つわりがしんどくて「仕事、どうしよう」と悩むママ。


つわりは病気と違って特効薬はありません。


「母子健康管理指導事項連絡カード」という医師に「つわりで妊婦さんがつらい時期だから会社も調整してね」と書いてもらうカードがあります。


それを持って、会社と働き方を相談しましょう。


実際、つわりで休んだことのあるママは約6割。


休むママの方が世の中、多いんです。


さらに厚生労働省の調査で、3人に1人のママは「ひとり目妊娠中に仕事を退職」していることがわかっています。


今回は働く女性の「つわり」についてママたちがどんな思いでいるのか、のぞいていきましょう。


この記事の目次


つわりで仕事を休んだママは約6割


私たちママびよりが2022年7月に行った調査では、


つわりで休んだママ…57%

休まなかったママ…43%

と、およそ6割のママがつわりを理由に仕事を休んでいます。

参照:「つわりの時の仕事についての調査」実施時期2022年7月 有効回答数436名(ママびより)


「つわりは病気じゃない」=治療薬がないので休養をとることが必要


つわりは病気ではない、という言葉を耳にしたことありませんか?


「つわりや妊娠は病気ではないから、いつも通り働きなさい」


という誤用をする人もいるかもしれません。

正しくは


「つわりは病気ではないから、治療薬がない。だから無理せず休みなさい。」


なのです。


筆者の個人的な意見ですが、感染症が流行り、特効薬がないから2類の感染症に分類されるウィルス。

…ということであれば、移ることはないものの特効薬がないつわりを気力で乗り切れ、なんてのは最早ナンセンスなのではないでしょうか。


とはいえ「つわり」は言いにくい

しかし、プレママ側も「つわり」と言いにくい事情があります。


それはズバリ、妊娠初期だから。


妊娠初期は、身体の見た目の変化がほぼない状態。

妊婦とはわかりづらいです。

胎盤ができるまでは、という思いもあるでしょう。


過去にママびよりが行った調査では、


職場の上司への報告:妊娠3ヶ月38.1%

職場全体への報告:妊娠5ヶ月31.1%

と、「つわり」は一部の社員に相談し、全体には安定期になってから、という傾向がみられます。


筆者の考えですが、「つわりを言い出しにくい」というのは「生理中だ」「生理痛がつらい」というのを伝えにくい、というのと似ているのではないか、ということです。


 

つわりをオープンにしにくい風潮

これは生理のことですが、「女性のための健康ラボ Mint⁺」が行った「生理や女性のつらい症状に関する10代男女の実態調査」 によると、


15~19歳の男女300人に「生理痛などのつらい症状についての理解を深め、社会に理解を広める上で、何がハードルになっていると思うか」と聞いたところ、「オープンな話題にしにくい風潮」と答えたのが女性45.3%・男性51.3%と、最も多く、およそ2人に1人はオープンにしにくいと感じています。

参照:「【生理(月経)や女性のつらい症状に関する10代男女の実態調査】10代の男女は「生理や女性のつらい症状」について「理解したい・理解してほしい」と考えている(2022年7月15日)」(あすか製薬ホールディングス株式会社・PR TIMESより)


つわりについての調査は見つけられませんでしたが、どちらも女性のみに関することでなおかつ、体調不良を伴いことが多い身体の変化です。


筆者が子どもの頃よりは随分とオープンになってきた印象があるものの、妊娠・つわり含め、女性の子宮にまつわるハナシはまだまだオープンにしにくい風潮があります。


女性特有の身体の悩みを男女関わらずオープンにしやすい社会へと変化することで、つわりと仕事で悩む女性も少なくなってくるのではないでしょうか。


女性の社会進出が進み、共働き世帯が半数を超えた今は、その過渡期にきているかもしれませんね。


母子健康管理指導事項連絡カードを使おう


「母子健康管理指導事項連絡カード」をご存じですか?

 

つわり含め、産婦人科の医師が妊婦健診時に妊婦さんに伝えたこと(指導内容)を、職場に伝えるためのカードです。

 

つまり、つわりの状況によっては、休業や時短勤務・リモート勤務といった働き方に対しての職場への指導が産婦人科から行われるのです。


自分の口から言いづらい…という方は、このカードを用いて職場に報告してみてください。

 

【母健連絡カードの使い方】

(1) 妊娠中及び出産後の健康診査等の結果、通勤緩和や休憩に関する措置などが必要であると主治医等に指導を受けたとき、母健連絡カードに必要な事項を記入して発行してもらいます。

(2) 女性労働者は、事業主に母健連絡カードを提出して措置を申し出ます。

(3) 事業主は母健連絡カードの記入事項にしたがって時差通勤や休憩時間の延長などの措置を講じます。

(引用元:厚生労働省「母性健康管理指導事項連絡カードの活用方法について」

厚生労働省のサイトからカードをダウンロードが可能です。

 

つわりだけでなく、妊娠中・出産後にも使用できます


産後も働きたいママ、要チェックです。

 

つわりで仕事に影響…休むも休まないも気持ちが休まらないママの声


実際、仕事をしながら妊娠したママはつわりの時にどのように感じていたのでしょうか。


仕事を休んでつらいママ

仕事にも行けず、家にこもっていたのでとにかく考えることがつわりのことしかなく辛かった。 (なるる 20代後半  岐阜県)

仕事を約2ヶ月休んでいたので、申し訳なかった。

でも、無理して働ける体調でもなかったので、日々葛藤していた。

(チャーミー  30代後半 東京都)


仕事には行けたけどつらくて仕事にならなかったママ

食べつわりで常に胃がムカムカして体調が悪く、仕事中もとても眠かったこと。

(zukoko 1人  20代前半  東京都)

眠すぎて仕事にならない。

職場でさぼってると思われる。

体型などに何も変化がないので、周りからの理解を得づらい。

(しょこてん  20代後半  千葉県)


夫の無理解に苦しむママ

一番辛かったことは、夫に理解してもらえなかったこと。

彼にはサボっている、大袈裟に辛がってるように見えたそう。

仕事を休職し、ベッドで寝ていたわたしに、仕事で疲れて帰ってきてるのに何もご飯が用意されてない!と怒られた。

(あさち  30代前半  東京都)


仕事が救いになるママも

仕事に行っている間は気を張っていてつわりも乗り越えられたけど、帰宅すると安堵からかトイレに駆け込んでいた。

(ちずえる  20代後半  滋賀県)


仕事に行く行かないにかかわらず、多くのママが「つわりで周りに迷惑をかける」という思いと同時に、オープンにしづらい世の中のため「周りの無理解」に悩んでいました。

その一方で、少数ですが仕事が救いになるママも。


つわりがひどいときは、休む側も、休んでもらう側も、必要以上に気を遣わなくていい、そんな社会に少しずつ変化していく必要性を感じます。


ママの声の出典元:「つわりのピークについての調査(実施期間:2018年6月12日~6月20日・有効回答数:427名)」(カラダノート)


 

妊娠という大きな変化でプレママのこころは不安になりやすい!4つの不安ポイント


妊娠すると不安になりやすくなります。

何故なら妊娠によって身体が大きく変化するからです。


妊娠初期に不安になりやすい4つのポイント

①子ども(胎児)のこと

②自身の仕事について

③自身の身体の変化

④つわり症状の重さが違うのに比較してしまう

①子ども(胎児)のこと

真っ先に考えるのは子どものことではないでしょうか。


胎盤ができるまでは流産のリスクが高く、日本産婦人科学会によると流産のうち80%以上が妊娠12週未満でおきています。

参考:「流産・切迫流産(2018年6月16日)」(公益社団法人日本産婦人科学会)


②自身の仕事について

つわりで仕事が続けられない、通勤できているがしんどい、といった仕事に関することも不安になりやすいポイントです。


女性は妊娠・出産・産後の育児・そして子どもの成長段階ごとにキャリアの壁にぶつかります。


なぜなら、男女にかかわらず子育てをしながら働く環境の整備がまだまだ行き届いていないからです。


子育てにかかるお金を考えるとさらに不安が増します。


③自身の身体の変化

つわりの重さに対する不安、つわりがいつ終わるのかわからない不安…。


どんなものが影響するのかわからず、対処法もわからず変化に気持ちも追いつかない。


漠然とした不安を感じやすくなります。


④つわり症状の重さが違うのに比較してしまう


つわりは生理痛と同様、個人差が大きいです。


にもかかわらず、


『あの人はつわりでも働いていた』

『あの人はつわりの時も顔色一つ変えていなかった』


先輩ママと比較して落ち込んでしまうことがあります。


ママびよりの調査では妊娠経験があるママのうち3%がつわりを感じなかった、と答えています。

参考:「つわりはいつからいつまで?ピーク時期や症状&対処法まとめ」(ママびより)


また30.7%のママがつわりは軽度だったと感じています。


あなたの知っている先輩ママはつわりがないタイプ・軽度のタイプだったのかもしれません。


つわりは個人差が大きい、ととらえることで不安になる気持ちを抑えることができますよ。

 

 

つわりの不安に効く!3つの対策


①不安を感じたら誰かに聞いてもらおう

②とにかく思いっきり泣く

③考えない・とにかく寝る

①不安を感じたら誰かに聞いてもらおう


人に自分の話をすることで、自分がいま不安な状態だ、ということを自覚し受け入れることができます。


こうすることで必要以上に不安になることに歯止めをかけることができるのです。


パパが仕事が忙しく会話ができない時には、友達や両親、出産経験のある上司など、頼れる人に相談してみて。

 

ただし相談相手を間違えると、さらに落ち込む場合も。


「夫に聞いてほしい」に固執しすぎてつらくなってしまうこともあります。

ママびよりのスタッフも、藁をもすがる思いで相談したのが、新米助産師さんだったため、落ち込んでしまった、と言っていました。


知識や経験がない人に相談するとかえって逆効果になる可能性があります。

「傾聴」をしてくれる専門家、を選ぶのもおすすめです。


②とにかく思いっきり泣く

つわり、つらいですよね。


仕事に行ってもつらい、仕事を休んでもつらい。


赤ちゃんがやってきて嬉しいはずなのに、つわりがつらすぎて嬉しいと感じられない。

私は何してるんだ…私はどうなるんだ…などよくないことを考えてしまうかもしれません。


そんな時は「思いっきり泣く」のも実は不安軽減の一助になります。


ニューヨークのプレスビテリアン病院の臨床精神医学の准教授であるゲイル・ソルツ医師によると、泣くことには


「物事を前向きにとらえることができる」

「しばらくすると、モチベーションが上がる」

「痛みを和らげる」


といった効果があると言っています。


確かに、泣いた後は頭がクリアになったり、すっきりしたりしますね。


泣くほどの激しい感情表現を内に秘めると苦しみが続くもの。

泣いて外に感情開放することで安心感が得られ、落ち着くのです。

参考:「「泣くこと」がもたらす14の健康効果を、専門家が解説(2021/12/01)」(womenshealth)


ため込まず、つらい!と声に出して泣いてみてください。


③考えない・とにかく寝る

アメリカにあるシンシナティ大学のロバート・L.リーヒ博士によると、心配事の97%は起こらないのだと言われています。


つまり、心配したり不安に思ったりしたことはほとんど起こらない、ということ。


まず「今つわりでつらい」という事実を受け止め、後の子とは考えずにとにかくつわりがおさまるまで寝ましょう(休息)。


冒頭でも書きましたが、厚生労働省の調査で、3人に1人のママは「ひとり目妊娠中に仕事を退職」という風に述べた通り、妊娠中のトラブルなどで仕事を辞める人は3割以上います。


決して少なくない数字ですね。

参考:「平成20年度 両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究 (子育て期の男女へのアンケート調査及び短時間勤務制度等に関する企業インタビュー調査) 報告書 」(厚生労働省)


辞めた方がいいか、休業した方がいいか、はとりあえずつわりが落ち着いてから考えましょう。


◆筆者の体験談

筆者は第一子妊娠時はつわりでも出社できる程度の比較的軽い症状でした。

しかし、産後、勤めていた会社が買収され、戻るポストもなく、勤務時間的にも難しかったので退職。 そんなこともあります。

 

つわりはつらい!休んでいい!まずはつわりと向き合う。あとのことはあとの自分に任せる


筆者が全妊婦さんに伝えたいのは


「つわりでしんどいときは休んでいい!」


ということ。

頑張り屋さんな女性ほど、「まだ大丈夫!」と無理しがちですが、つわりが乗り切れたとしても、その後、乗り切れないようなハプニングも十分に起こりうるのが妊娠・出産・育児です。


女性は妊娠出産育児を期に、どうしても自分のキャリアについて考え直すことが増えてしまいます。


しかし、今しんどいのであれば、救えるのは今の自分だけ。

あとのことはあとの自分に任せてまずはしっかりと休みましょう。


最後に。

仕事について筆者が産後、感銘を受けた言葉を紹介します。


「あなたがいないと仕事が回らない」と言われるような仕事より

「あなたがいなくても仕事が回るけど、一緒に働くならあなたと働きたい」と言われる仕事がしたい。


なにはともあれ、少しでも早くつわりがおさまりますように。