出産が近づくにつれ、気になるのが陣痛。「痛」という漢字が使われるくらいですから痛みがあるとはわかりつつも、耐えられるか不安なママも多いでしょう。今回は陣痛の逃し方についてみていきたいと思います。


この記事の目次


陣痛とは出産に欠かせない痛み!


陣痛とは痛みを伴う規則的な子宮収縮のこと。


この収縮によって赤ちゃんを子宮の外に出す(分娩)のです。


妊娠中にお腹がカチコチに硬くなる「お腹の張り」と言われるものも子宮収縮ですが、陣痛とはまた違った感覚です。


陣痛が来ると分娩開始

通常は陣痛が10分間隔になるころから分娩開始としています。


このころはまだ痛みも強くなく、「生理痛のような痛み」という表現をする方や便意と勘違いする人も多いでしょう。陣痛のないタイミングは普通に過ごせる人も。


陣痛が始まることで少しずつ胎児は子宮口に向かうように圧迫され、それに合わせて子宮口も徐々に開いていきます。


お産が進むにつれ、間隔が5分3分とどんどん短くなり、子宮収縮陣痛の強さも増していきます。


帝王切開は陣痛はないが術後の痛みあり

陣痛を避けるために「帝王切開」は?と考える人もいらっしゃるかもしれません。


確かに計画的に帝王切開を行うケースでは陣痛を感じずに出産することも可能です。

(緊急帝王切開では陣痛を感じたのちに帝王切開することも多くあります)


しかし、陣痛がないから痛くないか、と言われると手術の傷が痛みますし、手術にリスクはつきもの。陣痛から逃れるための帝王切開、という選択肢はないでしょう。


帝王切開という選択肢はあくまでも母子の命を守るため、なのです。

 

いつまで陣痛を逃す必要があるの?


赤ちゃんが出てくるその瞬間はさほど痛みが大きいわけではありません。


むしろ、産む瞬間に向かうまでの陣痛が痛い、と感じるママが多いのです。


それは何故かというと「痛みがあるのにその痛みの原因を解消できない時間」が長時間に及ぶからです。


出産するまで陣痛は続き、出産が終われば陣痛はなくなります。


『早くいきんで出産したい!』と思うかもしれません。


しかしここで子宮口の開き具合で「いきんではダメ」とストップがかかるのです。


陣痛を逃すのは子宮口が全開になるまで

つまり、どれだけ強い陣痛でも、赤ちゃんが通る子宮口が開いていなければ、赤ちゃんが通れないため、陣痛を逃し続けなければなりません。


子宮口が全開(10cm)になってはじめて出産へのいきみができるようになります。


子宮口がいつ開いてくれるかわからないため、その間はずっと陣痛という痛みが襲ってくるでしょう。


長時間に及ぶと出産でいきむ体力がなくなることもありますので、産婦人科によるさまざまな処置(陣痛促進剤や内診でグリっと広げられるなど)がとられることもあります。


子宮口全開までの間に規則的にやってくる陣痛。


以降はこれらの逃し方・緩和の仕方についてみていきたいと思います。


陣痛の痛みを緩和する方法3つ


無痛分娩

麻酔によって、陣痛の痛みを感じにくくすることで全開までやり過ごし出産する方法です。
無痛分娩には以下のようなメリットがあります。



・心臓や肺の調子が悪い妊婦さんの、呼吸の負担を和らげ、体の負担を軽くします。
・血圧が高めの妊婦さんの、血圧の上昇を抑えることができます。
・痛みを和らげることができ、産後の体力が温存できたと感じる人が多いと言われています。

平成29年度厚生労働科学特別研究事業 「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」

筆者のまわりもひとり目が大変だったから2人目は無痛にした、という声をよく聞きます。


しかし、これは陣痛が始まってからできる措置ではなく、事前に無痛分娩を選択している必要があるので要注意。

産院によっては麻酔を担当できるスタッフがいないなど様々な理由によって無痛分娩を取り扱っていない場合もありますので、早めに確認しておきましょう。


また、メリットだけでなく、リスクもありますので家族や産婦人科医とよく話し合うことも大切です。


 

深呼吸

呼吸が乱れると、痛みを強く感じてしまうかもしれません。


また、へその緒から赤ちゃんに十分な酸素が供給できず、母子ともに出産への体力が消耗する可能性もあります。


しっかりと胸を開いて空気を取り込みましょう。


焦れば焦るほど、呼吸が乱れやすくなりますので、呼吸を整える意識を妊娠後期から意識的に取り組んでみてください。


腰を押さえてもらう

陣痛を感じる腰や臀部を押してもらうと緩和することもあります。自分では押せないので、押してくれるよう、事前にお願いしておくといいでしょう。


押すのにママたちが使っているといわれるのが、テニスボールやゴルフボールです。


 

陣痛がない方がいい?微弱陣痛は陣痛促進剤で痛い!


いっそのこと陣痛がない方がいいのでは?と思ってくる人もいるかもしれません。


しかし、先ほども述べたように陣痛という痛みがなければ出産はできません。


陣痛が弱い・間隔が短くならないまま子宮口が開いていくことを「微弱陣痛」といい、出産が長引く可能性があります。


そのため、陣痛促進剤を使って痛みや間隔を起こして出産へと導きます。


筆者は第1子が微弱陣痛で、陣痛を感じないまま子宮口が7cmまで開きました。その日は入院せずに里帰りしていた実家に帰り、翌日、夫と合流し陣痛促進剤を使って出産しました。


陣痛が来なければ、陣痛を薬でおこすことになります。


第2子は促進剤を使わなかったのですが、個人的には促進剤を使って強制的に起こした陣痛の方が痛いと感じましたので、痛むのであれば自然に来る陣痛の方がいいのかもしれない、と思っています。

 

みんなの陣痛体験談


ここでは陣痛を逃した先輩ママの体験談、出産レポ記事をご紹介します。


イメトレで陣痛を克服?!

 

恥じらいは無用!全力で押してもらう 

 

立ち会い出産は「実母」!これが陣痛に効く?!

 

陣痛ケアは産後ケアにもなる!


陣痛の痛みに耐えてこそ「母」になれる、なんてことはありません。産後の日達のことを考えても、出産はなるべくラクにしていい、と思います。何故なら、出産後の方が大変だからです。

陣痛に無策で対応するよりも、先のことを考えてできるだけ対策を練る。

母になる自分が倒れたら大変ですし、母子を守るために陣痛ケアを考えるその姿勢こそが「母」なのではないでしょうか。

これを読まれた皆さんの陣痛が少しでも和らげば幸いです。


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