妊娠した女性が最初にぶつかる壁、それがつわりですよね。最近では妊娠後でも働くママも増えてきていますので、妊娠中のつわりのせいで会社を休まないといけないということも出てくるかと思います。


また、つわりがおさまっても、ママの体調によっては、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの「妊娠合併症」にかかってしまうリスクもあり、その結果切迫流産してしまう、という最悪の事態は避けなければいけません。


このような妊娠中の病気に適応される手当、それが「傷病手当金」です。


今回は、この傷病手当金について説明していきます。現在妊娠中でつわりやその他症状でお悩みのワーママは特に必見です!


この記事の目次

妊娠中に知っておきたい「傷病手当金」って何?


ここでは、傷病手当金が何かを説明していきます。傷病手当金とは、「病気やケガで会社を休んだ時にもらえる手当」のこと


とあります。つまり、つわりや妊娠合併症にかかった女性向けの手当ではなく、「病気やケガで会社を休んだ人」が対象になる手当となります。


意外と適用範囲の広い手当と思われた方も多いかもしれません。


ただし!


この傷病手当金を受けるためには複数の条件があり、それを満たす必要があります。


その条件は下記4つです。


■業務外の事由による病気やケガによる療養のための休業であること


■仕事につくことができないこと


■連続する3日間を含み、4日以上仕事につけなかったこと


■休業した期間に給与の支払いがないこと


(出典)協会けんぽHP


以下にて、順に各条件を説明していきます。


■業務外の事由による病気やケガによる療養のための休業であること

ポイントは、「業務外の事由」という点です。


つわりや妊娠合併症は、「妊娠」が理由で引き起こされる病気になりますので、

「業務外の事由」と判定され、傷病手当金の対象となります。


逆に妊娠中であっても、仕事中にケガをしたり、通勤途中にケガをしたりした方は、「業務中の事由」と判定され、傷病手当金支給の対象になりません。


ただ、支給される手当がないのではなく、この場合は「労災保険」の対象で手当が支給されます。


業務中か業務外かで手当の対応が変わりますのでご注意ください。


「労災保険」に関してもっと知りたい方は「労災保険 業務災害 通勤災害」で検索してみてください。さらに詳しい内容が分かりますよ。


■仕事につくことができないこと

こちらは、仕事につけないことについてを証明する必要があります。しかしこの場合、医療機関の診断証明書で十分かと思います。


■連続する3日間を含み、4日以上仕事につけなかったこと

この条件は少しわかりにくいので、言い換えると「3日間連続仕事をしていない期間があったうえに、4日以上仕事についていない」ということになります。


つまり、傷病手当金は「つわりがひどくて1日だけ会社を休んだ」というママには適用されないということになるのです。


一定期間仕事に就けない期間が申請には必要ですので、ご注意くださいね。


■休業した期間に給与の支払いがないこと

こちらの条件に驚かれるママもいらっしゃるかと思います。


この傷病手当金は、「業務外の事由によってケガをして仕事ができなくなったことへの生活保障」という意味合いがあります。


よって、仕事につけなかったときには、給与の支払いがなかったかどうかチェックしてください。


仮に給与が支払われていても、傷病手当金よりも少ない額でれば、手当が支給されます。


以上、4つの条件に注意しながらご自身の状況を確認していきましょう!

傷病手当金はいつ受け取れる?


では、さまざまな条件をクリアしたところで、この傷病手当金はいつ受け取れるのでしょうか・・・?


答えを言うと、正確にいつとは決まっていませんがおおよその目安は、申請に必要な書類を提出してから「1〜2ヶ月後」と思っていただければ、大きくずれることはありません。


先ほどご説明した通り、傷病手当金は「生活保障」という意味合いのものではありますが、受け取れるまでの時間差があります。


それらを考慮しながら資金管理していきましょう。


傷病手当金の計算方法


ここでは、傷病手当金の計算方法について説明していきます。


式だけ明示しておくと・・・


「支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3


この式で出される金額は、「1日あたり」の金額です。


仕事を休んだ期間をこの金額に乗じれば、満額の傷病手当金が計算できます。


よくわからない式になったと思うかもしれませんが、ポイントは「標準報酬月額」を把握しているか、です!まずはこの言葉から整理していきましょう。


標準報酬月額とは?

簡単に言うと、みなさんのお給料から社会保険料を引くときの月の基準額です。

社会保険に加入されている方には、必ず存在するものとなります。


給与明細を見ていただくと、社会保険料が数万円引かれていると思いますが、その金額は、この標準報酬月額によって変動しています。


また、この標準報酬月額は、毎年7月時点で保険加入者に対し見直しが入り、その年の4月〜6月の収入を鑑みて、8月以降の標準報酬月額を決定します。(これを定時改定といいます。)


つまり、標準報酬月額は「その年の8月〜翌年の7月まで」同じ金額になります


よって、1年間を通して同じ金額になっていない可能性もありますので傷病手当金の計算の際には注意が必要です。


詳しく知りたい方は、「標準報酬月額 定時改定」で調べてみてください。


傷病手当金の計算例【体験談つき】

つわりで辛くなったAさんは、病院に診察へ行ったところ、医者から自宅で休むよう指示を受けてしまい、10日間会社を休むことになりました。


この場合のAさんが受け取れる傷病手当金を計算してみましょう!


ここでは、会社を休んだ期間は平成30年6月1日から平成30年6月10日までだったとします。


①支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬の平均額を計算する


※少し複雑ですが、ここさえ抑えれば計算できたようなものです!


これは皆さんが加入している社会保険のHPを使って調べることができます。方法としては、その年の4月〜6月までの月収の平均額を計算し、それを保険料の早見表と照合します。


参考までにこんな表で照合していきますので、見てみてください。


▼▼健康保険・厚生年金の保険料額表

https://goo.gl/gYxH6c


(出典)協会けんぽHP


今回、Aさんの休業期間は、平成30年6月1日から平成30年6月10日です。


「支給開始日以前の継続した12ヶ月間」は平成29年6月1日から平成30年5月31日までとなります。


よって、標準報酬月額は、平成29年6月1日から平成29年7月31日までと、平成29年8月1日から平成30年5月31日までの期間で、変わっていることになります。


理由は、先述の「定時改定」によるものです。


これに基づき、Aさんの標準報酬月額が、


平成29年6月1日から平成29年7月31日:28万円

平成29年8月1日から平成30年5月31日:30万円


だったとしましょう。


②傷病手当金の計算

冒頭に記載した計算式にあてはめていくと、


★(28万円×2ヶ月+30万円×10ヶ月)÷12ヵ月=29.66666円 


これが各月の標準報酬月額の平均額で、さらに30で割って2/3かければ、1日あたりの傷病手当金の額がわかります。


実際に計算をすると、


(28万円×2ヶ月+30万円×10ヶ月)÷12ヵ月÷30×2/3=6592.5・・・


となり、小数点第一位は四捨五入しますので、


6593円×10日=65930円 がAさんの傷病手当金となります!ご理解いただけましたでしょうか?


傷病手当金の支給手続き方法


ここでは傷病手当金の申請手続きについて説明します。


基本的には、紙1枚で完結するのですが、すべてご自身で記入ができるものではないことに注意です!


必要な書類は「傷病手当金支給申請書」というものになります。参考までに、協会けんぽのものをご案内します。


▼▼傷病手当金の支給申請書はこちら▼▼

https://goo.gl/xVKHev


これをご覧いただくとおわかりになるかと思いますが、「ご自身が記入するところ」「会社が記入するところ」「医師が記入するところ」の3つがあります。


この3つを漏れなく記入をして、10日間ほどの審査を通過すれば、傷病手当金が支給されます。


記入の仕方でわからない場合は、会社の人事部や総務部など詳しい人にしっかり相談しましょう!


傷病手当金を活用して、安心した妊娠生活を!


傷病手当金のこと、理解できましたでしょうか?妊娠にはリスクはつきものです。生命保険などでまかなうこともできますが、身近な社会保険からもそれは可能なのです!


パパ・ママ協力して体調にはくれぐれも注意しながら、安心して出産を迎えられるようにしていきましょう!


(Photo by Photo AC)