妊娠中にむくみやすい足。実は産後もむくみやすいのはご存じですか?
産後は急激なホルモンバランスの乱れに伴う身体の水分バランスの崩れや産褥期の寝たきりによる筋力低下、水分の摂り過ぎによってむくみが起こりやすくなります。
むくみを防ぐためには活動する休憩、つまり「積極的休息」が必要ですので、産褥体操など無理なく身体を動かしていきましょう。
今回は産後の足のむくみについての原因とケア方法をご紹介します。
この記事の目次
- 産後に足がむくみやすくなる3つの原因
- 産後のむくみ予防には産褥体操がおすすめ!
- ココが違う!妊娠中のむくみと産後のむくみ
- 放置するとリスクが上がる症状
- 無理は禁物!しかし積極的休養を取ることを忘れずに
産後に足がむくみやすくなる3つの原因
産後に足がむくみやすくなる原因は3つあります。
①ホルモンバランスの乱れ
②産褥期の安静による筋肉低下
③母乳による水分のとりすぎ
①ホルモンバランスの乱れ
月経や妊娠・出産・授乳は体内から分泌されるホルモンによって制御されています。
出産後は今まで妊娠を維持していたホルモンの分泌が急激に減少するため、ホルモンバランスが乱れやすくなり、むくみを引き起こすのです。
もう少し専門的に解説をすると、産後は母乳出すためのホルモンが増加し、、エストロゲンという(卵巣ホルモン)が減少するという、極端なホルモンバランスの変化がむくみの原因となります。
参考:「産後に浮腫が生じるのはなぜか?」(レバウェル看護・看護師の技術Q&A)
②産褥期の安静による筋力低下
出産後は産褥期と言って、出産後の身体が元の状態に戻るまでのおよそ2ヶ月間のことを指します。
産褥期の中でも出産から1~2週間はとにかく安静にして身体の回復と生まれてきた赤ちゃんのお世話のみに専念しなければならないのです。
つまりこの期間は、食事やトイレ、授乳など以外は寝たきりの状態。
3~4週目からも簡単な家事など、軽微な活動を少しずつはじめる時期になりますが、まだまだ体を休める時期です。
この1ヶ月の間は筋力が低下していくため、足のポンプ機能が十分に機能せず、むくみやすくなります。
③母乳による水分のとりすぎ
母乳を分泌するため、授乳期の女性は水分をいつもより多く必要とします。
水分を多めに摂ることは必要ですが、身体の水分量が増えることでむくみやすくなるのです。
産後のむくみ予防には産褥体操がおすすめ!
むくみには食事の出塩分摂取を控える、運動を行うなどが予防になりますが、産後の運動は「産褥体操」から取り組んでいくことが大切です。
産後は激しい運動は出来ない
むくみの原因のひとつ「筋力低下」を起こさないように運動をすることで、むくみを予防することができます。
しかし、先程も書いた通り、産褥期は身体を休める時期。
そのため激しい運動は控えましょう。
産褥期にしっかりと産褥体操を行う
産褥期にできる運動に「産褥体操」があります。
産褥体操は血液の循環を良くし、妊娠出産によって伸びた筋肉や緩んだ関節・子宮を元の状態に回復するのを促す効果があります。
血液の循環を良くすることはむくみの予防にも繋がりますので、しっかりと産褥体操を行いましょう。
むくみには足のポンプ機能である「ふくらはぎ」を重点的に体操を行います。
産褥体操は出産する病院で渡される手引き・冊子などに掲載されています。
産褥体操をスタートするときは、必ず助産師や医師にOKをもらってからはじめましょう。
★筆者の産褥体操きろく
産院が作成した「出産の手引き」に書かれている体操を、助産師さんからOKをもらってから入院中の病室で始めました。
最初のうちは寝ながら足首を回すなどといった簡単なものでした。
しかし、簡単だからと言ってサボると身体が動かしにくくなります。
出産はそれだけ身体に大きなダメージが与えられているということ。
1日ずつ運動強度を上げていきました。
入院中4~5日目から「腰上げ」(仰向けに寝た状態で膝を立てて腰を浮かせる)を短時間ずつ始めましたが、この体操はふくらはぎのトレーニングにもなりました。
産褥体操を筋トレと同様『今どこの筋肉を使っているか』を意識すると、効果が得やすいですよ。
産褥体操は積極的休養(アクティブレスト)
産後はママの身体に必要なのは「休養」です。
安静にするだけでなく、体操などの積極的休養(アクティブレスト)も大切です。
積極的休養とは、軽く体を動かすことで血流の改善を図り、疲労物質の排出を促す休養のこと。
むくみ予防には積極的休養が欠かせません。
なお、安静にすることや就寝するとった私たちが一般的に「休む」でイメージするものは静的休養と言います。
どちらの休養も大切ですので両方をとることができる産後環境を整えていきましょう。
産褥期が過ぎたらお散歩など積極的休養の強度を上げていく
産褥期中は産褥体操や家事で少しずつ運動強度を上げていきます。
産褥期以降も引き続き運動強度を上げていきましょう。
生後1ヶ月を過ぎれば、季節にもよりますが、外気浴やお散歩など赤ちゃんにとってもママの積極的休養はいい刺激になりますよ。
ココが違う!妊娠中のむくみと産後のむくみ
妊娠 | 産後 | |
ホルモン | ホルモンバランスの乱れ有 | ホルモンバランスの乱れ有 |
水分 | 水分が増え血液が1.5倍 | 母乳生成のため水分摂取過多 |
大きなおなかが足の血管を圧迫 | 安静による筋力低下 |
妊娠中も産後も足がむくみやすくなりますが、むくみやすくなる理由は少し違います。
①ホルモンバランスの変化・乱れ
②水分量が増える
③体の状態の変化
①ホルモンバランスの変化・乱れ
妊娠中は妊娠を維持するホルモンが分泌されていますが、出産直後に急激に減少します。
妊娠中と出産後のホルモンの量は異なりますが、どちらも変化や乱れによってむくみが起こりやすい状態になります。
②水分量が増える
妊娠中は胎盤を通じて胎児に栄養をおくるため、ママの血液量はおよそ1.5倍ほどになります。
産後は、母乳生成のため水分を多めに摂りがちになります。
③体の状態の変化
妊娠後期になると大きなおなかが足の付け根の血管を圧迫するためむくみやすくなるのに対し、産後は産褥期の安静で筋力が低下し、むくみやすくなります。
放置するとリスクが上がる症状
むくみは激しい痛みがあったり、流血などの一目見てわかる症状がありません。
そのため放置をしてしまう人がいます。
そうでなくとも、優先順位を低くしてしまう人もいるでしょう。
しかし、むくみを放置すると足のむくみで歩きにくい、体がだるい、重い、疲れが取れにくくなるなどの症状につながってしまいます。
一時的ではなく、慢性的に足がむくむ「慢性下肢浮腫」になる可能性も。
足の血管の病気「下肢静脈瘤」にも注意が必要です。
むくみを放置せず、早めに対策しておきましょう。
無理は禁物!しかし積極的休養を取ることを忘れずに
妊娠中だけでなく、産後もむくみやすいママの身体。
それだけ妊娠出産はママの身体に大きな影響があるのです。
むくみ予防には、塩分控えめの食事、運動がありますが産後は激しい運動はNG。
まずは産褥体操をしっかりすることに努めて下さい。
むくみを放置すると「慢性下肢浮腫」「下肢静脈瘤」といった病気にかかる可能性があります。
できる範囲で体を動かす「積極的休養」を置いれてくださいね。
くれぐれも無理は禁物で!