妊娠中はさまざまな変化が起こります。

その中でも気をつけたいのが「貧血」。

実は妊婦は貧血になりやすいのをご存じでしょうか?


お腹の赤ちゃんへ鉄分をおくるため、母体は貧血になりやすいのです。

しかし、十分な鉄分補給をすれば貧血は予防することができます。


出産時には出血も伴いますので、妊娠中の貧血は避けたいもの。


かくいう筆者は10代のころ「鉄欠乏性貧血」になった経験があります。(治療済み)

その時の経験を活かし、妊娠中には貧血になりませんでした!!


今回は筆者の体験談を交えながら、妊娠中の貧血についてみていきたいと思います。


この記事の目次


妊婦が貧血になりやすい3つの理由


妊婦が貧血になりやすい理由は3つ。


①胎児に優先的に鉄分を供給するため

②血液の量が増えて水っぽくなるため

③一日推定平均必要量が増えるため


理由①胎児に優先的に鉄分を供給するため

胎盤ができると母体から栄養素が優先的に胎児へと運ばれるしくみになっています。

鉄分も例外ではなく、胎児へと送られるため貧血になりやすくなります。


理由②血液の量が増えて水っぽくなるため

胎児へと栄養をおくるため、母体の血液量はピーク時にはおよそ1.4倍になります。


血液中の水分(血漿量)は約1.5倍になりますが、赤血球は約1.2倍にしかなりません。

つまり、血液中の赤血球の割合が少なくなる=水っぽい血液の状態になっているのです。

参考:「妊娠中の体の変化とは?血液量が1.4倍?」(ユニ・チャーム)


鉄分は赤血球のなかのヘモグロビンをつくるための材料です。


ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割があり、鉄分が不足するとヘモグロビンが十分につくられず、酸欠の状態になります。これが「貧血」です。

参考:「知って得する病気の話_貧血(鉄欠乏性貧血)のおはなし(血液内科)2017年8月15日」(彦根市立病院)


理由③一日推定平均必要量が増えるため

上記2つの理由により、妊娠中は1日に摂取する鉄分の必要量(推定平均)が増えます。


厚生労働省によると


女性(月経なし)の1日の鉄分摂取必要量

18~29才 6.0㎎

30~49才 6.5㎎


妊娠中は上記の必要量に加えて


妊娠初期 +2.5㎎

妊娠中期・後期 +12.5㎎


必要になります。

参照:「平成29年度「妊産婦等への食育推進に関する調査」妊娠中・産後のママのための食事BOOK(片面)」(厚生労働省)



妊娠中期は妊娠5ヶ月、胎盤が完成し安定期に入る頃です。

外見は少しお腹が目立つかな位の時でしょう。


この時期から通常の3倍ほどの鉄分量が必要になってくるにもかかわらず、今までと変わらない食事でいることにより、鉄分が足りず貧血になりやすくなるのです。


さらに妊娠前から貧血気味だった方は、より貧血が進行する状態となってしまいます。


出産で出血することでさらに貧血を招くことも

妊娠中に貧血になりやすい状態だった上に、出産でも出血するためさらに貧血を招きます。


出産時の出血量は日本産科婦人科学会用語集によると「正常分娩の出血量は500mL 未満」とされています。


筆者はひとり目が335ml、2人目が320mlの出血量で「中量」と、母子手帳に記録されていました。

どちらも妊娠中は貧血にならず経膣分娩で通常分娩でしたが、第二子出産後は貧血になりました。

 

普通のお産でも、出産時にコーヒー一杯分からペットボトル1本分くらいの出血はあるため貧血になる可能性がある、と想定しておくことが大事でしょう。


体験談|鉄欠乏性貧血だった筆者が妊娠中は貧血にならなかった理由


筆者は10代のころ鉄欠乏性貧血と診断されたことがあります。

しかし妊娠中は貧血にはなりませんでした。


何故、筆者が妊娠中に貧血にならなかったのか、思い当たる理由は2つあります。


①10代の頃に鉄欠乏性貧血の治療をした

②貧血予防に鉄分を摂っていた


つまり、自分の経験・知識によって貧血を防ぐ対策をしていたから妊娠中に貧血にならなかったのです。


筆者の貧血対策

筆者が貧血対策として妊娠中に行っていたのがこの4つ。


①鉄分を多めに摂取する

②鉄分サプリメントを活用

③鉄分を摂取する際に緑茶を飲まない

④ビタミンCを一緒に摂る


①鉄分を多めに摂取する

鉄分をいつもより多くとることを意識していました。

先程お伝えした通り、妊娠中は鉄分を+2~12.5㎎ほど多く摂取する必要があるからです。


なお、鉄分摂取上限は成人女性の場合、1日当たり40㎎です。


しかし、厚生労働省の『「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書』によると、妊婦と授乳婦に関しては、耐容上限量を設定する必要はないとのことでした。

参照:「「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 ミネラル(微量ミネラル)」(厚生労働省)


成人女性の1日当たり必要量が6~6.5㎎ですので、必要量の5~6倍摂取しても上限を超えることはありません。


鉄分多めを意識した食生活にしましょう。


②鉄分サプリメントを活用

 鉄分を多めにした食事に、と分かっていても実際はなかなか難しいですよね。


筆者も仕事があったり、上の子のお世話があったりとなかなか毎日の献立の中に鉄分を取り入れるのは難しかったので、鉄分サプリメントを活用しました。


サプリメントなので、つわりの時もしっかり摂取していましたよ。


③鉄分を摂取する際に緑茶を飲まない

緑茶に含まれるタンニンという成分が鉄分の吸収を阻害するため、鉄分を摂取する食事やサプリと一緒に緑茶を飲むのは避けましょう。


これは筆者が10代の時に鉄剤(増血剤)を服用する際の注意事項として、内科医の先生に教えてもらったことです。


もし緑茶を飲むなら、午後のおやつ時間などに楽しむ程度にとどめてください。 

なお緑茶はカフェインも含まれているため、妊娠中は避けた方が無難かもしれませんね。


④ビタミンCを一緒に摂る

これも筆者が鉄欠乏性貧血を治療していた時に知ったことですが、ビタミンCは鉄分の吸収を高めてくれます。


実際、筆者は鉄剤とともにビタミンC剤も処方されていましたよ!


貧血には鉄分補給!鉄分を摂れる食材・サプリ


貧血対策にか欠かせないのが食事からの鉄分補給です。


セゾン暮らしの大研究で紹介している鉄分を多く摂取できる食品は以下の通り。


順位 

食品名 

含有量 

1位 

煮干し(かたくちいわし) 

18.0mg 

2位 

豚レバー 

13.0mg 

3位 

しじみ 

8.3mg 

4位 

ビーフジャーキー 

6.4mg 

5位 

赤貝 

5.0mg 


参考:「延ばす健康寿命鉄分を多く摂取できる食べ物をご紹介|鉄分を摂取できる食材・料理ランキング」(セゾン暮らしの大研究)


煮干しは妊婦が食べてOK!ただし塩分に注意

1位は「煮干し」(かたくちいわし)でした。煮干しは妊婦さんが食べてOKの食材です。


たんぱく質やカルシウムも豊富ですので、おやつ代わりにもおすすめ。


ただし、塩分には注意が必要です。


塩分を摂りすぎると、妊娠高血圧症候群等になる恐れがありますので摂りすぎには注意しましょう。


鉄分を補うためのサプリはOK

食事でなかなか鉄分を摂れない、という方は妊娠中はサプリを活用するのもひとつの手です。


先ほどもお伝えしましたが、筆者はサプリメントを活用していました。

つわり中でもサプリならなんとか口にできるので、初期からもおすすめです。


筆者は水なしでおかし感覚で食べることのできるチュアブルタイプがよかったので、チュアブルサプリをつわりの時からかかさず摂っていました。


■オリヒロ かんでおいしいチュアブルサプリ 鉄+葉酸

出典:Amazon


チュアブルタイプで甘酸っぱいベリー系のラムネのような味です。

このサプリはママにも嬉しい葉酸も入っていたのも嬉しいですね。


妊婦用ではありませんでしたが、特に母体や胎児に対しての悪影響は感じられませんでしたよ。

 

妊娠中~授乳中は表示の通り1日4粒食べていました。

現在も愛用していますが、今は1日1~2粒程度です。


幼児の我が子達も週に数回(1~2粒/回)食べています。



 


妊娠中のママ向けのサプリは以下のようなものがあります。


■和光堂ママスタイル マタニティチャージ鉄プラス マタニティ用(妊娠中期・後期に) 

出典:Amazon

 


■ファンケル (FANCL) Mama Lula 葉酸 & 鉄プラス

出典:Amazon

 


ママに嬉しい「葉酸」や「カルシウム」「ビタミン類」も含まれたサプリで、双方とも水で飲むタイプです。


怖い!貧血の症状は気づきにくい!


貧血になると、下記のような症状が出てきます。


・疲れやすい

・頭痛

・息切れ

・運動機能の低下

参考:「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう(最終更新日:2020年10月1日)」e-ヘルスネット・厚生労働省


怖いのが、これらの症状は「妊娠しているから」と気づかず放置してしまうことです。


確かに、妊娠中は疲れやすくなったと感じることが増え、後期になるとお腹も重くなるため息切れしやすいことも多々あります。


こういった症状が感じられたら、『妊娠中だから』と放置せず『もしかすると貧血気味かも?』と鉄分補給の見直しを行ってください。


上記の症状のほか、風邪症状や腹痛、発熱などがある場合は病院を受診しましょう。なんにせよ放置しないことが大切です。


「氷食症」は貧血時に起こりやすい症状


先ほども触れた通り、貧血の症状は妊娠による変化と似ている部分があるため、なかなか自分が貧血だと自覚しにくいものです。


もし、氷をバリボリと食べたくなる、止まらない、という場合は貧血状態になっている可能性があります。


実際、筆者も鉄欠乏性貧血のときは1年中季節を問わず氷を食べていました。


朝起きたら氷を食べ、学校に行く前に氷を食べ、下校後も氷を食べ、お風呂上がりにも氷を食べ、就寝前にも氷…と我が家の製氷機は年中フル稼働でした。


それが、鉄欠乏性貧血の治療を進めるうちに自然と欲することがなくなり、以降は夏場に氷をなめることはあっても日常的に氷だけをバリボリ食べることはありません。


妊婦は胎児の熱もあり、妊娠していないときよりは暑がりになる傾向があります。

そのため、冷たいものが食べたい、飲みたいと思うこともあります。

1杯のアイスティーを飲めば暑さが落ち着く、という程度であれば問題ありません。


朝から晩まで氷を食べている、外食で出てきたドリンクの氷は毎回全部食べてしまう、冬でも氷が食べたい、などは貧血が起きている可能性がありますので、医師と相談しながらしっかりと鉄分補給を行ってください。


妊娠中は貧血になりやすいと心得てしっかり鉄分補給を


まずは妊娠すると誰でも貧血になりやすい、ということです。


①胎児に優先的に鉄分を供給するため

②血液の量が増えて水っぽくなるため

③一日推定平均必要量が増えるため

 

上記は妊娠中、誰でも起こる身体の変化なのです。

だからこそ、早いうちから積極的に鉄分補給を心がけましょう。

鉄分補給のポイントは以下の4つ。


①鉄分を多めに摂取する

②鉄分サプリメントを活用

③鉄分を摂取する際に緑茶を飲まない

④ビタミンCを一緒に摂る


妊娠初期は 1日8.0~8.5㎎

中期・後期は1日18.0~18.5㎎


を目安に摂取しましょう。


鉄分摂取上限は成人女性の場合1日当たり40㎎ですが、妊婦と授乳婦に関しては、その限りではありませんので『40㎎を超えたかも…』という日があっても大丈夫。むしろ欠乏する方が深刻な貧血を起こす可能性があります。


ただし、何事も適度が大切ですから目安を参考に毎日鉄分を摂取できるといいですね。