」を
信条に地域での講演や、イベント開催など子育て支援活動を幅広く行っている。
【調査概要】
期間: 2020年4月13日~4月14日
方法: カラダノ―トママびより調査
対象: 妊娠・育児中のメルマガユーザー(N=315)