2021年夏、新型コロナウィルスに感染し、自宅療養中の妊娠中の女性が自宅で産気づき、入院先が見つからず自宅で出産(早産)し、新生児が死亡する、というニュースが流れ、悲壮感に包まれました。


妊婦の方々やこれから妊娠を望んでいる女性の方にとっては、不安が大きくなるニュースです。


今回、ママびよりではコロナ禍に妊娠・出産した474人のママたちにアンケートを実施。


両親教室の対面参加は5人に1人、里帰り出産は減少傾向など、コロナ禍での出産を取り巻く変化があることを知りました。


コロナに対する不安の大きさは想像を絶する大きさかと思います。


これから出産を控えるママたちへ手洗いの重要性や消毒除菌についての情報をまとめるとともに、出産したママたちのリアルな声「コロナでの出産の乗り切り方」不安を取り除く方法の記事助産師さんのメッセージを紹介します。


この記事の目次


両親学級の対面参加は5人に1人


ママびよりでは、妊娠および授乳に関するアプリを利用しているユーザー474人のママたちに両親学級の参加状況を尋ねたところ、およそ3割が中止で両親学級に参加できなかった、と回答されました。

(アンケート概要「ママびより_出産プランについて」2021年6月29日~7月6日に実施)


オンラインや資料のみを含め、両親学級の情報に触れることができたのは42%と半数に満たない状況で、かつ対面学級で参加できたのは20.3%と5人に1人しか参加できていない状況になっています。


もとより参加予定がなかった人を除けば、4人に3人は対面式の両親学級に参加する姿勢だったことが推測されるでしょう。


地域によっては今後も対面式の両親学級を開催するのが難しい可能性もあるため、オンライン化を含め、両親学級のあり方の見直しが各自治体に求められています。


里帰り出産は減少傾向


新型コロナウィルスのまん延により、里帰り出産も減少傾向にあります。


厚生労働省が平成29年に行ったアンケート調査によると、初産時の里帰り出産は全体の60.7%と5人に3人は里帰り出産を選んでいました。


産後は産褥期と言って、ママは身体の回復と赤ちゃんのお世話に徹する期間です。

その環境を求め、里帰りをするケースの方が多くありました。


しかし、今回のママびよりによるアンケート調査ではコロナ禍の初産で里帰り出産を選択した人は22.6%と5人に1人まで減少しています。

(アンケート概要「ママびより_出産プランについて」2021年6月29日~7月6日に実施)


コロナによって里帰り出産に伴う移動を控えている傾向ではないでしょうか。

こうなると産後の育児やママの身体のケアも不安を感じている人が多いのでは、と考えずにはいられません。


参考:「平成 29 年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業 妊産婦に対するメンタルヘルスケアのための保健・医療の連携体制に関する調査研究報告書〔平成 30(2018)年3月〕」(厚生労働省)


妊婦のワクチン優先接種が開始!同居家族も感染症対策を


現時点では、妊婦のワクチン接種によって新生児も抗体を持って生まれてくる可能性があるため、妊婦のワクチン優先接種が進められています。


しかし、妊婦さん自身だけでなく、一緒に生活する夫などその他の家族もワクチン接種や感染予防を徹底することが大切。


何故なら、妊婦さんがどれだけ感染予防をしていても、一緒に住む家族がどこかからコロナウィルスを持ち帰ってしまっては、家庭内感染リスクが上がるためです。


そしてワクチンは決してウィルスに感染しなくなるものではありませんので、ワクチン接種後も引き続き感染対策を続けることも重要になります。


よく聞く話ではインフルエンザ。

しばしば「予防接種したのにインフルにかかった」という人の話を聞きます。

実際に私の夫がそうでした。


ではワクチンに意味がないのか、と思う人もいるでしょう。

ワクチンを打つことで、打たないよりも重症化が避けられるのです。


重症化を避けられるとしてもコロナに感染すれば、十分な医療が受けられない可能性もあります。


そのため、妊娠中は何が何でも感染しない!の気持ちのもとご本人はもちろん、同居家族も対策を練ってください。


参考:新型コロナワクチンQ&A「妊娠中にワクチンを接種した場合、生まれてくる新生児に免疫はつきますか。」(厚生労働省)

 

コロナや他の感染症対策はウィルスを流す・こまめな消毒と除菌


ワクチン以外で出来ることは、菌やウィルスを体内に取り込まないようにするため、洗い流したり、洗剤等で消毒除菌することです。


手洗いうがいの徹底・こまめな消毒除菌

まずは「手洗い・うがい」の徹底をしましょう。


コロナウィルスは流水で流すことが肝心です。


手や指についたウイルスの対策は、洗い流すことが最も重要です。手や指に付着しているウイルスの数は、流水による15秒の手洗いだけで1/100に、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます。

引用:「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」(厚生労働省)


流水15秒

→ウィルスは100分の1


石鹸10秒+流水15秒

→1万分の1


石鹸やハンドソープを使用しなくとも、ウィルスは流れ落ちます。


そのため、こまめな手洗いを心がけるとともに、15秒は最低でも手を洗う意識を持つようにしましょう。



手洗い以外にも身の回りの消毒除菌も大切です。


アルコール消毒
熱湯消毒(80℃以上、高温に耐えられる物品消毒)
家庭用洗剤
次亜塩素酸水(次亜塩素酸ナトリウムは塩素系なので要注意)
塩素系漂白剤

これらも有効性があると経済産業省が詳しくまとめています。

参考:「新型コロナウイルスに有効な消毒・除菌方法(一覧)【令和2年7月6日版】」(経済産業省)


つまり手洗いうがいに加え


・外出したら、衣類をすぐに洗濯する(漂白剤・家庭用洗剤)

・ドアノブなど人がよく触るところは次亜塩素酸水で消毒する

・アルコール消毒ができるものはアルコールで消毒する


この3点で消毒・除菌をしておくことをおすすめします。


こうしておけば仮にどこかで菌やウィルスが付着したとしても、体内に入らなければ感染しません。


妊婦さんご自身は徹底されている人も多いでしょうが、ご家族となるともしかするとそこまで徹底できていない可能性もあるかもしれません。


キチンと家族と会話をして感染対策について共通認識を持つことが必要です。


なお、筆者の両親は医療関係者。


コロナの陰性陽性に関わらず発熱患者を受け入れた日は、帰宅後そのままお風呂に直行し、お風呂で身体を洗ってからリビングに入るそうです。着ていた服もすぐ洗濯しています。


出歩くときは人混みをさけて疲れないように

出歩かずに過ごす、というのはなかなか難しいです。


妊婦健診もあります。

仕事もあります。

買い物に行くこともあります。

家でじっとしているとうつうつとした気分になるので気分転換に出かけることもあります。


外に出ない、という極端なことをするとストレスになりかねません。


出歩くときは


・人混みに行かない

・マスクを着用

・疲れない


ようにすることが大切です。

そしておうちに帰ったら、しっかりと手洗いうがい・除菌消毒をしましょう。


コロナ禍で出産したママ&妊娠中のプレママの乗り切り方!


ママびよりのアンケートに回答してくださった474人のママ&プレママ。


そんな先輩ママたちが実践した乗り切り方をご紹介します。


SNSや助産師外来、友人から情報収集した。

また、ベビー用品をなかなか買いに行けないので、オンラインショッピングを活用した。 (友人から譲り受けたりも)


両親教室:助産師外来という形で個別

(26~30歳 大阪府)

面会の回数が限られていたので飲み物は大量に持ち込んで良かったと思います。


両親教室:資料やネットの情報を見る形となった

(36~40歳 埼玉県)

人と会えないので、暇潰しにゲームやドラマ鑑賞など1人の時間を満喫した。あとはテレビ電話。


両親教室:参加できた

(26~30歳 埼玉県)

気軽に会って相談などができなかったので、SNSや電話で先輩ママからアドバイスをもらった。


両親教室:資料やネットの情報を見る形となった

(21~25歳 長野県)

立会い出産もお見舞いも一切禁止だったが、周りのお母さん達もみんな一緒だと思うと頑張れた。


両親教室:参加できた

(31~35歳 東京都)


オンラインの活用、ひとり時間を満喫など今だからできることをうまく取り入れて乗り切ったママ。


コロナで移動が制限されるから、飲み物を多めに持参など事前準備をしっかりしたママ。


そして、コロナで出産に向かっているのは私だけじゃない、世界中のどこかで私と同じような人がいる、ということに支えられたママ。


出産前から母は強し、ですね。

強くならざるを得ない環境の中、よく妊娠生活を続けていらっしゃると思います。

妊婦さんも産後のママもとってもすごい!!


出産の不安におすすめの記事をご紹介


それでもやっぱり出産を前にすると不安、両親教室を十分に受けられなかったので不安、という妊婦さんにママびよりがおすすめする出産にまつわる記事をご紹介します

不安を軽くする方法

ひとりで不安いっぱい…!

そんなママに読んでほしいのがこちらの記事です。


 

コロナ禍でのバースプラン

コロナで立ち合い出産できない…。本当にそうでしょうか?

ワクチン接種やPCR検査で立ち合い出産ができる産院もありますので、まずは相談してみましょう。


どうせできないことが多いから…。そうでしょうか?

制限はあるかもしれませんが、きちんと自分の要望を言葉にして伝えることで、お産の満足度は高まるかもしれません。


 

コロナ禍の妊婦さんへ助産師さんからのメッセージ

両親学級がなかったり、気軽にあって相談できなかったりと、情報不足で不安なママには現場のプロ「助産師」からのメッセージが刺さります。



「両親学級が新型コロナウィルスのため、中止になり不安です。最低限知っておくことがあれば教えてください。」


助産師さんのこたえ

お産の全体の流れは知っていてほしいですね。

分娩時に自分が今どこの状態でどこまで進んでいるか、ということがわからない、この先に何が起こるかがわからないと不安になると思います。

ネットでの両親教室やお産の流れのドキュメンタリーなどが配信されているので、家で過ごす時間が長いこの時期だからこそ、夫婦やご家族で一緒にみて、お産について話す機会にしてもらえればいいと思います。


助産師 髙杉絵里さん

引用:【新型コロナウィルス】助産師ママと対談!妊婦が気をつけておきたいこと(ママびより)

コロナで出産を取り巻く環境は変化…だけど乗り越えて出産しているママがいる!


妊娠中のママは不安が多い日々を過ごしていらっしゃるでしょう。

妊娠中はホルモンバランスの変化や自分の身体の変化などでストレスが多い時期。


コロナによって両親学級の参加状況や、出産場所にも変化が見られました。


そして少しずつですが、妊婦のワクチン優先接種など、妊婦と赤ちゃんをコロナから守るべく社会も動き出しています。


そして、すでに乗り越えて出産しているママたちもたくさんいます。

2020年の4月、最初の緊急事態宣言の中で生まれた赤ちゃんたちもどんどん成長していることでしょう。


手洗いうがい、身の回り品の消毒除菌を夫婦(と同居家族)で一緒に取り組み、コロナ対策を万全にして、母子ともに無事にご出産されることを私たちも願っています。