産後ケアホテルとは、その名の通り出産し退院後の産褥期のケアができるホテルのことです。


2016年に千葉県に「マミーキャンプTOKYOBAY」が誕生し、2020年代に入ると、関東圏を中心に産後ケアホテルの開業が相次いでおり、2023年1月現在で5か所の産後ケアホテルがあります。


何故、今産後ケアホテルが増えているのでしょうか。


それは、現代女性はさまざまな要因が重なり、産褥期に十分なケアが受けることができないからです。

10人に1人が産後うつになっており、産後ケアの充足は欠かせません。


誰もが安らいだ気持ちで出産を望む社会を目指して、一石を投じたと言っても過言ではない産後ケアホテルについてみていきましょう。


この記事の目次


産後ケアホテル一覧(5か所)


2023年1月現在、産後ケアホテル(施設)は首都圏を中心に5か所あります。


マミーキャンプTOKYOBAY

https://mammycamp.jp/

 

住所:〒273-0012 千葉県船橋市浜町2-2-7 ビビット南船橋4F

電話:0120-894-091

 

利用料金:1泊/47,300円~(連泊で割引あり)、パパ&上の子の宿泊OK(8,800円/1泊・1人当たり)


マームガーデン葉山

https://jnv7x.hp.peraichi.com/


住所:〒240-0107  

神奈川県横須賀市湘南国際村1-4-3

電話:046-857-6402


利用料金:1泊/42,000円~(14泊~19泊は10%OFF、20泊以上は1泊/15%OFF)、上の子の宿泊OK(5歳以下...5,000円/1泊・6歳以上...10,000円/1泊)


ママ レヴァータ

https://mamma-levata.com/


住所:〒102-8130

東京都千代田区飯田橋三丁目10番8号

ホテルメトロポリタンエドモント内


電話:03-6385-0807


利用料金:1泊/66,000円~(2023年1月1日~3月31日は特別プラン実施中)、パパ&上の子の宿泊OK(大人1名(未就学児は含まない)まで無料)


ホテルカフネ

https://www.hotelcafune.com/


住所:〒210-0821 川崎市川崎区殿町3-25-11 川崎キングスカイフロント東急REIホテル内


利用料金:1泊/43,000円~(連泊で割引あり)、パパの宿泊OK(素泊まり…3,000円/1泊・食事つき...5,000円/1泊)、上の子の宿泊OK(3,000円/1泊)※2023年5月に料金改定(値上げ)予定につき、表記の価格は2023年4月までのものです。

ぶどうの木京都院

https://ppch-j.com/


住所:〒605-0932 京都市東山区妙法院前側町424-2

電話:075-744-6939


利用料金:1泊/43,000円~(連泊で割引あり)、パパ&上の子の宿泊OK(素泊まり…5,000円/1泊・食事つき...8,000円/1泊※1人当たり)


何故産後ケア施設が必要なのか?「産後の育児はママひとりにさせない」


なぜ、産後ケア施設が必要なのでしょうか。

それは核家族化、夫婦共働き世帯の増加に伴う「するべき支援」だからだと筆者は考えています。


①核家族化による産後の人手不足

②共働き・婚姻率低下・少子化によるご近所助け合い不足

③定年延長による人手不足

④夫の不在

⑤産後うつ対策


①核家族化による産後の人手不足

1億人総中流社会となった戦後、核家族化が急速に進みました。

核家族化により、パパもしくはママの両親(子どもの祖父母)が一緒に住んでいないため、出産後の家事育児のすべてを出産したママが担う時代へと変化しました。


しかし、1億人総中流社会の時は専業主婦が主流です。

つまり、ご近所づきあいによる支え合いがあったのです。


実際、筆者の母親は近所の知り合いの方に私を預けて買い物に行ったり、筆者の弟を預けて、幼稚園の入試に行っていました。


②共働き・婚姻率低下・少子化によるご近所助け合い不足

しかし、時代が変わり、令和の今は1億人総活動社会。厚生労働省の調査によると2020年の夫婦共働き世帯は1240万世帯で、専業主婦の世帯は571万世帯でした。


2020年

共働き世帯 /1240万世帯

専業主婦世帯/571万世帯


1980年

共働き世帯 /614万世帯

専業主婦世帯/1114万世帯


1980年ごろの共働き世帯比率は35.5%と3世帯に1世帯ほどでしたが、2020年には68.5%が共働き世帯となっているため、ご近所づきあいによる支え合いが難しくなってきました。

参考:「令和3年版 厚生労働白書 共働き等世帯数の年次推移」(厚生労働省)


また、結婚しない人(婚姻率の低下)や結婚しても子を持たない家庭(少子化)によってさらにご近所による育児の助け合いは望みにくい時代なのです。


③定年延長による人手不足

また、定年延長や高齢者の就業率の上昇により、里帰り出産をしても、祖父母でになる両親の支援が得にくい状況になっています。


筆者も第一子の産後、両親ともにフルタイムワーカーだったため里帰り出産をしたものの、結局産褥期をひとりで過ごすことが多く、産褥期の回復が悪く産後1ヶ月健診の時に、再診になりました。

 

④夫の不在

そうなると、時を同じくして「親」となった夫の出番なのですが、男性の育休取得率も低いままの日本では、まだまだワンオペ育児のママが多いのが実情です。


特に産褥期についてはパパの知識が圧倒的に乏しい傾向にあり、夫の無理解がさらに状態を悪化させていることも多々あります。


⑤産後うつ

産後は多くの大人に見守られながら、徐々に回復していくことが望ましいにもかかわらず、核家族化による親族の支援が得られない、夫婦共働き化や婚姻数減少及び少子化に伴うご近所での支え合いが得られない、さらにパートナーである夫の協力も得ることが難しいため、産後のママが孤立しやすい問題が浮き彫りになっている現代。


ママの孤立化は、産後うつを引き起こしやすくします。

産後は特にうつになりやすい時期です。


令和のママは人手不足による産後のケアが不十分な状態で過ごし、ママの健康を大きく損ねやすい状態で生きているため「産後ケア施設」が必要なのです。


もちろん、昔から必要であったものの、昔はほかにも多く不便な点があったためなかなかその問題が話題に上がってくることはありませんでした。


今、「産後ケア施設」の重要性が叫ばれているのは、他の分野の発展と比較して「女性の出産」に関する分野が発展していない証拠なのではないでしょうか。


少子化には様々な理由がありますが、お産に対する取り組みの発展が時代に追いついていないのも原因のひとつと感じます。


 

産後ケアホテルを利用するメリット


産後ケアホテルを利用するメリットはどこにあるのでしょうか。

上記で解説した人手の少なさの解消によってもたらされるメリットについてみていきましょう。


①産後の回復が早まる

②同時期に出産した人との交流ができる

③育児に向き合う余裕が持てる


①産後の回復が早まる

当たり前ですが、産褥期の赤ちゃんのお世話をママ以外の誰かがサポートしてくれたり、家事をしなくてよい環境であれば、しっかりと休養することができます。


休養をしっかりとることで産後の回復早まります。


②同時期に出産した人との交流ができる

産後ケア施設のメリットは同時期に出産したママとの交流ができること。

産後ケア施設の多くは生後4ヶ月頃までの母子を対象としています。

そのため、同時期に出産した人との交流ができます。


同時期に出産した人との交流は産後ケアホテルでなくともできますが、新生児~首がすわるまではなかなか出歩くことは母子ともに難しい状況です。


また、地域の子育て支援センターに行くためには最低限の身なりを整える必要がある上に、小さな我が子をみてくれる存在は居ないためママ同士の交流も思うようにいかないことがあります。


産後ケアホテルでは、宿泊しているママがラクチンな服装で産後の回復に努める自然なスタイル。子どももプロに預けることができるので、ママ同士の交流も活発化します。


産後はさまざまな要因で心身ともに不調をきたしやすいですので、ママ同士の交流はリラックスに繋がります。


③育児に向き合う余裕が持てる

自宅で一人で育児をしていると、余裕がなくなります。

特に、産後はボロボロの身体で数時間おきの授乳で、細切れ睡眠しかできないため寝不足に陥りやすい時期ですので、余裕なんて持つことが難しい状況です。


余裕がなくなると、母親失格、と自分を必要以上に責めてしまったり、負の感情が湧いてしまったりと

心身ともにいい影響はありません。


子どもを預けられて、ひとりでのんびりしたり、身体が早く回復するようなケアを受けたり、していることで心に余裕は産まれます。


これは産後でなくともリゾートホテルなどに訪れた際に感じるかと思いますが、空間の移動によって家事などからも解放されることでリラックスできる「ヘルスツーリズム」の側面もありますね。


産後ケアホテルを利用したくてもできない理由


ママの産後ケアのためのホテルですが、利用したくてもできない、といった声があります。


①近くにない

②利用料金が高い


まず、全国に5か所しかなく、遠くて利用できないという物理的な問題があります。さらに、1泊当たり最低40,000円前後と数泊するには高額です。


筆者も第二子を妊娠した際に「マミーキャンプTOKYOBAY」の利用を検討しました。

都内在住のため、利用するための移動の負担はなかったのですが、利用料金がネックに。


ワンオペ育児でしたので、上の子と産褥期の私と新生児の3人分。


産まれた子が生後1ヶ月になるまでおよそ3~4週間の滞在費を試算したところ、実家に帰省し、3ヶ月お世話になる(上の子は里帰り先の一時保育を利用)方が両親に謝礼のお金を渡しても安価でしたので、第二子も里帰りで出産しました。


行政による宿泊型の産後ケア事業も増えている


ホテル並みのサービスとはいきませんが、年々行政による産後ケア支援は発展しています。


筆者は2度の妊娠出産期を東京都江戸川区で過ごしたのですが、下の子の出産後、最長7日まで、産後ケアの宿泊支援が誕生しました。


参考までに江戸川区の1泊当たりの費用をご紹介。


1日6,000円(1泊2日:12,000円、1日増えるごとに+6,000円)

住民税非課税世帯は半額、生活保護世帯は全額免除されます。

引用:「産後ケア(宿泊型)事業」江戸川区役所

ホテルと比較すると、1週間程度と制限はありますが、1泊あたりの費用が3分の1、連泊になるとさらに安くなります。


お住まいの自治体でも産後宿泊ケア事業に取り組んでいるかもしれません。

ぜひホームページなどをチェックしてみてください。


産後はママの身体の回復最優先!産後トラブルは最長1年続く



産後ケアホテルは日本ではまだ始まったばかりの新しい産後ケア方法です。

そのため、実際に利用する方はまだ少数でしょう。


大切なのは「ホテルで休養しなければならないくらい、産後にはケアが必要ということ」ということです。


今までは家庭で行ってきた、だから家庭で行えばいい、はナンセンス。

他の分野の発展と同様「女性の出産」に関する分野だって、社会の変化に応じて発展していくことで社会が成熟するのです。


産後ケアホテルの存在を知ることで産後ケアの必要性をママ自身はもちろんのこと、パパや周りの人にも知ってほしいと思います。


産後は赤ちゃんを守ること、そしてママの身体の回復を最優先してください。


妊娠出産のダメージは無理をすれば無理をするほど長引きます。

筆者も2度の出産でそれを実感しています。


これから出産するママはぜひ産後ケアホテルの利用や、産後をホテルステイ並みに過ごす方法を取り入れてみてくださいね。