産後の記憶力や思考力の低下に自信喪失しているママ。
記憶力低下は、産後誰もがなる「マミーブレイン」が原因です。
「マミーブレイン」とは子育てによって母親の脳が変化する現象を指す言葉で、アメリカの精神科医であるローアン・ブリゼンディーヌ(Louann Brizendine)博士が提唱しています。
脳の能力が低下するのは、子育てに適した脳に変化していく中で誰にでも起こりうることですので自信を持って「ママへと成長(変化)しているのね」と受け止めてください。
とはいえ、変化はストレスです。
負荷が大きすぎると、失われたことにばかり意識が向きがちになります。
そうならないためにも、産後のマミーブレインとうまく付き合うコツを5つ紹介します。
この記事の目次
- 産後の記憶力低下・思考力低下はマミーブレインが原因
- 何故マミーブレインになるの?脳の変化がママにもたらす3つの変化
- 産後のマミーブレインとうまく付き合うコツ
- マミーブレインは産後すぐに起こり始め産後1年までがピーク
- 筆者もマミーブレインだった!
- マミーブレインは「母親」になるための必要な変化!ポジティブに受け止めることが大切
産後の記憶力低下・思考力低下はマミーブレインが原因
産後、急激に物忘れが激しくなった、うっかりミスが増えた、といった経験があるママも多いですよね。考えがまとまらない、モヤモヤすることが増える日も。
『加齢かしら…』と心配する人もいるかもしれませんが、この現象はマミーブレインが原因で、ママの年齢関係なくおこるものです。
具体的には、マミーブレインの状態では、脳の神経回路に変化が起きます。前頭前野という部位が活発に働き、母親が子育てに集中するために必要な注意力や社会的判断力が高まるのです。
参考:「The Mommy Brain: How Motherhood Makes Us Smarter」Katherine Ellison・Basic Books (2006/4/11)
しかし、その一方で、記憶や集中力に関わる海馬という部位の活動が低下することが知られています。
マミーブレインの状態のママは、大切なわが子を育てるために、子育てに必要な情報やタスクにはいち早く反応できる状態。
いうなれば「子育てモード」の脳に切り替わっているのです。
そうすると他の情報を処理する能力が低下するため、記憶力の低下に繋がります。
ただし、これも妊娠出産と同様に個人差があります。
そのため、全てのママが必ずしもマミーブレインによって記憶力が低下するわけではありません。
何故マミーブレインになるの?脳の変化がママにもたらす3つの変化
何故、産後にマミーブレインになるのかというと、上記でも触れた通り、大切なわが子を育てるべく、子育てに必要な情報やタスクにいち早く反応するためです。
具体的には「前頭前野」「報酬系」と言われる脳の部位が活発化し、これらが活発化することで3つの変化が起こります。
①自己管理能力や抑制力が向上
②愛情や幸福感を感じる
③周りの人たちとのエンパシー(共感力)が高まる
前頭前野は判断力や抑制力を担当する脳のエリアです。子育てを通じて活発化することがわかっており、自己管理能力や抑制力の向上に繋がります。
子どもをみると報酬系が活発になり、愛情や幸福感を感じるようになるのです。
そのため、コミュニケーション能力や共感力といった人と人とのつながりのスキルが子育てを通じて成長するのです。
ママの多くは子育てによって失われたものに目を向けがちでつい「記憶力がなくなった」と落ち込むことがありますが、同時に得ているものもたくさんあるのです。
産後のマミーブレインとうまく付き合うコツ
産後の脳の変化は、子どもを育てるために備わっているママの本能です。
しかし、変化にはストレスがつきもの。
成長を感じる程度のストレスであれば問題ないのですが、ストレスがかかりすぎると、マミーブレインによる思考力低下が強く出てしまうことがあります。
そうすると、産後うつをはじめとする様々な問題を引き起こす原因に繋がります。
産後の脳の変化とうまく付き合うにはコツが必要です。
①睡眠不足を避ける
②運動する
③栄養バランスの良い食事を心がける
④こまめな情報整理
⑤夫とのコミュニケーション
①②③については妊娠出産産後にかかわらず、人生において自分とうまく付き合うためのコツですね。特に産後は睡眠不足に陥りやすいので、赤ちゃんが寝たタイミングで一緒に睡眠をとるようにしましょう。
記憶力や思考力が低下しやすい産後はこまめな情報整理を心がけてください。
情報整理には「手帳に書く」「スマホアプリに記録する」を活用するのがおすすめ。
産後の体調が回復すると、家事に育児に大忙しとなります。
1日を8つの区切りに分け、それぞれに作業内容を割り振る「エイトリーン法」や、25分間の作業と5分間の休憩を交互に繰り返す「ポモドーロテクニック」といった集中力を高めるための時間管理法も取り入れてみて。
産後のママの脳は変化していきます。しかし、そのことをパパである夫は体感することは困難でしょう。ママの本人ですら、産後にここまで心身ともに大きな変化が起こるなんて想像できないですよね。
夫婦の仲が産後急速に悪化することを産後クライシスと言いますが、脳も子育て優先に変化しているママと、その切り替えが難しいパパとのギャップは大なり小なり起こるものです。
そのギャップをできるだけ少なくすることは、マミーブレインとうまく付き合うコツにも繋がります。
ギャップを減らすには夫婦間のコミュニケーションが欠かせませんので、夫婦の会話を大切にしましょう。
マミーブレインは産後すぐに起こり始め産後1年までがピーク
産後にマミーブレインになる、とお伝えしましたが、いつまでマミーブレインなのでしょうか?
マミーブレインは子育て終了まで!
なんと、子育てが終わるまでママの脳はずっとマミーブレイン状態なのです。
この話を筆者が聞いたとき、ふと思い出したのが実母のこと。
母親って、うっかり物忘れが多いなぁ、と感じたことありませんか?
子どもの頃は「何故、母親はこんなにうっかりしているんだろう」とよく思っていたのですが、実際親になると実感しますよね。
これはマミーブレインが続いているだけ。子育て優先脳の副産物なので、必要以上に落ち込まないように意識することが大切です。
産後1年間がピーク
子育てが終わるまで、と書きましたがマミーブレインが強く表れるのは産後1年間です。
個人差がありますので、マミーブレインがどの程度の強さで発現し、いつまで続くかは、母親の性格や環境によって異なります。
筆者もマミーブレインだった!
産後、誰でもマミーブレインになる――。
そのことを知らずに産後を過ごした筆者ですが、振り返ると『あれはマミーブレインだったのね』と思い当たることがたくさんあります。
第2子出産後物忘れが激しくなった
些細な物忘れがとても増えた、と感じたのは第2子を出産し、仕事を再開してからです。
やるべきタスクが多くなりすぎて、考え事をしていると郵便局に立ち寄るのを忘れた、離乳食を冷凍保存するのを忘れた、といったミスが増えました。
アプリでメモをすることで解決
筆者はもともと記憶力がよいタイプ。中学高校のテストは一夜漬けの暗記で平均点以上をとることもしばしばありました。神経衰弱は負け知らずです。
仕事でも、簡単な内容ですとメモを取らずに覚えて対応していたこともあり、メモをとる習慣があまりありませんでした。
しかし、あまりにも物忘れが多いため、アプリに都度メモすることにしました。
そうすることで、やるべきタスクを記憶せずともメモをみれば大丈夫、という安心感が得られストレスが減少。
さらにメモすることで情報整理になり、夫との言った言わないの不毛な争いも減りました。
今は夫婦でスケジュールやタスクを共有するアプリ「TimeTree」を使って情報整理をしています。
カレンダーベースの予定管理表で、10種類のラベルに分けて管理が可能。
自分の予定はプライベートと仕事、さらに夫や子ども、家族とラベル分けができるので、いつ誰の予定かが一目瞭然になりました。
さらにメモ機能もあるので、今日の買いものといった日常的なものから、小学校入学準備や帰省準備など、といったイベントごとまでこまめにメモをして情報を整理しています。
マミーブレインは「母親」になるための必要な変化!ポジティブに受け止めることが大切
記憶力や思考力の低下は、産後のママなら誰にでも起こるマミーブレインが原因です。
しかし、マミーブレインとは以下のような変化なのです。
①自己管理能力や抑制力が向上
②愛情や幸福感を感じる
③周りの人たちとのエンパシー(共感力)が高まる
この3つの変化は子育てをするために必要な脳の進化。
欠かすことはできません。
しかし、変化はストレスです。産後は急激な変化が多く、ママの心身がボロボロになることもあります。
マミーブレインは産後すぐに始まり、産後1年間がピークで、その後子育てが終わるまで続きます。
そんな自分の「子育て脳」を受け入れるために必要な工夫は5つ。
①睡眠不足を避ける
②運動する
③栄養バランスの良い食事を心がける
④こまめな情報整理
⑤夫とのコミュニケーション
マミーブレインは決してネガティブなことではありません。
つい失ったものに目を向けがちですが、同時に得ているものもたくさんあるのです。
母は強し、です。
産後1年はママも新米。まだまだ強くなくていい。
ママの脳は強くなろうと変化している真っ最中。
できなくなったことよりも、ママとして変化しようとしている脳を自分で褒めつつ、ポジティブに受け止めていきましょうね。